<このシリーズでは、鍼灸師であるクリ助が妊産婦さんに何ができるかを考えていきます。お産の現場をできるだけリアルに伝えますので、よいお産について一緒に考えてください。>
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クリ子の陣痛を強くしたのは、鍼だったと思います。
では、クリ子の痛みは鍼が誘ったものだったのでしょうか…。
分析してみるために、まず陣痛が何モノなのか整理しておきますね。
「陣痛とは、胎児を子宮から子宮口(子宮頸部[しきゅうけいぶ])、産道(腟[ちつ])を経て外界へと押し出すための、リズミカルで進行的な一連の子宮の収縮をいいます。」(最新メルクマニュアル医学百科より)
陣痛なんていうものだから、第一印象が悪いですが、この痛みは病的なものではありません。ここが大事です!
陣痛はとてもありがたい痛みなのです!
「痛み」のありがたさの意味は3つあると思います。
クリ助独自の見解を紹介しましょう。お産にはイロイロな価値観(たとえば無痛分娩)があるので、一つの考え方として読んで下さいね。
一つ目
「今から産まれるよ!」って、赤ちゃんからのメッセージです。
突然出てきたら困りますよね。←そういう話、たまにありません?
2つ目
いきむタイミングを教えてくれます。
これって便利なことですよ、本当に。
3つ目
本能を喚起するためです。
これはクリ子の口から出た一言によって、「あっ、そうか!!」と気が付いたことです。どんな一言で何に気が付いたのか、は別の機会で書きますね(これは明らかにネタをとっておく行為)。
陣痛はありがたい痛みだってことをお伝えしたところで、話を鍼に戻しましょう。
結論を言えば、クリ子にした鍼はミスではありません。むしろ、私の予想をはるかえに越えた効き方をしただけです。陣痛促進ではなく陣痛速進!?
痛みを緩和するために、深い考えもなく痛みの局所に打った鍼でしたが、クリ助の想像をだいぶ越えた効果があったというオチです。
なーんだ、クリ助の鍼がたまたま効いただけか…
と思った方、ちょっと待ってください!!
このままだと、クリ助がただ運がよかっただけの鍼灸師だと思われてしまうので、焦っています。予想以上に効いたとはいえ、偶然だけではない証拠を示さなければ、力量のなさをブログでまき散らすようなものです。何としてもそれだけは避けたい!!
・・・ということで、補足説明しましょう。
感覚的にわかりやすい話を用意しています。すごく単純に書きます。
鍼をするとゆるんで、血液などの流れがよくなります。
その流れを整えて治しましょう、というのが鍼なのです。
「欲以微鍼通其経脉、整其血気、営其逆順出入之会。」と昔の鍼の本には書いてあります。驚くことなかれ、二千年以上も前の本ですよ。
水をまくホースを握りしめると、水が流れなくなりますよね。ホースの握る力を緩めると水が元通り流れ出します。体の中もそんなイメージです。
それと陣痛がどんな関係?
陣痛は神経とホルモンによって調整されています。神経はシグナルを発信していますが、神経付近の組織が緊張していると、シグナルをうまく伝えられません。また、ホルモンを運ぶのは血液です。流れが悪いところがあると、そこでつまってしまうためホルモンが目的の部位に十分に届きません。鍼をすることによって、中枢から運ばれる情報が滞りなく届くようになります。
鍼をして陣痛が強くなったのは、陣痛を促す信号や情報が伝わりやすくなったからです。
理由はもう一つあります。キーワードは「ゆるみ」です。
陣痛は子宮が収縮するときに起こる痛みですが、陣痛が始まったらずっと痛いのかといえば、そうではなくて、痛みには間があります。子宮が弛緩しているときは痛みません。
ゆるんで、ぎゅ~、ゆるんで、ぎゅ~。
の繰り返しです。
ゆるめばゆるむほど「ぎゅ~」の効果が高くなりますよね。鍼はこの収縮と弛緩のメリハリが出るように働いていたというわけです。
♪むーす~んで、ひーらーいぃて。鍼を打って、むーす~んで…
つづく→鍼灸師とお産(12)


コメント
「霊枢・九鍼十二原篇」ですね~♪
大昔の書籍ですけど、ま~凄いッスよね~。
恐るべし、黄帝内経。
>鍼師さん
さすがにハンドルネーム鍼師さん。軽く出典を見抜きましたね。ここで鍼の伝統とやらを少し表現したくて、古典をチラッと書いてみました(笑)
本能を喚起・・・非常に気になります。
今回は全く予想がつきません。
クリ助さん、安心して次の記事を書いてください。
鍼が分娩を「速進」って、すっごく重要な発見(周知の事実でしょうか?^_^;)だと思います!
