スゴかった! 男子100m(世界陸上)のボルト!
陸上ファンでも織田裕二でもない私が夢中になってしまうのは、身体の最高のコンディションを学ぶことができるからです。
100mの直線を走り抜けるというシンプルな競技は、特にその差が比較しやすいです。
陸上経験もなく運動の専門家でもない(今じゃすっかりインドア派の)クリ助ですが、ボルト選手の走りを観て強く感じたことがあります。
鍼灸師という治療家の立場で書きます。
ボルトはリラックスして走るという話は北京オリンピック以降、あちこちで言われていますね。肩甲骨の動きがよいだとか、そんな解説も耳にしたことがあります。
確かにリラックス度がハンパではありませんね。画面に映る下半身を隠して映像をみると、もっとよくわかります。あまりにも不思議でならないので10回くらいやっちゃいました。Youtubeにアップされている動画などで試してみてください。スタート直後のほんのわずかな時間を除いて、まるでランニングでもしているような。
確かに肩甲骨の動きはスゴイですし、全くその通りだともうのですが、
肩甲骨の動きの柔らかさだけで、あのパフォーマンスは説明しきれません。鍼灸師の立場で観ると胸椎の動きがとんでもなく滑らかなのです。ボルトの胸椎は他の超一流選手と比較してなおいっそう柔軟に動いています。
スタート前のリラックスした様子も話題になっていますが、それも胸椎と無関係ではないように思います。肩甲骨の間にある背骨が胸椎(上部)ですが、この胸椎上部には「神」や「霊」と名のつくツボがあり、胸椎を挟み込むツボには「心」という名のつくツボがあります。これは、胸椎が精神状態と深く関わっているからです(臨床でも精神の安定に胸椎周辺は多用します)。
あのリラックスした態度と胸椎の超絶的な動きは無関係ではありません。胸椎の動きがよいからリラックスできる、リラックスできているか胸椎が動く、ってことになります。ボルト選手自身がどこまで意識しているのかは不明ですが…。そもそも、こんなふうに頭で考えている間は胸椎が滑らかに動きません(だからデスクワークで肩や背中がこる)。

<胸椎が超絶的である証拠>
北京オリンピックの欽ちゃん走りにしても、トップスピード(強い負荷がかかっている状態)で、あんなに上体を捻ったら、普通は体がおかしくなります。胸椎が柔軟に動いているからこそ、腰椎があまり影響を受けず下半身がパワーを発揮し続けていると考えることができます。
胸椎は頚椎にも大きく影響します。胸椎の動きが悪くなると頚が動かなくなります。むち打ち症状で頚が痛くなるのも胸椎が大きく関与しています。頚に痛みがあるからと、頚椎を牽引、頚に電気をピコピコ…、それでよくならない患者さんをよく診ていますが、胸椎の柔軟性を回復させると同時に頚椎の症状が和らぐこと多いのです。
今大会の100m決勝でも、ボルト選手は横を振り向く場面がありましたね。
あんなことも、胸椎周りがガチガチに硬くなっていたらできないことです。
ゴール間際で「流している」ように見えるのもこの胸椎だからこそでしょう。
胸椎の滑らかさは全身をバネのように使う効果があると同時に、腕の振りをラクにする効果があります。
いくら肩の力を抜こうと思っても、胸椎の動きが悪いと腕に力が入ります。たとえば、腕に症状がある患者さんの胸椎にちょっと仕掛けをするだけで、腕が軽くなります。100分の1秒を競うトップアスリートの場合、腕の振りがわずかに変化するだけでもタイムに影響を与えるはずです。
身心をリラックスできるのも、全身をバネのように使えるのも、腕を強く大きく振れるのも胸椎がスゴイからです。
その結果、脚があんなに素早く動くのだと思います。ボルト選手の筋力が桁外れだとしても、筋肉だけであの動きは説明できません。
胸椎だけボルト選手のパフォーマンスは説明できるものではありませんが、なぜか話題にされないスゴ胸椎。だから、今日は胸椎を語ることにしました。


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