五十肩のツボ発見!?

患者さんから思いがけないことを教わることがあります。
今日は、最近の例を紹介します。

五十肩の患者さん。

何度か目の来院の際、興味深いことを突然言われました。
肩が痛くなる前に足の指の水かき部分に痛みが出たという話でした。詳しく聞いてみると中指と薬指の間です。挟むように押すと強い痛みが出るというのです。

最初の一瞬は何かの偶然かもしれないと思ったのですが、ひょっとすると関係があるかもしれない、と思い試験をしてみることに。

その試験とは実に単純なものです。
私の指で患者さんの水かきを挟んで、その状態のまま肩を動かしてみるのです。痛みが軽減したり、可動域が変化したら使える「ツボ」です。

「ちょっとやってみましょう」

と患者さんに誘いかけると、患者さんは乗り気でした。ツボの力を一度でも実感された患者さんは、新しいことに協力的です。「今度は何が起こるのだろう…?」と。

実験室となったその部屋で、水かきサンド!

「さあ、前から上にどうぞー!」

合図に合わせて患者さんの腕が天に向かいます。

「あ、挙がります!」

完全に天井を指しているわけではありませんが、明らかにサンドする前の上がり方が違っています。想像もしていなかった変化に患者さんも私もニヤニヤ。

その後、このツボに鍼をすると、患部の左肩に痛みが巡るように出現したのです。患者さんはかなり痛がっています。しばらくするとその痛み消失し、肩が水かきを押してテストした時と同じようにラクになったのです。

水かきのツボ

鍼には「響き」と言われるものがあります。「痛い」のとは違う性質のもので、指圧をされた時に「ツボに効いてるぅー」とわかるあの感覚に近いです。鍼をした周辺でも起こりますが、遠く離れたところで起こることが鍼には多いのです。意図的に狙う場合もあれば、このケースのように結果的に起こることもあります。

「響き」の中には、痛みと区別しづらいものもあり、このケースのように「痛みの再現」として生じることもあります。これが「悪化」」ではなく「響き」の一種であることは、その後、痛みが消失し、鍼をする前よりもラクという感覚になることで確認できます。

中指と薬指に発見したツボ。
いったい何なのだろう…、と思って調べてみるとことに(サラリと)。

本棚にある『針灸奇穴辞典』によると、八関(はっかん)というツボ(P.303)の一つになります。しかし、この症例で反応がある(押して痛い、押すと肩がラクになる)のは、中指と薬指の股の中指よりの1点のみです。八関と同じと考えるわけにもいきません。

これ以上は謎を追いかけず、こういう事例があったことを秘密のノートに記しました。鍼灸の古典を紐解いて謎解きをしたいところですが、老後のために残しておきます。このツボの秘密、もしご存じの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。

その後、他の患者さんで反応を探したところ、どうも中指と薬指の間とは限らないようです。他の間に出ているケースがありました。効果の及ぶ範囲も検証していますが、患ってから時間が経過している五十肩に対しては可動域には変化は期待できません。急性期に活躍ししそうな予感です。

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コメント

  1. sano より:

    本日、活法体験会でお世話になりました。sanoです。
    又改めて体験会の感想をメールを送りたいと思いますが、気になる記事が掲載されていたので、レスだけさせていただきます。
    五十肩の動きの可動域制限がどういったしいで何運動している場合に、痛みの部位の表記がないので憶測ですが、経筋治療の時に用いる液門ではないかと思います。経筋治療の際の液門穴は反応点が薬指の付け根付近の圧痛点というふうに本に書いてありました。(誰でもできる経筋治療 篠原 昭二 (著) )
    やっている方法も経筋治療を行う際にやるテスト法と同じことをしているようなので、レスをつけさせていただきました^^

  2. クリ助 より:

    >sanoさん
    昨日はお疲れ様でした。
    コメントありがとうございます!
    可動域チェックの方向と痛みの部位は省略してしまいました。この患者さんの例では屈曲と外転時に痛みが強くなるのですが、それがこのツボで緩和したのです。痛みは肩関節周辺に広く出てしまうため、具体的な1点は示せませんが、前面から側面にかけての部位です。痛みがツボによって緩和され残ったのは前面の方でした。
    さっそく、手元の『誰にも出できる経筋治療』を開いて液門の位置を確認してみました。この本によると液門は薬指と小指の間になりますね。学生時代の教科書も開いてみました。薬指と小指の間でした。
    篠原先生の経筋治療の液門の使い方に非常に近いし、効果も類似しているような気がするのですが、位置が液門とはちょっと違うんんですよね。でも、液門の裏側だから裏液門とでも名付けましょうか(勝手すぎ?)。
    あと、これは私がそう習っただけなのか勝手な解釈が入っているのかわかりませんが、液門は水かきの近くでもかなり指に沿ったところにあるのかな…と。本来は文献を探ってから書かなければいけないことですが…(すみません省略)。間違っていたら申し訳ありません。今回、患者さんが示したツボって、まさに「水かき」のところで指は当たらないところだったのです。
    もし、この付近にツボを五十肩に応用されている鍼灸師の方がいましたらぜひヒントをください。「自分で調べろ!」って言わないくださいね。

