<このシリーズでは、鍼灸師であるクリ助が妊産婦さんに何ができるかを考えていきます。お産の現場をできるだけリアルに伝えますので、よいお産について一緒に考えてください。>
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通院していた産院には「腰痛外来」なるものがありました。
妊娠しておなかが大きくなってくると、腰椎や骨盤の角度が変化してくるため腰が痛くなることがあります。そこで「腰痛外来」が用意してあるわけですが、よくみると「整体」と書いてあります。
む、むぅ~。
鍼灸でないことにガッカリ(少し不満)。
鍼灸は整体に勝てないのでしょうか…。
ちょっと分析。
まず「整体」という言葉。これは素晴らしいと思います。「整った体」とか「体を整える」と読むことができますよね。実にイメージがしやすいです。歪みを整えて体の調子を取り戻すというメッセージが言葉から伝わってきます。近頃では骨盤が注目されるようになって、「骨盤の歪み」という言い回しも定着してきたと思います。
整体院に行ったことのある患者さんは口をそろえて「骨盤が歪んでいるんです。」と言われます。整体、骨盤…言葉がやさしいですよね。
それに比べて鍼灸は、痛い治療や熱い治療を耐えて受けるものというイメージが伝わってしまうらしく、「痛くないですか?」「熱くないですか?」が第一声です。中には、相当な覚悟をもって来院される方もいらっしゃり、鍼灸は最終手段的な扱いを受けることが多いですね。覚悟を決めた患者さん、それが表情に出ています。
※鍼が痛いか、痛くないかという話はこちらに書いてあります。
→脱毛より痛くない!
という感じですから、鍼灸がどういいのか話す前に、
「鍼は痛くないですよ。お灸は熱くないですよ~。」
「でも、そんなはずは…。本当は痛いんでしょ?」
のやりとりが繰り返され、中国伝統医学の凄みをきかせる前に疲れてしまいます…。
話を腰痛外来に戻しましょう。
もしですね、腰痛外来に「鍼灸」って書かれていたらどれくらいの人が受けたいと思うでしょうか。整体の1/10くらいでしょうか?
腰が痛いのに、なおさら痛い思いはしたくない
と思うのは普通の心理であって、鍼灸を知らなかったら私も同じ気持ちになるでしょう。鍼灸は痛くないのに痛いと思われている、いっそのこと、その誤解もろとも受け入れてしまった方が楽かもしれません。もう「痛くありませんよ。熱くありませんよ。」となだめることに疲れました(笑)
誤解をされたままでも、
整体にできないことでも鍼灸ならできる
ことを強烈にアピールできれば、覚悟を決めてくれるでしょう。
そんなわけで私は逆子の治療に力を入れています。逆子は、治る治らないが一目瞭然なので効果のアピールには最適です。他の治療の場合は、患者さんの感覚に問うことが多いのですが、逆子治療は治ったことを産科のドクターが証明してくれます。
こうして、普段から逆子の治療に取り組むクリ助です。本当は逆子だけでなくて、妊娠中のケアに興味があるのですが、まだまだその入口なのです。
妻の妊娠・出産によって、少しだけ中に入れた気がします。
妻の悪阻(つわり)に始まって、腰痛、背中の張り、便秘、頭痛、陣痛促進、母乳の出をよくするなど、全般にわたりケアしてきました。薬が使いにくいこの妊娠中、副作用のない鍼灸がもってこいなのです。
「妊娠しているので鍼灸はやめておきます」
という声を聞くことがありますが、本当はその逆で、
妊娠してるからこそ鍼灸なのです。
鍼灸でみんなのお産が楽になれば、少子化をくい止められるかも!
なんて、思い切ったことを考えてしまいます。
妻曰く「思っていたより楽だったよ。」
次は妻に登場してもらって話を進めます。
つづく→鍼灸師とお産(3)


コメント
そうなんですよ!
妊婦に鍼灸は最適なんですよ!
私も妊娠中にとてもお世話になりました。
薬を飲めないから薬を我慢する・・・
それはそれでいいんですけど、
母体が辛いとお腹の赤ちゃんも辛いはず。
体調が悪いときに、
助けを求められる術があるというのは、
妊婦にとって非常に心強いですもん。
出産が思ったより楽だったという
奥様の感想を、これまた是非聞きたいです!
