鍼灸の受療率の低さが鍼灸師の間で話題になることが多いです。現在の正確な数字はわかりませんが1割にも満たないのは間違いないでしょう。
受療率拡大を試みる団体もたくさんあって、それぞれの想いで活動をされています。私も、そうした活動に参加していたことがあります。「ことがある」と過去形なのは、今は一歩、いや二歩くらい引いた立ち位置にいるからです。
その目から、受療率を上げるために鍼灸師がどのような取り組みをしているのか、私なりに分類し整理してみました。ご意見などいただけましたら幸いです。
①経営強化型
②情報発信型
③コラボ型
④活用拡大型
⑤制度改革型
⑥科学化型
⑦精神論型
それでは、ひとつひとつ説明していきます。
①経営強化型
鍼灸師はもっと経営力を身につけてたくさん患者さんを集めましょう、という考え方です。言い方を変えると、「鍼灸師は職人的すぎてマーケティングが弱いから必要な人に届かないんだ」という問題意識です。お金としっかり向き合い、資本主義の中で資本力を身につけて社会的な立場を向上させていこう、という活動です。
こうした考え方や活動は「儲け主義」と批判され嫌われる場合もありますが、自由診療(保険が適用されず全額自己負担)の現状の中では、鍼灸師自身が利益を考えなければならないという事情があります。儲け主義と言われようとも、鍼灸師が生計を立てられなければ鍼灸の存続すら危ういのです。
②情報発信型
鍼灸(鍼灸師)にできることが世の中に伝わっていないから、受けたい人が増えないのだ、という考え方です。要するに、鍼灸師の説明不足ということです。
おそらく、道行く人に話しかけても、鍼灸の適応範囲を答えられる人はいないでしょう。説明したら、きっと「え、そんな症状にも効くんですか?」という返答が連発されるでしょう。説明不足はあるかもしれませんが、そもそも受療率が低いから知らないという面を考慮して取り組む必要があるように思います。ちなみに、私はこの②「情報発信型」を重視するタイプです。具体的には、ツボネット(鍼灸の症例がわかるツボ辞典)を運営しています。
③コラボ型
これは、他業種と連携して入口を広げるやり方です。たとえば、企業の福利厚生として利用してもらったり、トレーニングジムやトレーナーと契約していくような方法です。コラボ相手の方から紹介してもらうことで、スムーズに鍼灸に促せるというメリットがあります。パートナーの信用を借りて広げていく方法ですが、気をつけないと信用を失います。こうした取り組みでは、コラボ相手のメリットをしっかり考えて行くことが大切だと思います。
④活用拡大型
美容鍼が好例です。今でこそ当たり前の美容鍼ですが20年前はそうではありませんでした。鍼灸師が美容に拡大したとも言えますが、エステサロンのような美容系が鍼灸を活用し始めたとも言えます。活用の拡大は今後も進んで行くように思います。私も、密かに可能性を探っています。鍼灸だからこその効果を打ち出せないと意味がありませんから、マーケティング的な視点も重要だと考えています。
⑤制度改革型
鍼灸は、本来は医業の一部でありながら医業類似行為と誤解されることが多いものです。国家免許でありながら民間療法に位置づけされてしまうことも多いです。ここに問題意識を抱いて活動している鍼灸師もいます。
現在、鍼灸の保険的適用範囲は狭く条件が厳しいものです。実質的に自由診療です。負担は患者さんが100%です。病院で行われる医療に価格では勝ちようがありません。「鍼灸は高い」と言われますが、病院はもっと高いのです。安く見えるのは保険料で補われているからです。ただ、こんな説明をしたところで、患者さんにとってはそのときの負担額で考えるわけですから、こうした理屈は通りません。
もし、鍼灸に保険が適用されたら受療率は一瞬にして数倍になるでしょう。個人的には、もっとも受療率の向上効果が高いと思われますが、もっともハードルが高いと考えています。
⑥科学化型
「伝統あるものは正しい」と言えたとしても「伝統は後世に伝わり広がって行く」とは言えません。多く人から支持を得ようと思うなら、科学的な妥当性が必要です。個人的には、科学化が最強のマーケティングになると考えています。科学化は鍼灸から怪しさを取り去ってくれます。
ただ、事情は複雑です。科学では説明できないところに鍼灸の魅力があると考える鍼灸師もいるからです。確かに鍼灸の効果をすべて科学で説明することはできません。とはいえ、説明できないことが直ちに否定されるわけではありませんので、科学化に警戒する必要もないのです。
科学化の一例です。面白い研究なので私が解説をしています。
⑦精神論型
患者さん一人ひとりと丁寧に向き合って、自分のなすべき事をしていれば必要とされ続ける、という考えです。私の中にもこうした考えがあり、この姿勢は否定しませんが、これだけで受療率が上がるほど、あまくありません。
受療率の向上においては、精神論は不要であるというのが私の立場です。受療率アップには戦略が必要です。
ロードマップの必要性
「業界を変えたい」と宣言している鍼灸師はたくさんいますが、具体的なロードマップは見たことがありません。本気で変えたいなら、最低でもロードマップの共有が必要だと思います。私も人のことは言えません。ロードマップを示すことができていません。受療率向上に向けた活動をする余裕がないというのが本音です。無責任な文章で申し訳ありません。なんとなく、状況の整理をしておこうかなという程度で書いています。
興味のある方はご連絡ください。無理ない範囲で力を合わせていきましょう。
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