クリ助の鍼灸院は田舎にあるのが最大の特徴。
周辺は畑ばかり。
新規の患者さん、すぐ手前まで来て電話をかけてくることがあります。
県道から住宅街に入り、住宅街を抜けたところに鍼灸院があります。
「畑に出ちゃった、通り過ぎたかな?」
と思った頃に出現するのです。
周りは畑だらけ。
地方にできる大型ショッピングモールもまた畑の中にできます。
出来てしまうと小さな街のようで、かつては畑だったなんてとても思えません。
大型店とクリ助の小さな鍼灸院を共通点を探そうと魂胆ではありません。
実は、本日市内に大型ショッピングモールがオープンしました。クルマで15分程度。かなり近いわけです。田舎も切り抜けば繁華街があります。ちょっと前までは畑だった、なんて振り返るのは土地を提供した地主くらいなものでしょう(笑)

大型店に商店街が飲み込まれ、その大型店がさらに大きな大型店に飲み込まれ・・・華やかさの裏側で資本力のぶつかり合い。
クリ助の仕事にはあまり関係ない話です。
と言いつつも、2年くらい前に出店の話が持ちかけられました。
「新しくお店を出店する予定はありませんか?」
と女性から電話がかかってきました。ショッピングモールへの出店をサポートするような話だったのです。でも、クリ助には全く興味のない話でした。ずっと小さな鍼灸院でやっていくつもりでしたし、ショッピングモールの鍼灸院なんて、想像できませんでした。
「予定はありません」
の一言で話は終わりました。「うちに電話をするなんて見当違いだよ」と思いましたし、当時は妻がアロマトリートメントをしていたので、目的は鍼灸ではなくアロマだったのかも、と振り返ります。
☆今日、オープンに合わせてそのショッピングモールに出かけてきました。ピタッとと合ったグランドオープンと休診日。
出店なんて関係ない話だ、と思っていたわけですが、立ち位置が少し変わればそうでもなさそうです。隣の業種である整体院や整骨院が入っていましたから。同じフロアにはエステや美容院など。
施設を一回りしてみましたが、鍼灸院はありませんでした(思った通り)。
鍼灸院がないことに対して思ったことは2つ。
1.鍼灸院は商業施設に入るべきではない
2.鍼灸院は商業施設に入り込むことができない
1について。
鍼灸は買い物ついでに行くようなところではない。鍼灸院には症状の重い患者さんも通っていますから、賑やかな雰囲気が体力を奪ってしまいます。それに場の空気が治療にふさわしいかという問題があります。
2について。
鍼灸にはショッピングモールに出店するだけの資本がない、と考えることができます。クリ助も含めて鍼灸院の多くは個人経営。ショッピングモールのテナント料を払う体力を持つのは大変なことです。
鍼灸院はチェーン展開が難しいと言われています。それは鍼灸の特性にあります。鍼灸は難しい技術です。効く鍼をする、効くお灸をすえる、ことは簡単ではありません。患者さんも、鍼をする、灸をすえる、ことに大きな効果を求めています。押したり揉んだりする整体のように「気軽さ」がありません。
商業施設の中で鍼灸院を見かけても「今日は鍼灸でも…」なんてことにはなりません。衝動買いを狙うショッピングモールの意図とは大きくズレます。
国家資格を持っていることが分かっていても、お店の前でパンフレットを配っている白衣の人に、「じゃあ今からハリをお願いします」とはならないでしょう。
鍼灸院には鍼灸院の行くべき道がある、ということが言いたいのですが、この考えが通じなくなる時代が来るかもしれません。むしろそれを望みます。「今日は鍼灸でもやっていこうか」と気軽に立ち寄れる鍼灸院があってもよいからです。クイックマッサージという言葉が流行ったようにクイック鍼灸です。社会にとけ込んだ鍼灸も必要です。
クイックな鍼灸があり、
本格的な鍼灸があり、
こんなふうに広がるのも意味があるかもしれません。
古いから守られているもの、時代に取り残されているもの、鍼灸にはどちらの側面もあると思います。どんな鍼灸を目指すかは鍼灸師一人一人の価値観です。


コメント
今回テナントの話が登場ですが、新宿ルミネからベルクというお店が立ち退きを迫られているというニュースご存知ですか?
法律の改正で店子は使い捨てになっているそうです。
出店しても業績が悪いとすぐに切られてしまうらしです。それが新陳代謝につながりショッピングモールにとっては良いことらしいですが。
鍼灸院がショッピングモールに出店するということは治療を単なる商品と捉えることになるのでしょうか?
その考えには馴染めませんねえ。
>jackalさん
ベルク問題、ネットで調べました。こんな騒ぎがあるのですね。
「治療=商品」かという問題。
鍼灸は国家資格であるにも関わらず医療システムの中に入れてもらえず、社会的に認識は民間療法。かなり中途半端なポジションのように思います。医療と民間療法のどちらにも属することがでできず…。
医療的立場を主張する鍼灸団体あり、そういった活動に属さずエステに取り入れるなど民間施術サービスに徹する者ありで、なかなかこの問題は深いように思います。
他の方はどのようにお考えかな…。
「鍼灸師一人一人の価値観です」に共感します。
その治療院の色に合った患者さん(お客さん?)が集まるのではないでしょうか。
いろんな形があっていい。
またいろんなニーズに応える中で、治療院も治療も変化(成長)していくんじゃないかなあ。
その治療家の芯の部分(価値観)は大事だと思います。
>RIKIさん
貴重なご意見ありがとうございます。
治療院の色、そのバックボーンとなる価値観。患者さんは無意識にそういったことを感じながら治療院選びをされているんでしょうね。
ビジネスの世界では、鍼灸は立ち遅れていると痛感しました。わけあって鍼灸を再開しました。何十年も鍼灸とは縁をもてず、今水を得た魚のようにこの仕事ができる喜びを味わっています。しかし、昔のように、患者さまはきません。鍼の未来を考えると、このままではどうしようもなくなります。いつか生活保護をうける鍼灸師もでるでしょう。今、鍼灸治療を商品としてより一般化していくがを模索しています。というのも、駅ビルの美容のフロアーに出店したからです。お客様取り合戦をみているといろんな面で勉強になります。苦しいけどどうこの世界で、鍼がくいこんでいけるか。単なるお金儲けではなく、長い目でみて鍼灸の世界の良さをわかってもらえるか・・・。一般のビジネスの世界を卒業して、真の健康ビジネスに再び挑戦します。難しいし苦しいからよけいにファイトがわいてきます。
>HEBEさん
HEBEさんの模索にとても興味があります。1年以上前に書いた記事にコメントを頂けて驚いています。この機会に自分の書いたことを読み返してみました。今も考えや想いは同じです。HEBEさんの想いは、どこかの誰かに伝わり、そしてつながっていきますね。
商業施設と鍼灸の組み合わせにはいろいろな意見があることが、この記事のコメントからもわかりました。医療の中に入っていこうとする立場、ビジネスとして成立させようと立場、いろいろのようですね。立場は違っても、鍼灸が好きというところで、強いつながりを感じます。またよろしくお願いします。