ある新人ダンサーへの拍手
昨日はバレエの鑑賞をしてきました。

この公演を通じて鍼灸師として学ぶところが多くあったので共有しようと思います。公演そのものの感想はFacebookの方に書きました。谷桃子バレエの魅力に取り憑かれたファンとして冷めやらぬ感動を刻んでおきました。
Threadsで見る
Threads(スレッズ)にカーテンコールの映像をアップしたところ、多くの方から「いいね」を頂きました。これは私に対するものではなく、明らかに谷桃子バレエへの応援の意がこめられたものです。ちなみに、カーテンコールの映像は主催側から「世界に配信してください」とのことで撮影がOKになっています。
この日、シンデレラを演じた赤野芹奈さんは初の主役。この赤野さんを目当てにしたファンでチケットは争奪戦となっていました。私が投稿したThreadsのコメントを見ても、いかに赤野さんが応援されているかわかります。技術的に次元の高いパフォーマンスができていることは私が語ることでもありませんから、この場では「応援してもらえる」ということが仕事や人生においてどれだけ重要であるか考える機会にしたいと思います。
新人の魅力
赤野さんが新人のバレエダンサーであるように、私たち鍼灸師にも新人の時代があります。得てして鍼灸師はベテランが好まれるものですが、そのベテランは例外なく新人を経由しています。ですから、新人のときから患者さんから選ばれる理由をもっていたことになります。
新人らしからぬ貫禄があるという場合もあるでしょうが、特別なケースでしょう。多くの新人は新人らしい魅力を目指す方が現実的でしょう。
私はとうの昔に新人の時期を抜けてしまっているので、若さを羨ましく思う気持ちを横に置き、ベテランの立場で話を進めていいます。
私が出した結論は「応援したいと思わせる行動と態度」です。鍼灸師に限った話ではありません。新しいお店が近所にできたとします。入ってみて感じがよかったら応援したくなりませんか?「感じがよい」は主観的なものですが、人間の判断はその主観に支配されてしまうものです。
感じがよくなければ、いくら実力があっても選択肢に入れてもらえない場合があります。実際、私がそういうタイプの人間で、どんなに評判がよいお店であっても店員さんが横柄だったら行くことはありません。私にも心当たりがあり、美味しいと評判になっているのに、足を運ぶことがないパン屋さんやケーキ屋さんがあります。美味しさは味覚だけで決まるものではありませんから。
将来性を織り込む
誰かを応援したいと思うとき、その気持ちの根底には将来が楽しみという感覚が潜んでいると思うのです。私たち鍼灸師も言えることで、新人のときに患者さんから「この鍼灸師は将来が楽しみだ」と思っていただければ、将来性を織り込んで評価してもらいやすいでしょう。
極端な例になりますが、もうすぐ辞めそうな鍼灸師に「将来が楽しみだ」と思う人はいません。「この仕事は性に合っていないのかも」などと悩んでいれば、表情や言動に表れて見抜かれてしまうでしょう。
鍼灸師の成長を見守るというのは、患者さんにとっても有益です。同じ人にずっと診てもらいたいと考えている人が少なくありません。このように考えれば若さは魅力です。
将来性を引き出す
私のような年齢になると「将来が楽しみですね」とか「将来は夢はなんですか?」なんて聞かれることはありません。まだまだやりたいことが残っているので寂しいわけですが、将来性を織り込んでもらえなくなるのも現実です。
そもそも、私がそこを求めちゃいけないわけで、若手の将来性を拡張させる立場ですし、それを仕事にすべきでしょう。この立ち位置から思うのは、人から可愛がられている鍼灸師は将来が明るく見えます。
仕事に打ち込む姿勢だったり、患者さんを想う気持ちだったり、仲間との輪を大事にする心だったり、要素はたくさんあります。そして、自分のことばかり考えているなって思ったら、可愛さ半減です。
応援されるという実力
鍼灸は技術職ですが、人の要素が大きな比重を占めます。だから、どうしてもアートの要素を除くことができません。むしろアートなものであると考えることもできます。ただ医療的な立場からは、技術に裏打ちされたものでなければアートとして成立しないと考えておかないと危険です。
鍼灸が面白いのは、同じことを学んでも鍼灸師によって違いが出てくることです。技術的な下地がしっかりしているほど、その人らしさは光ってくるでしょう。そして、その人らしさは技術だけに現れるわけではありません。
仕事に向き合う姿勢だったり、患者さんを大切にする気持ちだったり、仲間との関係だったり。そういうものを含めて「この人を応援したい」と思ってもらえるのだと思います。
新人は技術ではベテランにかないません。当たり前です。経験した時間が違うのですから。でも、ベテランには取り戻せないものを新人は持っています。それが将来性です。
「今はまだここまでだけれど、この人はもっとよくなる」
そう思ってもらえること自体が、新人にとって一つの価値なのではないでしょうか。だから若いうちは、完成された人間に見せようとしなくてもいいのだと思います。
それよりも、患者さんや先輩や仲間から「この先を見てみたい」と思ってもらえる人でいること。その期待に応えるように技術を磨き続けること。
そしてベテランになったら、今度は自分が応援されることばかり考えるのではなく、若い人の将来性を見つけて、そこに光を当てる側に回る。赤野芹奈さんのカーテンコールに送られていた大きな拍手を見ながら、そんなことを考えていました。
人は、完成されたものだけに拍手を送るわけではないのでしょう。これからもっと輝いていく人にも、拍手を送りたくなるのです。
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