大手を就職先に選ぶ学生が多い!?
鍼灸学校の教員と話す機会がありました。ちょうど求人しているところなので、最近の就職事情について聞いみることにしました。返ってきた言葉に驚きました。
「大手の就職先を選ぶ子ばかりですよ」
大手というのは、大手の接骨院グループのことです。私が就職する時には選択肢に入っていなかったので、とても意外でした。
「なぜ、そんなに大手が人気なんですか?」
と突っ込んでみました。
「今の若い子は休みが多いところを選ぶんです。大手には研修があって初任給が20万円くらいもらえるところがあれば、、そっちに行っちゃいますね」
内心「うちは負けてないなぁ」と思ったのですが、大手の圧倒的な求人力は認めざるを得ません。鍼灸院経営をしていて思うのは、求人は集客よりずっと難しいです。感覚的には100倍くらいの難易度です。応募する方は、生活基盤を決める重要な決断ですから、できるだけ間違いは起こしたくありません。だから、慎重になると思います。
誰だってリスクを避けたいので、大手を選ぶのは賢いとも言えます。でも、大手を選ぶ人も「本当のリスクって何だろう?」って考えてみても良いと思います。うちの鍼灸院は大手ではありませんが、うちなりにリスクについて真剣に向き合っています。
就職時のリスクってなんだろう?
では、就職する時に抱えるリスクとは何でしょう。頭にパッと浮かんだものを挙げてみます。
①倒産すること
②経営者に騙されること
③低賃金であること
④職場の人間関係で悩むこと
⑤希望する仕事ができないこと
大手では①②③が回避できると思う学生が多いのかもしれません。勝手な想像です。
もしかすると、④も回避できるもの含まれるかもしれません。たとえば、院長と二人であれば、院長との関係が全てになってしまいます。何かあった時の逃げ場がありません。
大手であれば、同僚がたくさんいるので、付き合いやすい人と付き合えばよいと考えることもできます。これも勝手な想像です。
私が学生の時に、もっとも回避したかったのは⑤です。「鍼灸師になったのに鍼灸ができなければ何の意味もない」と考えていました。
私が就職活動をしているとき、接骨院グループに就職する道もありましたし、整形外科に就職する道もありました。でも、パートタイマーで働いただけで正社員にはなりませんでした。それは、希望する仕事、つまり鍼灸ができなかったからです。
そもそも鍼灸をするために鍼灸師になったので、鍼灸ができなければ、その時点でゲームオーバーなのです。だから、最大のリスクと考えたのです。
先ほどの大手グループは接骨院グループであって鍼灸院のグループではないのです。鍼灸ができる機会があるとしても、専門にすることが難しい職場です。
専門性と視野の広さ
視野は広くもっていた方がよいです。でも、何にでも手を付けることではありません。思考を伴わない体験は単なる体験だからです。そこから広がって行きません。視野の広さは、発展性のある思考ができるかどうかです。
うちは、鍼灸専門としていますが視野は広く持っています。鍼灸を発展させるために必要なことを探し続けています。言い換えれば、鍼灸にしかできないことへの挑戦をしているのです。
視野を広く持つことは、ヒントを外に求めることです。私がもっとも注目しヒントにしているのは活法(かっぽう)です。古武術整体である活法を臨床で実践することで、多くの気づきがありました。整動鍼を創案できたのは、紛れもなく活法のおかげです。
これは、新しい発想を取り入れてうまくいった例ですが、何でも新しいことを始めればよいとは思いません。鍼灸の歴史や古典をリスペクトした上で問題提起をすべきです。先哲の叡智は、個人の経験や好みだけで評価できるほど浅くはありません。
繰り返しになりますが、視野の広さは、その分野において発展性のある思考ができるかどうかです。私は「鍼灸はもっと進化するはず」と信じていますし、実際に取り組んでいます。「鍼灸はまだまだこんなもんじゃない!」と信じて疑っていないことが、私の才能です。この才能を信じてくれる人と一緒に働きたいと思っています。
つづく…後編
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