手づかみで食べる

第4の技術の続き)

クリ助には2才の息子がいます。

1才が終わろうとする頃、手づかみでものを食べよとしませんでした。本来手づかみで食べるようなものでもスプーンやフォーク(時には箸)を使おうとします。うまくいかないとイライラします。そのため、食べることがストレスになっていました。そんな姿を見ると、ついつい親としては手を出してしまいます。それを繰り返しているうちに、自分で食べることが苦手になってしまったのです。

2歳の誕生日フォークでケーキを食べる

ある日、妻が「手づかみで食べる経験をさせることが大事」だと、どこかで聞いてきました。衣服や部屋が汚れても“親が”イライラしないという決心をし、手づかみで食べさせるように仕向けました。すると、普段のイライラを見せず、夢中になって食べたのです。

それから、少し変わりました。

手づかみで食べることができるようになり、食べることへのストレスが軽減したのです。だからといって、スプーンやフォークのような道具を使うことが嫌いになったわけでもないのです。

この手づかみ経験は、鍼灸師にも当てはまるかもしれません。
箸を鍼に置き換えます。

幼児の頃に、直接手で触って食材の感触を覚える、だから箸でそれを触った時にも、直接触れているかのような感覚を持てます。意識の中で箸は指先と同化しています。

もし、食べものに触れたことがなければ、箸を器用に使えても、食品の感触は平べったく無機質なものにしかならないと想像できます。小児や幼児の頃、脳が学習した手づかみの感覚は、大人になっても残り、箸を使っている時のその感覚が動いているのだと思います。また、箸で料理を味わうのは日本人の得意とするところだと思います。

息子が「手づかみ経験」をしたことで、食への意識が変化したように、鍼灸師にとっても「手づかみ経験」は大事だと思います。確かな手づかみ経験によって、鍼に指先の感覚が宿るでしょう。

鍼灸師の手づかみ経験で真っ先に思い浮かべるのはマッサージかと思います。一口にマッサージといっても、慰安を目的とする「気持ちよい」もの、症状の改善を目的とした医療的なもの、その中間的的なものとさまざまです。手技のタイプもさまざまです。マッサージの世界にも、手づかみ経験では終わらない深い世界があります。

手の世界に深く触れることで、見えてくる鍼灸の世界もあります。

クリ助は、今年「第4の技術(技術を育てる技術)」のヒントを「手の世界」から得る機会に恵まれました。ただし、マッサージとはまた違う世界でした。

出会ったのは古武術です・・・(づづき
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