■客観視
一昨日は苗場スキー場に行ってきました。W杯モーグル苗場の公式練習が行われていました。本番は明日の19日ですが、マタニティ活法セミナーの講師をするために見に行けません。(大事なのはどっちだ?)
世界クラスのモーグル選手は、公式練習で既にスピード(ターン)と高さ(エア)が雲の上のレベル。目の前で見たら口が開いたままになります。
各選手にはコーチが付いています。スキーに限った話ではありませんが、一流選手にはコーチがいて客観的な視点でアドバイスをしていると思います。鍼灸師の場合はどうでしょう。鍼灸師になるためには3年の専門教育を経て国家試験に合格しなければなりません。この3年間、専門学校や大学の教員が師匠でありコーチです。クラスメイトも大事なアドバイスを得る貴重な仲間です。この3年間でどれくらい、自分の技術を客観視しておくかが大事だと思います。
なぜなら、卒業してしまうと師匠もコーチもいない、という孤独な状況になる場合が多いからです。頼まなければ誰も何も言ってくれません。良き師匠と先輩を求めて就職するというのは賢い選択ですが、いつも思い通りになるとは限りません。
■トレンド
自分の欠点や弱点は、現場で気がつくこともよくあります。最高の師匠は患者さんという考え方はよく知られています。この考え方は大好きですが、自分で気がつけなかったら終わりなので、怖い言葉でもあります。
今の時代、徒弟関係を築くのは難しくなってきています。良い意味で考えれば、色々な技術や色々な価値観に触れる機会が増えたと言えます。悪い意味では、何がよくて何が悪いのかわからず混乱し、いろいろなものをかじって技術が中途半端になりやすいです。
患者さんの意識もどんどん変わってきています。最近では、「テレビで鍼灸をやっていたので受けてみようと思いました」という声が多いです(10年前は、芸能人のリアクションを楽しむ番組で鍼灸が出てくることが多かったように思います)。医師にすすめられて来院する患者さんも増えました。
鍼灸は伝統医学ですから、トレンドに振り回されるのはどうかと思いますが、時代に合わせられなかったら伝統が途絶えると考えることもできます。同じものでも、見せ方や使い方でイメージはだいぶ変わると思います。手ぬぐいがよい例ではないかと思います。うちのおばあちゃんが頭にかぶっていた手ぬぐいだって、ワインをキレイに包んでパーティに持ち込めば、いきなアイテムです。
■切磋琢磨
私には、師匠について生活した経験がありません。弟子入り経験のない鍼灸師の方がずっと多いと思います。これからは切磋琢磨の時代なのかもしれません。仲間同士で腕を磨き合うことで、鍼灸師は腕を上げていけばよいと思います。ウェブのおかげで情報交換がやりやすくなりました。流派を越えた交流は当たり前となっています。多くの情報の中から自分に必要だと思えるものを抜き出して積み上げていくセンスが問われる時代だと思います。
鍼灸師にあこがれた高校生の時(もちろんインターネットがない時代)、こんなふうになるとは思ってもいませんでした。インターネットで何でもわかる時代に鍼灸学校に入学した学生は何を思うのだろうか…。
■錯覚
最後に言いたいことがあります。インターネットで情報を得られるようになると、何でもわかったような錯覚に陥ることがあります。鍼灸師に大事なのは感覚。この感覚を得ないことには、わかったつもり鍼灸師。出来ているつもりでも出来ていないということに。
私のスキーがまさにそうです。雑誌やDVDで勉強したことを雪上でやっているつもりでも、実際は全くできていない、ということが起きています。雪上レッスンを受けてわかったことです(受けなかったら一生わからないままだった)。上手くなるためには、恥ずかしい自分と何度も向き合っていかなければなりません。
自分の姿は自分では見えないのです。DVD教材で鍼灸や徒手療法を学ぶときも気をつけなければなりません。私も勉強会の運営に関わっているので、映像や解説だけで伝えられることに限界があることを理解しておかなければなりません。徒弟制度なき時代だからこそ、手で受け取り、手で伝えることにこだわっていきたいと思います。


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