  3. sano より:

    部位としては陽明経筋か小陽経筋の問題のようですね。
    本は図書館で読んだものプラス明治鍼灸大学大学院卒の先生(篠原先生の教え子で私の学校の教員)から直接経筋の使い方を習ったことがありまして、そのときに栄穴orユ穴付近の骨の「両サイドの圧痛点を探るというのがポイントだよ」とのことだったので、経筋治療のツボの特徴として関節の1つぐらいは簡単にまたぐ大きく動くツボだと認識しておりました。すみません。通常用いる液門の位置は私も骨際だと認識しています。経筋の反応の取り方がかなり広範囲だったので「ちょっと違うぐらいは許容範囲かなぁ」ぐらいに考えてましたw
    水かき部分は制熱作用があるというのは、私のお師匠も言っていましたし、おそらく栄穴の身熱治す(痛みを熱と考えれば制熱によって痛みが消える)の作用が波及している部分なのかもしれませんね。労宮以外の栄穴は中指指節関節に存在しているのが単なる偶然なのか・・・。
    五十肩の何パーセントの人に効果があるのか、臨床追試してみると面白そうですね。私も機会があれば試してみたいと思います。

  4. クリ助 より:

    >sanoさん
    「経筋治療のツボの特徴として関節の1つぐらいは簡単にまたぐ大きく動くツボだと認識しておりました。」とうことなんですね。そうすると、今回のツボは「液門のうち」と考えることができますね。
    私の指では、圧痛部分を判別することが出来ませんでいた。圧痛はおそらく2mm四方くらいの範囲に現れていました。かなり狭いというのが感想です。
    効果の現れ方(痛みは消えるが運動の改善はしない=可動域は広がらない)からしても、榮穴の作用(主治=身熱)に近いですね。
    五十肩の痛みに対して榮穴はこれまであまり使わなかったので、急性期の痛みには積極的に使ってみようと考えています。
    いろいろとヒントをありがとうございました!

  5. べし より:

    すばらしい情報をありがとうございます!
    半年間苦しんでいた四十肩が一瞬で治ってしまいました。いまだに信じられない気持ちです・・・感謝してもしきれません。

  6. クリ助 より:

    >べしさん
    お役に立てて嬉しいです!facebookを読ませていただきました。そんな劇的な効果を押すだけで出せるなんて。こちらも驚きました!
    この記事は殿堂入りかな(笑)
    もし、よろしければ、どんなふうにツボを押したのか(or押してもらったのか)、教えていただけないでしょうか。とても気になります。

  7. べし より:

    >クリ助様
    はい。痛かったのは右肩でした。痛くなりだす前から右腕が痛だるい感じがありましたが、今年の1月半ばから肩が痛くて上がらなくなりました。2月中旬に風邪をひいた時には右わきは左わきよりも1度以上体温が高かったです。今は動かさなければ痛みはないという状態でした。
    押してみたのは左足の薬指と中指の間の水かきのところです。クリ助さんの患者さんのようにここを中指の方に向かって自分の左手で押しながら右腕を上げてみました。押す場所、押し具合によって明らかに腕が上がりやすくなる箇所があったので、そこをやや強めに押しながら腕を上げてみました。押している箇所はけっこう痛いですが、上がらない腕を上げている時の肩ほどではありません。そして、足指を押している間は肩を上げても肩は痛くありません。
    夜寝る前にしばらくいろいろやってみると(5分くらい)、足指を押さなくても肩が痛まないようになりました。明らかに肩の可動域が広がり、寝姿勢が楽になりました。朝、起きてみると少し痛みがありますが、以前とは比べものになりません。痛い箇所は肩だったのが肩より少し下の腕になりました。
    今朝は洗濯物を干すのが苦でなくなっていました。ワンピースの背中のチャックも上げられます。この状態が続くと良いのですが、かりにまたぶり返してもツボを押せば楽になると思うと嬉しいです。

  8. クリ助 より:

    >べしさん
    こんな詳しい説明を頂けるとは思っておりませんでしたので感激です!
    痛みのあった肩(右)と同じ側の脇の下の温度が高かったというのは医療者としてとても興味深い話です。素晴らしい観察力と分析力ですね。見習います。
    使ったツボが、痛みの出ている右側とは反対の左とうのも大事なポイントだと思います。この症例では同側でしたが、別の症例では反対側の場合があります。
    このツボがどこまでの五十肩に効果があるのか検証中ですが、今のところ実用性が高いと思っています。鍼灸師でない方がセルフケアとして使って効果が出たのには本当に驚きです。
    詳細なレポートを読む限り、まるでプロのセルフケアのようです。
    べしさん、鍼灸師の才能ありますね(笑)

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