鍼灸院の作り方

■六花(りっか)

医道の日本 2011年3月号

『医道の日本 3月号』が2冊。
一冊は保管用、なんてリッチな買い方はできません。

年間購読で届いたものと、取材協力で頂いたものです。

これまで、何度か取材協力をしたことがありましたが、今回の協力はほぼ何にもしていないので恐縮しています。「地元の群馬には良い鍼灸院ありますよ!」って紹介しただけなのです。紹介したのは、高崎市の「Ricca」という鍼灸サロン。小野里先生が院長の女性専用の鍼灸院です。

女性専用ということで、私のところとは雰囲気がまるで違います。上品な雰囲気が誌面に漂っています。興味のある方は、ぜひ3月号を手にとってください。「待合室の作り方」という企画、154ページです。

待合室の作り方vol.4(医道の日本2011年3月号)

「ホテルの空間づくりを参考に」デザインされた鍼灸院。「あー、なるほど、なるほど」と思いました。他業種をヒントにしているから、(よい意味で)鍼灸院っぽさがないんだなぁと。小野里先生がおっしゃるように、群馬で鍼灸院と言えば、まだ地味なイメージかと思います。まぁ地味でもよいですが…、私たち(鍼灸師)が思っている以上に、地味な存在であってはマズイです。

私も、「地味にならないように…」なんて心がけているわけですが、同じ群馬に「見せ方」にもこだわる鍼灸院があって心強いです。ちなみに、私の鍼灸院デザインのスタートは、喫茶店でした(これまでも何度かこのブログで触れていますが…)。

私の鍼灸院は、鍼灸院を参考にせずデザインしています。「いろいろな鍼灸院を見学し…」という例は多いと思います。それを否定するわけではありませんが、鍼灸院っぽさ(地味なイメージ)を払拭するためには、足りないと思ったのです。私が主に参考にしたのは喫茶店です。にも関わらず、お茶のサービスがないという矛盾。

■省略と怠惰の違い

鍼灸院の作り方に、正解はないと思います。

私から見て「いいなぁ♪」と思う鍼灸院には、必ずコンセプトがあります。だから、私もコンセプトを大事にしようと思います。コンセプトはデザインだけのものではないと思います。私にとって、コンセプトは情報を振り分けるフィルターです。

情報が溢れいる昨今、情報を探すことより、自分に必要のない情報を瞬時に切り捨てる方が難しいと思いませんか?切り捨てる際に用いるのがコンセプトです。コンセプトが異なるとわかれば参考にする必要なんてないのです。後ろ髪を引かれることありません。

たとえば、膝疾患を得意とする鍼灸院と、月経痛を得意とする鍼灸院では、力を入れるところは違うはずです。前者ならベッドの高さなど、段差に対する配慮が極めて重要になってくるでしょうし、後者なら、専用のカルテを用意するなどして、触診ではわからない情報を効率よく得る工夫などが求められると思います。

もちろん、「段差に気をつけながら、女性専用カルテを…」と考えてもよいのですが、リソース(資金、人的資源)は限られています。必ず、手が回らないところが出ます。「力を入れる」ところは、経営戦略セミナーに行けば教えてもらえますが、それを全部やっていたらリソースは持ちません。

そうなると、「上手な手抜き」ができるかどうかが、分かれ道になります。上手に経営している鍼灸院ほど手抜きも上手だと私は感じています。

 コンセプトに基づく手抜きは、「省略」といい、
 コンセプトに基づかない手抜きは、「怠惰」という。

と、私は区別しています。

周りにコンセプトの強烈な鍼灸院が増えれば、私の鍼灸院もコンセプトが光ります。だから、地元に個性的な鍼灸院がどんどん増えればいいなと思ってます。群馬よ、熱くなれ。

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コメント

  1. どらきゃ より:

    以前のコメントでWebデザインをしているとお話した鍼灸学校2年生です。
    先日の”腰痛の原因はいろいろある”を見て、クリ助さんカッコいー!などと関心してしまいました。
    今回の”省略”と”怠惰”も同感です。
    デザイン業務をしていても同じことが言えるんです。
    最終候補のデザイン案2~3点を作る為にそれぞれのコンセプトに沿って考えるんですが、その最終案へ到達する段階をどれだけ省略できるかが作業効率へ繋がります。
    その時コンセプトが決まらずに作業をしていくと、イマイチな仕上がりのものが出来上がってしまう。。。
    クリ助さんはデザイナーにもなれそうですね(笑)

  2. でくの坊 より:

