あるギックリ腰の症例でツボ研究

あるギックリ腰の患者さん。
症状は比較的軽く、背筋をまっすぐにしての歩行は可能でした。

腰の痛みの場所

来院時は発症してから3日目。

症状のマックスは越えていましたが、仕事ができる状態ではなく休んで来院。
一見すると普通(無症状)に見えるのですが、前屈はほとんどできません。

後屈(上体をそらす)、回旋(上体をひねる)の時は痛みが出ません。前屈のみ痛みが出るという症状です。

こんな時どうするのか…。

碓井流活法の腰痛処方で対処できる症例だと思いましたが、今回はあえて鍼灸で!

腰痛のメカニズムを研究するには鍼灸の方が都合がよいです。なぜなら、活法ですと筋肉の連動性が同時にあちこちで起きてしまうため、どの範囲まで効果が及んでいるのか見定めるのが難しいのです。これは活法の欠点?

作用が及ぶ範囲を限定した方が、肉体に起きている問題点が分析しやすくなります。私の感性では、鍼灸の方が作用範囲を読みやすいです。こうして得られた結果を活法に活せることがあります。

症例_ぎっくり腰の症例
(プライバシーに配慮して画像処理してあります)

今回の症例では、5つのツボを使いました。

もっと少数のツボで結果を出したかったのですが、問題点を絞り込めず最終的に5つになりました。スパンッと気持ちよく効いた症例ではないのですが、その代わり、一本一本の鍼がどのくらい効いているのか、可動域で確認することができました。

私の臨床では、写真撮影をよくします。その理由は、患者さんに変化を知って欲しいからです。じつは、患者さんは症状の変化に気がつきにくいのです。

この写真は「無理なく曲がるところまでお願いします」という指示で撮影したものです。

写真でみるとハッキリ変化しているのがわかるのですが、1番目と2番目の写真で、患者さんはあまり違いを感じていませんでした。なぜなら、患者さんの意識は曲がる角度ではなく、痛みの有無にフォーカスされているからです。

ここで大事なのは、施術前に痛いと感じていたポイントを無痛で通過していることです。

この症例で、私が行ったことは次の通りです。

 1.太もものこわばりを取る
 2.足のツボを使って腰椎の動きをよくする
 3.背中のツボをつかって腰の動きをよくする
 4.足のツボを使って腰の深い筋肉(大腰筋)のこわばりを取る

これで終わりにしようかな、と思ったところで靴下を履いていただいたら痛みが残っていることがわかり、最後に右足にある太衝というツボを使いました。大腰筋に効いて、靴下を履くときの動作がラクになりました。

一本一本の鍼の効果(前屈角度)は、小さなものですが最終的には大きな角度になっています。ここまで変わると、痛みが大幅に減ったと感じます。痛みが100%取れなくても、動きが改善しているので翌日にはさらによい状態が期待できるのです。

鎮痛で動けるようになった場合、無理して動いて再発する可能性があります。このように動きに注目した施術では、自然に動ける範囲でしか動かないので、再発の可能性をガクンと下げることができます。

ですから、「その場で痛みを100%取る」ことにこだわる必要はないと考えています。鎮痛にこだわって無理に痛みを取ると患者さんは無理な動きまでしてしまいます。鎮痛も大事ですが、動ける範囲を広げておけば、体は自ら本来の状態に近づいていきます。

動きが回復していれば、患者さんの体に向かって「後は任せたよ」と言えるのです。

動くことによって取れた痛みは戻ってきませんが、強引に消した痛みは戻ってくることがあります。鍼灸は鎮痛作用があるので痛みの局所に使うだけでラクになることも多いです。だからこそ、鎮痛効果に頼りすぎないようにしたいです。

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コメント

  1. kokoro より:

    お聞きします。太もものこわばりは前面ですか?後面ですか?両面ですか?

  2. クリ助 より:

    >kokoroさん
    お答えしますね。
    太もものこわばりは後側です。

  3. くりつま より:

    すごいですね!私の鍼は荒いので 鍼も教えて欲しいです (//∇//)

  4. クリ助 より:

    >くりつまさん
    ありがとうございます。今後、機会ができましたら一緒に勉強しましょう!

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