実は騙されたことがある

振り込め詐欺師(であろう)人から電話をもらって、改めて考えてみました。私が頂く代金の意味について。さらに患者さんが支払う代金の意味も。

代金というからには何かの代わりです。
それはいったい何なのでしょうか…。

まず、鍼灸師として私が提供しているのは「施術」と「施術環境」です。「結果」ではないということです。「結果を保証できない」のが医療の宿命です。こんなことを書くと、結果なんてどうでもいいと思っている鍼灸師と思われると思います。しかし、私がどんなに努力して工夫しようとも、人間の身心を完全にコントロールすることなんて無理です。

「治った」「治らない」を公平に判断しようとするなら、患者さんでもなく鍼灸師でもない第三者が判断しなければなりません。検査でハッキリわかる結果もありますが、そうでないものが実に多いのです。

結果がハッキリわかるものとして、すぐに思い浮かぶのが逆子です。頭の位置がどっちにあるのかは超音波で確認できます。ただ、そういうものは少なくて、検査でわからないものが対象になることばかりです。まず「痛み」がそうです。どれくらい痛いかは患者さんだけが認識できることです。

ですから、「痛みがなくなったら料金を支払います」という約束事は成立しません。施術の代金を支払うかどうかにおいて、痛みの有無は関係ないのです。

私のことを冷たい鍼灸師だと思うと思います。「ご満足いただけなかったら代金はいただきません」と言う方が患者さんウケはよいのかもしれません。実際に「施術料をお返しする」という鍼灸院も存在していますから、「施術料をお返しするのが良心的ではないのか・・・」と考える人もいると思います。もし私が患者の立場なら同じことを考えるかもしれません。

問題になるのはコストです。技術習得のコスト、施設の管理コストなどは、患者さんが満足するしないに関わらず発生します。スタッフを抱える鍼灸院なら人件費もかかります。

いかなる場合でも支払う義務がある患者さんですが、選ぶ権利があります。気に入らなければ他を選ぶことができます。飲食店も同じですね。美味しくても不味くても代金は支払わなければなりませんが、次は他で食べればよいのです。

選ばれる立場にある我々鍼灸師は、患者さんが満足できなければ二度目がなくなります。鍼灸師であるためには、患者さんの満足度は無視できません。ただ、それ以前に医療人ですから、「患者さんに喜んでほしい」と常に考えています。ですから、患者さんが満足できない結果の時は申し訳ないと思います。

真面目で思いやりのある鍼灸師ほど、自分を責める傾向にあります。不甲斐なさを「施術料の返金」で埋め合わせようとする鍼灸師がいてもおかしくありません。今回、私が経験した詐欺は、施術者なら誰でも抱くことがある「申し訳ない気持ち」を利用しているとも言うこともできます。

私が詐欺師と接触したのは、これが初めてではありません。実は開業2年目あたりで騙されたことがあります。全く違う種類の詐欺です。騙されてしまいましたが、事後の処理で被害は免れました。この時も詐欺を見抜いたのはやはりクリ子(妻)でした。私はすぐに人を信用してしまうのでダメです…。

次はいつ騙されるのだろうか…。(騙されたくないけどね)

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コメント

  1. ジャッカル より:

    私は中学時代からの同級生に騙された
    ことがあります。
    その当時友人がスカパーの営業マンをしていました。
    最初は【モニター】になってくれという話でした。
    スカパーと契約だけしてくれれば料金は
    私の口座に振り込むからという話。
    友達だからと契約したのですが、すぐにお金が振り込まれなくなり、自腹で数回払いました(解約しましたけど)。
    すでに営業マンを辞めてしまっていて
    居場所がつかめなかったのですが、家の前で張り込んで、出てきたところを顔が
    腫れるまで殴ってやりましたが。
    被害が小さいなら一回くらいは勉強だと思って騙されることもアリかもしれません。

  2. クリ助 より:

    >ジャッカルさん
    貴重なご経験の暴露、ありがとうございます(笑)騙されたことを告白するのは勇気が必要だと思うので、お仲間ができて嬉しいです。私たちはプチ詐欺に囲まれて生きているのかもしれませんね。
    今回の電話もそうであったように、その場で詐欺だと気がつかないこともあるでしょうから、騙されていることに気が付かないケースもよくあるのでしょうね。

  3. もりた より:

     前回・今回の記事ともに詳細なレポートのようで本当に勉強になりました。
     最近増えているようですね、この類が・・・。
     トラブル回避も私達の仕事と考えさせられます。
     法的に有効かどうかは別として、私は初診時には必ず治療承諾書なるものにサインをもらうようにしています。
     また、何をもって治療とするか?お金をいただく基準とするかは最初に相互意志確認すればグンとトラブルの確率は減ります。
     治療家にも顧問弁護士が必要な時代なんですかね~。
     それにしても冷静なクリ子さんには感服です(笑)

  4. クリ助 より:

    >もりたさん
    治療承諾書ですか。施術者が身を守るにはよい方法ですね。
    ちなみに、詐欺に対する情報交換って、あまりないですね。だまされたとしても、「だまされる方が悪い」的な雰囲気があるから、だまされた人は口を閉ざす傾向にあるかもしれません。顧問弁護士、お、お金かかりそう…。

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