■花粉症は治らないと誰が決めた!?
患者さんと話をしていて気がつくのは、治らないものと思っている方が多いことです。
「誰でも絶対に治る!」と断言することはできないものの、高い確率(少なくとも9割以上)で大幅な改善がみられ、ほとんど症状なし、全く症状なし、という方も少なくありません。
鍼灸で花粉症が改善するというのは紛れもない事実で、鍼灸師の立場から多くの事例を目撃しています。テレビや新聞で大学の教授が花粉症を説明していても、鍼灸師が知っている「花粉症の診断点」について触れられることはありません。花粉症の人には明らかな特徴が出ているというのに…。鍼灸師のように一日中、患者さんの体に触れている職業だからこそ気がつく事実があります。
世の中にほとんど知られず、ひっそりと効果を上げている治療法。
鍼灸のことです。
■定番のツボで壁にぶつかる
鍼灸師になって間もない頃は、花粉症の改善例にあまり出会えませんでした。年月と共に徐々に増え、2年くらい前から急激に増えました。そのわけは、技術の変化にあります。
具体的に書くと、治療点から診断点に変更したツボがあります。
それは「風池(ふうち)」というツボです。女性誌のツボ特殊の記事などではおなじみのツボだと思います。

(写真:モデル=息子のクリ太)
風池と鼻の症状(鼻水、鼻づまりなど)は関係が深いのです。
花粉症の治療穴(ツボ)として、いろいろな本に「風池」は登場します。
それに倣って、適切な鍼を施せば花粉症の症状が和らぎます。
でも、大きな壁に当たっていました。
その壁とは「症状がすぐにぶり返す」ことです。
一旦はよくなっても、すぐに戻ってしまうのであれば何のために施術をしたのかわかりません。薬よりも高くなる鍼灸の施術料。もし、その場しのぎの効果だけなら、患者さんが花粉症対策に鍼灸を受けるメリットが薄くなります。
東洋医学を駆使しながら「風池に頼らない方法=体質を考慮しながら行う方法」を模索してきましたが、私の学問に限界があり、納得できる結果にたどり着けませんでした。
どうにかならないものか…
ある時、風池付近のコリ感に悩まされる患者さんがやってきました。コリの部分=風池に鍼を施し、その場でラクになってもすぐ元通り。風池に原因がないからです。
風池はどこかの問題が表面に表れる(自覚できる)ポイントなのです。反応点と考えるべきです。A(原因)→B(反応点)という場合、Bにアプローチしても根本的な解決にはなりません。
■患者さんと模索の日々
患者さんの協力を得ながら、風池にコリをつくる原因を探しました。ちょうどこの頃、活法(かっぽう)に出会っていたため、私の中に動作分析が定着していました(動作の連鎖性理論)。風池にある筋肉がどこと協調しているのか、という観点から原因点を探りました。実は、この風池というツボは、やっかいなところなのです。立体的に筋肉が入り組んでいるからです。
複雑だから攻略が難しい代わり、攻略できたらスゴイことが待っているわけです。
試行錯誤は続きました。
患者さんは一進一退の中で希望をもって通ってくれました。この患者さんのおかげで現在の花粉症治療にたどり着くことができました。でも、その患者さんには花粉症がないのです…。花粉症には風池以外にポイントがあるってことです。第二のポイントは別の機会に。
■陰陽で筋肉がわかった
筋肉は骨から骨につながっっています。始まりのところは「起始」、終わりは「停止」、合わせて「起始停止(キシテイシ)」なんて言葉がよく使われます。国家試験の問題でも定番です。この起始停止周辺には面白い特徴があって、その筋肉全体を緩ませることができます。
(起始)A…B…C…D…E(停止)
AがゆるむとA~Eすべてが緩みやすい傾向があるということです。たとえば、パソコンで腕が疲れてしまった時、肘が緩むと肘から手首まで緩んで前腕の疲れがとれる、といった感じです。
ただし、肘に鍼をすればパーフェクトかというとそうではありません。
「まだ、ここに違和感があります」
と患者さんが残った違和感を指摘することがあります。起始と停止だけに着目したのでは、中間点のBCDに対しては完全に対応できない、ということになります。違和感の残ったところに直接鍼をするという選択肢もあります。ある時点まで私はそうしてきました。しかし、ある時、ふと気がついたのです。AとEが互いにパートナーであるように、BCDにもぞれぞれパートナーがいるはずです。
風池がやっかいなのは、筋肉が立体的に入り組んでいることだけでなく、BCDにあたる中間点に位置しているからだと考えます。違和感が残ったとき、そのパートナーを探すのが難しいポイントなのです。だから、局所を狙う、という手法から抜け出せずにいたのです。
もし、パートナーが見つかったら、それが治療点です。
風池が一瞬にして緩む治療点があります…。
つづく…花粉症の治療点(前編)
<思い出した話>
風池というツボは、視力アップのツボとしても有効です。鍼灸学校2年生の時、検査検査の直前、自分の風池に自分で鍼をしました。前年度より視力アップしていました(一時的に)。



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