腰痛をどう考えるかによって、施術家のスタイルは変わってくると思います。内臓(調子)の問題を重視する施術家もいれば、経絡(気の流れ)を重視する治療家もいれば、痛みの局所を重視する治療家もいます。どれが優れているというわけではありませんので、、施術スタイルとしてとらえていただきたいと思っています。
私としては、一つの見方にこだわることなく、あらゆる角度から分析できるようになりたいと思っています。総合的な判断をしようとする中で、患者さんを一種の動物として分析する視点も忘れないようにしたいと思っています。人間は特別な存在であるかもしれませんが、ダーウィンから見たら一つの進化形でしかありません。
発想を原始的でシンプルなものに戻すことで、問題点が見えてくることが多いです。たとえば、腕を前脚と考えてみたりするのです。「人間を冒涜している」なんて言わないでくださいね。人間には四足歩行のなごりは残っています。ですから、肩甲骨と骨盤、肩関節と股関節をペアで考えた方がよい場合が多いのです。肩甲骨と肩関節も連動していますし、骨盤を股関節も連動していますから、腕の付け根と脚の付け根が連動しているとざっくりイメージしていただいた方がよいと思います。
この関係を知っていると、腰痛を腕から軽減させたり、肩こりを骨盤から軽減させたりすることが可能になります。患者さんにしてみれば、「そんな離れたところから何で?」となると思います。前脚と後脚の関係で考えてみると、腑に落ちるのではないでしょうか。
こうして考えると、とてもわかりやすい関係だと思うのですが、経絡(けいらく)で考えると、こうした発想がなかなか出てきません。経絡は、縦と横に走る線でその線の上にツボがあります。経絡は、内臓と筋肉の関係を考える時には便利ですが、動く体がどのようにバランスを取るのかを考える時には役立ちません(少なくとも私には)。
経絡は、電車がダイヤ通りに順調に運行しているのかを考える時には便利です。しかし、実際の体は路線そのものが移動してしまうようなものです。手と肩は離れていると思ったら大間違い。肘を曲げれば一瞬にしてくっついてしまいます。
動物である人間には、物理的な距離とは異なる距離があります。名前がないので「機能的距離」と名付けておきます。極端な例では、指先のしびれと脊柱の関係です。手の指がしびれている時に、脊柱に近い筋肉を緩めるとすぐにしびれがなくなってしまうことがあります。手なら胸椎、足なら腰椎という具合に使います。
話を腰痛に戻しましょう。肉月に要と書く「腰」。言葉通り、腰はいろいろな動きの要所になっています。ですから、腰に激痛があると身動きが取れなくなります。何をしても「痛い」わけですから、腰と機能的距離が近い関係にある部位が多いということです。
腰と言って指すエリアはけっこう広いので、実際に各部位との関係を利用しようとすれば、腰を細かくわけて各部位との関係を把握しておく必要があります。腰と膝の関係一つとっても奥深いものがあります。膝の裏側に「委中(いちゅう)」というツボがあって腰痛に使われることが多いのですが、このツボが効果的な腰痛とそうでない腰痛があります。
腰の痛いところに鍼をして治るのであればラクですが、それで解決するのは腰痛の一部です。さまざまな腰痛に確実に対応するためには、いろいろな引き出しが必要です。その引き出しの一つとして、腰との機能的距離を考えるのが有効です。
多くの患者さんが誤解されていることがあります。鍼で効いたから「鍼は私に合っている」のではありません。整体で効いたから「整体は私に合っている」のではありません。正しい分析や判断をした施術者が、鍼を使ったか使わなかったかの違いです。
そうはいっても、患者さんは「鍼で治らなかったから整体で」とか「整体で治らなかったから鍼で」となってしまうのもわかります。腰痛をどう考えているかなんて、行ってみなければわからないのですから。
最後にもう1回書きます。
施術には、施術者の腰痛に対する考え方が反映されます。腰痛という一つの症状をとっても、本当にいろいろな考え方が存在しています。何が良くて何が悪いかを考えることよりも、どんな時にどんな考え方をした方がよいのか、という柔軟性をもって臨むことが大事かもしれません。
「どんな腰痛でもお任せ下さい」と言うのは難しいことです。だからこそ、どんな腰痛でも対処できる鍼灸師はカッコイイと思います。


コメント
ブログ今回もたまらない内容ですね!
以前から(夜間学生)見ていて
いつも見ながら興奮してしまいます!
今は鍼や整体、矯正、キネシオロジーなど取り入れている治療院に勤務しています(理念が大好きで)
別件ですが
大阪で活法もあれば必ず参加したいです(笑
ブログ
更新、楽しみに待ってます(^o^)
マニアックなのも大好物です!
>yoッシーさん
いつもありがとうございます。マニアックなものどんどん書いていきますね。最近はスキーがらみが多いですが(笑)もっとマニアックなのを用意してあります。
活法もぜひ!
大阪会場の予定はまだありませんが、その時にはよろしくお願いします。福岡会場もぜひ。