日本の現代中医学の父
先週、恩師の兵頭明先生とお会いしてきました。この機会をつくってくれたのは、鍼灸院ひなたの院長、山元大樹先生。一緒に整動鍼に取り組んでいる仲間の鍼灸師で、兵頭先生の下で学んだ時期があります。
兵頭先生は、鍼灸師にとって現代中医学の父と言ってもよい存在です。物腰が柔らかすぎて、ついスゴい先生であることを忘れがちですが、鍼灸師にとってはキングダムの王騎将軍を目の前にいるくらいのインパクトです。もっとわかりやすく言えば、日本の鍼灸師の教科書の礎を築いた人です。わかりやすい先生の著作物は中国にも影響を与えています。
学生時代、こんなスゲー先生に教わることができたのは幸運でした。昔の話になってしまいますが、私が学校を選ぶとき学術の厚みをもっとも感じるところを選びました。情報が少ないなか、ウェブサイトがもっとも充実していたのが母校の衛生学園でした。新しい学校が増えて入学のハードルは低くなりましたが、私が挑んだ入試では倍率は10倍でした。ですから、兵頭先生の指導を受けられることは特別だったのです。気がついていない学生のために言っておくと本当にスゲー先生なんですよ。
改めて兵頭先生の功績を紹介すると、何よりもまず中国から大量の学術を輸入したことです。出版された専門書の数は鍼灸業界で群を抜いています。教科書にも「兵頭明」の名前を見つけることができます。まさに、学術においては父のような存在です。
1970年代、中国との国交が回復すると同時に伝統医学の分野でも交流が盛んになってきたのですが、そのときに第一線で活動されていたのが兵頭先生なのです。私が在籍していた頃(1998-2001年)は、現代中医学の教育システムが構築されてきて、その恩恵を真っ先に得ることができました。そこで問題解決能力をたっぷり養うことができました。
兵頭先生の分厚い人脈も目を見張るものがあります。中国との学術交流に積極的に取り組まれ、その拠点が衛生学園でした。日本を出ずに中国の高名な先生から指導をいただく機会を得ました。その頃の学びは財産です。
時が経ち、私は「ツボと動きの関係」を考える整動鍼を創案して普及に努める立場になりましたが、片足を中医学に乗せているので、重心を乱すことなく新しい理論を展開できました。兵頭先生から見たら、私のやっていることは伝統的なものからだいぶ外れてしまっています。それでもかわいがってもらえるのは年齢を忘れて嬉しいものです。
認知症の専門家として
日本における中医学の普及、そして教育システムの構築と、これらの功績だけでもすばらしいのに、認知症の研究者としても第一線でご活躍されています。鍼灸ができること、鍼灸にしかできないことへの挑戦は、どこからエネルギーが湧いてくるのかと思うほどです。
近々、国内の認知症ケアの費用は(家庭内の統計に乗らない潜在的費用を含めると)年間20兆円に達すると言われています。医療費だけでもすでに2兆円を超えています。その負担は現役世代が背負うものであり、将来的には私たちが背負わせてしまう費用です。兵頭先生はこうした現状の解決策として、鍼灸の活用があると唱えています。
鍼灸の可能性を追求することは、私たち鍼灸師が活躍できるかどうかの域を超えて、社会全体の問題の解決策になりうるという視点は、ふだん目の前の業務に奔走していると忘れがちです。兵頭先生とお話しているうちに、自分の視野の狭さが恥ずかしくなりました。
無料で学べる中医学講座
こちらには無料で中医学を学べるビデオ教材があります。学生も学び直したい鍼灸師の方々もぜひ。
中医学教育臨床支援センター
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こちらの書籍は入門書としておすすめです。図表がたくさんあって中医学の生理がわかりやすくまとまっています。こういうの、学生のときに欲しかったです。
・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)





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