「マネできる技術」と「マネできない技術」

鍼灸師は教育で変わる

技術の価値を考えると時、二つの視点があるように思います。

 1.マネできる技術
 2.マネできない技術

鍼灸においても、1と2があります。
それぞれの価値は違うと思います。

もし1だけなら、鍼灸師は誰でも同じことができます。
もし2だけなら、鍼灸師は誰もが違うことをします。

学校教育(国家免許を取得するまでの3年間)において重要なのは1です。「誰でもできる」ことを前提としなければ、教育が成り立ちません。しかし、現場に出ると、学校教育の範囲では何も出来ないことに気がつきます。

結果を出さなければ、患者さんに頼りにされません。

前回の記事にも書いたように、鍼灸師の技術は一律ではありません。マネのできない技術の重要性を強く感じます。ただ、マネのできない技術はセンスを問われるため、そればかりを追いかけることには、疑問を感じます。

ここに2つのモデルを用意しました。

2つのモデル

AとBはそれぞれ鍼灸師の実力です。

A=Bだと仮定します。どちらも、患者さんを満足させることができる実力を備えています。違いは、マネのできる要素の割合です。Aは「マネできない」技術が主Bは「マネできる」技術が主です。

世の中の鍼灸師がAばかりであれば、それぞれの鍼灸師は強い個性を発揮します。Bなら、個性は薄くなります。どちらがよいのか、私に決める権限などありません。

ただ、こういうことは言えるのではないかと思います。

 Aは個人的な価値
 Bは社会的な価値

芸術性を競うならAに価値があり、普遍性を追究するならBに価値があります。鍼灸の魅力は、東洋医学という整体観の中で、個人の創造力を発揮できることにあるのかもしれません。

鍼灸師になってから、ずっと思っていることがあります。
それは、Bを支援する人が極端に不足していることです。
(感性はとても大事ですが)感性に依存しすぎていると私は思います。

Aに偏りすぎると、「できる人はできて、できない人はできない」と割り切ることになります。鍼灸師を目指す人間が、割り切れているなら問題ありませんが、現実は、鍼灸師になってから「できる人はできて、できない人はできない」という現実にぶつかります。

学校教育の中で、リアルな患者さんと接する機会は希ですし、在学中に「できる」「できない」を判断できません。わかるのは、「覚えているか覚えていないか」、「上手か下手か」です。

「マネできる」ものにも2種類があります。

ノウハウと教育

1.見たり聞いたりすれば、すぐにできるもの
2.方法を見るだけでは不可能で、反復練習によってのみ習得できるもの

近年、様々なノウハウが出回っており、特に整体(手技療法)では、ノウハウに困ることはありません。お金を出せば、いくらでも教材が手には入ります。

ノウハウ系で重宝されるのは1です。それでも、DVDを観ただけでどこまで再現できるかどうかは「???」ですが、再現できたとしても、ライバルも再現できることは忘れてはいけません。

2は習得に時間が必要です。数時間で可なものから、数年かかるものまであります。ノウハウと違って即効性はありませんが、ライバルはすぐに模倣できません。

スポーツを観て感動するのは、反復練習なしには到達し得ないパフォーマンスがそこにあるからですよね。

施術も、似たようなところがあります。
修練を積み重ねて習得した技術ほど、高い確率で良い結果が得られます。

最初の図に学校教育を重ねてみます。

マネと教育

私には、こんなふうに見えます。

現場の合格ラインと国家試験の合格ラインは、たいぶ高さが異なります。免許を取得した鍼灸師が安定的に活躍するためには「マネできる世界」を広げるのことが早道ではないでしょうか。すべての鍼灸師が、個性や人間性で勝負するにはリスクが高すぎます。

わたくし事になりますが、今年の4月で開業して10年になります。

いつだって気が抜けませんが、開業鍼灸師として10年やってきたことは一つの自信になっています。この延長上に描く未来もあるかと思います。たとえば、スタッフを増やし利、院を増やしたり…と。できるできないは別として、私が描きたい未来ではないようです。

正直にいうと、スタッフ数や院の数を増やしていく仲間を羨ましく思うことが多いです。従業員のいない鍼灸師は実力が足りていないと判断されるのではないかと不安です(もちろん、そんなことはないよ!って言いたいのです)。

マネの拡大

私の関心事は、誰もが一定の効果を出せる鍼灸にあります。マネできる世界を広げることにありあす。そのためには、もっと現場に居続けなければなりません。次の10年も現場に居続けようとするでしょう。そうしながら、後進を応援する方法を考えます。

創造性の活用

最後は、やっぱり創造性だと思います。
理想の鍼灸は、個々の鍼灸師の中にあるからです。

今、ジャンルを超えて素晴らしい仲間に囲まれています。素晴らしい仲間がもっと増えるように努力して、仲間がいなければできないことに挑戦したいです。鍼灸師という立場で、鍼灸師の枠を越えた発想ができる年にします。

何よりも、まず患者さんの役に立つ鍼灸師になりたいと思います。
今年も応援してください。

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