■骨盤の歪みが原因!?
「整体じゃないから、歪みはわからないですよね?」
触診中、患者さんから時々言われます。
この他にも、
「歪みは整体に行かないと取れませんよね?」
といった言葉を頂くのです。
このような質問が飛び出るのは出てくるのは、鍼灸は骨格を調整することができないというイメージがあるからだと思います。
「骨盤矯正」、よく聞かれる言葉ですよね。
骨盤がどうなっているのか…気にされている患者さんはとても多いように感じます。そういった方は整体院で「骨盤が歪んでいます」と言われた経験があるようです。
「骨盤の歪みを取りたい」という観念が一人歩きしていることが多いです。確かに骨盤はめちゃくちゃ大事です。
でも、骨盤が全てを支配していることもありません。本来は、どこに原因を求めるか…という視点の話。
■ニワトリと卵
鍼灸で骨格は変わるのでしょうか、変わらないのでしょうか。
・・・間違いなく変わります。
ただし、鍼灸では「こういうふうに戻そう」とか骨に対して術者が意識を向けることは少ないように思います(一般的に)。
あくまでも、結果的に骨の位置が“都合のよいところ”に落ち着きます。ここに書いた都合とは、患者さんの心身の都合です。
最近、腰~下肢(脚)に痛みを抱える患者さんに、こんなことを言われました。「飛び出ていた腰の骨が平らになっていた」と。
背骨の本体は円盤状になっていて直接皮膚から触れることはできません。触れられるのは、棘突起と言われるトサカのような部分です。この棘突起の位置が変わった、ということです。
私としては、飛び出ている棘突起を「どうにかしてやろう」という意識は全く持っていませんでした。でも、変化してしまったのです。痛みの緩解と共に。
面白いと思いませんか?
痛みが先にあるのか、歪みが先にあるのか、どちらなのでしょう…。
答えは出せません。相関関係があるとまでしかわかりません。
術者側が何に着目するのか、
患者さんが何を意識するのか、
ということなのです。

■原因と結果
肩こりの患者さんに対して「骨盤の歪みが原因です」と整体院で言われれば、患者さんは「骨盤の歪みをどけんかせんといかん」と思うわけです。
もし、その患者さんに私が「肩こりの原因は足首にあります。」と言って、施術後に肩こりが改善したとします。すると、患者さんは、本当は足首が原因だったんだ、と思うでしょう。
だとしても、足首が原因だったと決めることはできません。腰痛の患者さんの棘突起(トサカ)の位置が変わったように、足首の調整によって、骨盤の歪みも結果的に変わっているかもしれないのです。「足首で骨盤を調整しました。骨盤がよくなったから肩こりが治りました」と3段階で説明することも可能です。
骨格は連動して動きます。調子が悪い時は連動性を失っています。
連動性が戻ればよくなります。その手段は何であっても。
鍼灸では流れが悪くなると(骨格が)歪むと考えます。それに対して、整体やカイロプラクティックでは、(骨格に)歪みがあるから流れが悪くなる、と考えるようです。※両者ともそれぞれ例外はありますが、説明のため単純化しています。

整体院を経てから鍼灸院に、という来院パターンもよくあります。患者さんは、整体院の治療観(視点)を携えたままの場合があります。
「骨盤の歪みが原因と言われました。」と患者さんに言われて、
「鍼灸と整体は違うのです」
と済ますわけにはいきません。説明が足りなければ患者さんは戸惑ってしまうからです。
■患者さんはわかりやすい方に
個人的に感じることがあります。
たとえば、「気の流れを調えます」と説明されるより、「骨盤の歪みを調えます」と説明された方がイメージしやすく納得しやすいだろうな、と。
この差を埋める努力が、“今の”鍼灸師には求められているような気がしてなりません。見えないものよりも、見えるものから、という順番を意識することかもしれません。鍼灸施術の前後で変化するものがイメージしやすくなれば、鍼灸を利用する患者さんが増えるでしょうね。
友人の鍼灸師から聞いた話です。友人の師匠先生は、患者さんが鍼灸の効果をその場でわかるような工夫をかなりされている様子です。やはり、名人と言われる鍼灸師には秘密があるようです。
鍼灸とは違う土壌で育った活法。
その術を伝授されながら「わかりやすい鍼灸」を考えることが多くなりました。目指すのは、理論的な明快さだけでなく、体感できる明快さです。


コメント
学校の傍ら整体もやっているので、今日の記事は考えさせられるところ大です。
骨格の歪みを気にする人ってほんとに多い。
まったく歪んでない人なんていない思うのですが。。。
バランスは大事でしょうけど。
歪むことでなんとかバランスを保とうとしている、とも言えるかも。
活法のお話、またシェアしてください。
>RIKIさん
RIKIさんも、骨格に敏感になっている方に心当たりありますか。
骨盤矯正などは、療術系の流行りワードと言えるのかもしれません。そういったことに対して準備をしておくこともこれからの鍼灸師は必要かもしれませんね。
身体は有機的につながっていますから、「歪み」と言ってもそれが“原因”なのか“結果”なのか、もしくは症状とは関係ないのかは簡単には言い切れないでしょうね。
すべてありうると思います。
ちなみに椎骨の変位は筋肉の調整をしても変らないことがオステオパシーの解剖実験で証明されているそうですね。
つまり、直接骨を矯正しないと歪みは元に戻らないということです。
でも、原因としての歪みなら矯正すれば症状は治りますが、結果としての歪みなら矯正しても再び歪むだけですね。
つまるところ、病の原因は簡単に分からないから、診立てが分かれて、こういった混乱が起きるんですね。
>jackalさん
オステオパシーの解剖実験で証明されているのですね。
後で詳しく教えてください。
歪み一つとっても、奥深いですよね。
今日も患者さんから「骨盤が歪んでいるんです」と言われました(笑)