母になる身として分娩の痛みを受け入れる覚悟をしてはいるものの、
痛む時間の少ない方が誰だって良いに決まってます。
あ~、どうやったら世の中に広まるのでしょう。
無力な自分がちょっと情けないデス。
>Chabさん
「本能を喚起」は丁寧に説明したいので、あえて今回は説明しませんでした。お産の痛みって悪者のように扱われることが多いですよね。「痛いけれど、赤ちゃんが生まれたら忘れてしまう」と、マイナスを誕生というプラスで相殺する言い回しってありますよね。でも、痛みの隠れた働きに気が付いたら、そういう発想はしなくなるかもしれません。
Chabさん、無力ではありませんよ。そんなことを言ったら私だって無力ですよ。ここは前向きにこのブログのランキングを上げて、妊婦さんの鍼灸を世に広めようと思います。そのためには面白い記事を書かねば!!
「陣痛速進」「♪むすんでひらいて鍼をうってむすんで」っていいですね。今度どこかで使わせてください^^
陣痛は生理的な(異常ではない)ありがたい反応ですもんね。
確かに当の妊婦さんはそのことを忘れがちかもしれませんね。
親戚に海外で無痛でお産した人がいるのですが、痛みを感じてないのに”push~!”と言われてとても不思議だったと言っていました。
陣痛は息みたいタイミングを知る本能か・・・。自分の体験でもあんなに痛かった陣痛が息んでいる間は全く痛くありませんでした。赤ちゃんの生まれたい行動とお母さんの生みたい気持ちをうまくバックアップしてくれているってことですよね。やっぱりすごい偉い働きですね、陣痛。
たまにトイレで突然生まれちゃったって話を聞きますが、
聞くたびに陣痛経験者としては不思議でたまりません。
そうだったのですね!
参考になります。
漢方薬は、その人の体質と、状態によって違うのですが、よく考えることは血流を良くすること(頚管をやわらかくするために)、脾胃を補うもの(筋肉の力を助けるために、微弱陣痛のときなど)、止血効果のあるものなどを処方します。
どこか似ていますね(*^_^*)
今日もポチっです!
>なちゅらさん
「♪むすんでひらいて…」ぜひ、使ってくださ~い。
このブログを読んだ方に子宮収縮の痛み(陣痛)をポジティブに捉えてほしいと思っています。鍼灸の魅力と一緒に伝えられたらいいな、と思います。
陣痛の不思議に男性の立場から迫ります!あえて挑戦です☆
英語では“push”って言うんですね。初めて知りました。
>サトさん
鍼灸も、その人の体質と状態によって、ツボや刺激量が変わります。漢方薬と全く一緒ですね。
私の鍼は基本的に中医学ベースなので、すごく似ていると思いますよ。「流れ」は、鍼にとってもっとも基本的な作用機序なんです。どこかの流れを整えると、関連した内臓に作用が及びます。
サトさんのブログも応援していますよ。ポチッ!
陣痛促進の為に合谷を補うってのはどうなんでしょう?
ギュ~ッと収斂してくれそうな気がするんですけど・・・。
漢方で脾胃を補うというのは独参湯なんかでしょうかね~??
>鍼師さん
「合谷を補う」という表現からして鍼師さんは中医鍼灸でしょうか?
補気、益気が目的ということですよね。気の動きを活発にするにはよいツボですよね。
私が合谷を使ったのかどうか、また、どんなツボを使ったのか具体的に示す予定です。また、その時にコメントいただければ嬉しいです。
独参湯ですか~、ハードすぎはしませんかね。ここはサトさんにお伺いしたいところです。妊婦さんに使った経験があるかどうかを。
経絡治療系でございます。
まだまだ修行中の身です。
>鍼師さん
経絡治療系でしたか…。
それは私の読み違いでした(^。^;)
こちらこそ修行中の身です。
また、つっこみコメントお願いします♪