すみません、本文にまったく関係ない質問なんですが…クリさんがよく使用する鍼はやはり寸6の3番ですか?また1番を使うときはありますか?無知ですみません。。
>妊娠しているからこそ鍼灸なんです。
クリ助さんのその言葉、声を大にして言いたいですね。
私の兄が、病院で逆子治療に灸を使い始めたきっかけを尋ねたとき、「薬はやたら使うと恐いけど、これなら副作用が無く安心だから。」と、言っていたのを思い出しました。
もっともっと、「妊婦さんには鍼灸が安心、安全なんですよ!」と、PRしてゆきたいですね。
>Chabさん
体験談ありがとうございます。
体験者にコメントしていただけて、私の記事に説得力がプラスされたと思います。感謝です(^-^)
Chabさんのおっしゃる通り、妊娠中の治療ってお母さんの体だけでなく、赤ちゃんの体にもよいのです。つながっていますからね。
整体・・・言葉の響きが優しい
鍼灸・・・痛そう
素人の反応はそういうものでしょうね。
でも、もし私が90歳の高齢者に施術するなら間違いなく鍼灸でしょうねえ。身体に対する侵襲性はあきらかに整体の方が高いですから。
効果がダイレクトに出る分、副作用も強い。
敏感な妊婦こそ鍼灸と言うのは施術者しか実感できないのですかね。ああ、勿体無い。
>学生さん
一般の方がわかりやすいように表記します。
鍼は鍼体が1cmのものから6cmまで使っています。太さは0.16mm~0.30mmまで幅広く使っていますよ。患者さんの体やツボに合わせて鍼を選んでいます。ちなみに妊婦さんに使うことが多い鍼は、0.16mm~0.20mmくらいです。長さは1cm~4cmです。
あと、刺さない鍼(接触鍼)も使います。
<一般の方へ>
鍼の部分を全てを刺入するわけではありません。ツボに合わせて刺入する深さが決まります。ツボの深さよりも長い鍼を使うことになっています。また鍼灸師の手になじむ長さがあり、数mmしか刺さない場合でも、数センチの鍼が使われることもあります。
>かもめさん
一緒に妊婦さんへ鍼灸を広めていきましょう!
よろしくお願いします。お兄さまが産科医で羨ましい限りです。鍼灸に理解のあるドクターが増えてくると、快適な妊娠生活が送れる方も増えるでしょうね。
>ジャッカルさん
よいことをおっしゃってくれました!
鍼灸は侵襲性の少ない治療法なんですよね。
一般の方のために補足しますね。
つまり、鍼灸は体に負担がかからないということです。揉んだり押したりする方が筋肉の組織を痛めます。鍼は刺すから痛めつけるように思われがちですが、組織や細胞の破壊はすごーく少ないのです。
鍼は痛くて怖くて…というイメージとは反対に、実は体の組織をあまり傷つけない紳士的な治療法なのですよ。
ジャッカルさん、こんな補足でよいでしょうか?
わぉー♪待ってました!シリーズ連載!ワクワク!
クリ子さんが、羨ましい~♪
先日、女性鍼灸師の産科分野の勉強会に参加したのですが、そこで出会った昨年お産された女性鍼灸師の方々みなが
「自分であれこれしようと思ったけど、いざって時は自分ではできなかった」とおっしゃっていました^^;
サポートしてくださる鍼灸師のだんなさん・・・やっぱりいいなぁ~♪
私もリスクあるお産でしたが、子供の栄養状態・産後の肥立ち・臍帯・胎盤状況がすこぶるよかったので、お灸の効果をかなり実感していますよ~☆
>なちゅらさん
女性鍼灸師の方は産科分野を勉強されている方がとても多いですよね。男性鍼灸師は学ぶ場が少なめなのでちょっと残念です。。。
さてさて、シリーズを楽しみにしていただきありがとうございます。
本当に運がよく、妻の出産を最初から最後までケアすることができました。お産の場で鍼灸をしたことのある鍼灸師は少ないのではないでしょうか。私が経験したことは、できるだけこのブログに綴っていきます。参考にしていただければ嬉しいです。
>ジャッカルさん、こんな補足でよいでしょうか?
鍼に関してはクリ助さんの方が詳しいでしょう(笑)。
タイミング良く、上に鍼の直径が記されていますが、どんなに上手なマッサージ師でも直径0.16mmの刺激は与えられません。
刺激が少ないと言う事は体力が弱っている時でも行える治療法と言う事です。例えばガンの末期とか・・・。
それでいて、効果は高い。
>ジャッカルさん
ジャッカルさんがおっしゃるように、鍼の刺激は少ないのに、効果は高い。ここに私は美を感じます。
最小の刺激で最大の効果を出せる!
こんなに美しい技はなかなかないと思うのです。
徒手(素手)で治療する名人に共通しているのも、刺激が少ないことです。いじりすぎはよくないということでしょうね。