    栗原先生こんばんわ。先生の考えは素晴らしいとは思います。
    しかし(否定する訳ではない)始めて鍼灸院という場所に脚を運ぶ患者は本当に切羽詰まって、一般的な西洋治療あらほぼサジを投げられた方が、ほとんどなのではないでしょうか。自分自身、そうでしたし他に聞いてもそんな方が沢山おります。続く

  3. でくの坊 より:

    先程の続きですが、はじめて行く、藁にもすがるような精神状態で門をくぐる鍼灸院。西洋学で無理と言われたが、此処ならなんとかしてくれるかもしれないと、少しの希望の光が消えないうちに行った鍼灸院。まず養気院を選んだのはシンプルなホームページと過剰とは思えない治療症例を見たからです。しかしあまりに綺麗な待合室などを見て、正直大丈夫かな?とも思いました。なぜなら、治療院らしさが見あたらなかったからです。自分なら、おそらく先生の紹介している女性専用のゴージャスな治療院には行かないでしょう。治療院なら治療院らしさを強調してはいかがでしょうか?なぜなら鍼灸院に行こうとする患者には、治らないかもしれないと言った少なからずある人も多いからだと感じます。そんな人はおそらくホテルみたいにゴージャス綺麗な治療院より治療院らしい治療院を選ぶと思うからです。決して栗原先生の考えを否定している訳ではありませんから。

  4. でくの坊 より:

    色々、素人の自分が失礼な意見を、お許し下さい。しかしなぜ未だに養気院に通い続けているか分かりますか?それは、先生とのやりとりで心が非常に安心するからです。変な感じでしょうが実際そうなんです。西洋学で無理、治らないと言われ、やっとの思いでみつけた鍼灸院。そして自信満々の笑顔で必ず治りますよ!と言ってくれた栗原先生。どんなにか救われたか。西洋学のドクターは公式通りの治療をして、それで無理なら駄目と投げやりに近いいい加減とも思える治療でした。だから自分もいい加減。しかし栗原先生は、ありとあらゆる手段を駆使して治そうと真剣に対応してくれている。当然、患者も真剣に協力?し治そうと全ての部分に改善に向かおうと努力する。自分の場合は酒を断ち運動を取り入れ、生活リズムを乱さない努力を一年近くしております。鍼灸院のデザインも大事だと思いますが、そんなことしなくとも、患者から患者へ伝わります。これからも変わらずな養気院でいて下さい

  5. クリ助 より:

    >どらきゃさん
    地震で私の心はざわつき、返信のタイミングを失ってしまいました。怠惰だったと思います。まだ平常心を取り戻しておりませんが、気持ちを強く持ち仕事に打ち込みます。
    ここからが本題です。
    デザインなんて無縁だと思って青春時代を過ごしていた私が、今ではデザインを考えながら仕事をしているわけで、なんだか不思議です。デザイナーになれるようなセンスは持ち合わせておりませんので、自らデザインは無理ですねー。
    ただ、経営者側に回ったとき、提案されるデザインにOKやNGを出さなければならない場面がよくあると思うのです。その時に、判断材料になるのがコンセプトですね。それでも決まらなければ、自分の好みですね。

  6. クリ助 より:

    >でくの坊さん
    でくの坊さんのコメントを読んで、とても気持ちがラクになりました。なぜなら、鍼灸に対する信頼と期待を感じたからです。鍼灸師である私は、当然「鍼灸ってスゴイぜ!」と思いながら、施術しています。でも、鍼灸の効果を全く期待しない人(否定する人)もたくさんいるようです。そういう中で、鍼灸に希望を感じていただけていることは、鍼灸師としてこの上ない喜びです。
    みんながでくの坊さんのようでしたら、でくの坊さんがおっしゃるように、「治療院らしい鍼灸院」の方がよいのだと思います。
    (づづく)

  7. クリ助 より:

    「技術さえあれば余計なことはしなくていい」が最高峰だと思うのです。私の活法の師匠など、電話帳にもインターネットでも治療院を探すことはできません。噂でしか情報を得ることができません。それでも、患者さんが集まっています。
    ただ、鍼灸師や治療家の誰もがそんな最終形に開業と同時になれるわけではなく、技術以外のところで「気を引く」ことが必要になるわけです。技術は受けて頂くまで評価していただけませんから。
    そんなことから、まずは自分の存在を社会に伝えるために試行錯誤があります。アピールする意味でも、自分の居場所をつくる意味でもコンセプトが必要だと考えています。
    でくの坊さんのコメントを読んで、「治療院らしくあればよい」とあり、これは鍼灸師である私に対する最高の褒め言葉です。鍼灸師の腕を認めていただけたと思うからです。私の想いも伝わっていることがわかり、さらに嬉しいです。養気院はさらに養気院らしさを追究していこうと思います。でくの坊さんのお気持ちを裏切らないように。

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