
■腰椎のブレ
すべての慢性腰痛に束骨(そっこつ)が効くというわけではありませんが、あるパターンにおいては効果テキメンです。私自身が学生時代に煩った腰痛も、この束骨で改善しました。今でも、このツボには時々お世話になっています。
慢性腰痛の原因は一つではありませんが、腰椎の4番と5番の動きの悪さが気になります。言葉では「動き」と書いても、実際の動きは微々たるものですから視覚的な判断は難しいところです。
触診によって判断しています。4番と5番の棘突起(骨のとさか部分)の左右のすぐ際が柔らかいかどうかがポイントです。硬くなっているとお腹側に垂直に押す指が沈みません。筋肉が縮みきっているわけですから、動かないと判断できます。
左右が硬くなっている場合もあれば片方だけの時もあります。片側だけの場合の方が、症状が出やすいです。左右両方が硬いことがよいわけではありませんが、左右のバランスが結果的に保たれて、動かないながらに安定していると考えています。

「痛みの緩解」に直結させるには、左右の不均衡を優先させた方がよいと考えています。左右の硬さに違いがあるということは、左右に引っ張る力が異なるわけです。腰をひねった際に回転軸が背骨の真ん中から外れてしまいます。無理な力が関節と筋肉に加わって痛みになります。
「動きの軸が狂うことが痛みを誘発している」と考えて、その改善を試みるのです。こういった考えたに基づけば、慢性腰痛の原因の一つが「回転軸のブレ」と説明できます。これが正しいかどうかはわかりませんが、こうした考え方で挑むと慢性腰痛の正体を具体的なイメージで捕まえられます。もちろん、結果も伴ってきます。
専門的な表現になってしまいますが、どの経絡が病んでいるのかを考える以前に、動きのブレを修正することを優先します。経絡は内臓との関わりを浮き上がらせるには便利ですが、動きの問題にアプローチするには不向きだと私は考えています。
活法(古武術整体)では、回転エネルギーが大事だと考えています。コマは、回ると勝手に立ってバランスを保ちますが、回さずに立てることは不可能です。活法では、人間は動いているから安定する、と考えます。
人間の生命体をコマに喩えるなら、回る力は生まれたときに授かったものです。回る力を増やそうとする発想はありません。ブレた軸を整えて回転力を失わないようにすることが治療です。勢いよくキレイに回っているコマは、まるで静止しているかのようです。
活法を参考に私が定義している「姿勢がよい」とは、いつでもどこでも安定して回るコマです。勢いさせあれば傾いても元に戻ります。
だから、時には傾いてもよいのです。
「よい姿勢とは必要な時に必要な分だけ傾けられる体勢」だと言うこともできます。
■ブレとズレ
「ブレる」という言い方をしてきましたが、これは動いているものに不具合があるというニュアンスだと思います。動いていないものは「ズレる」と言いますよね。
ですから、私はこんなふうに分けて考えています。
動きの不具合(動的不調和) = ブレ
形の不具合(静的不調和) = ズレ
ブレているかどうかは動かないとわかりません。
ズレているかどうかは止まらないとわかりません。
ブレとズレ、どちらも修正が必要かも知れませんが、活法的な視点からすると、ブレを修正するとズレは自動修正されます。その逆は成り立つ場合と成り立たない場合があります。ズレを直したからといって、正しい動きができるとは限らないのです。
目指すのはブレない体!
■スキーと腰痛、そして束骨
私自身の体に起こった現象がとても興味深いので紹介します。
18歳頃の私は、腰痛に悩まされていました。右側の坐骨神経痛もあって、ヒドイ時は歩くのもツライ状態でした。その頃はスキーを本格的に始めたタイミングでもありました。腰痛がスキーで悪化したのか、スキーで腰痛になったのかハッキリはしませんが、せっかく始めたスキーが腰痛で満足にできなかったのです。
ご存じの通り、スキーブーツは硬いプラスチックで出来ています。脚とブーツの間には柔らかい素材でできたインナーがありますが、足には負担がかかります。特に、私の場合は足の小指の付け根が出っ張っているために、衝撃があるとそこに負担が集中します。滑走中にトンカチで殴られたような痛みを感じます。右側が顕著でした。
その部分と束骨が隣り合わせなのです。束骨という大事なツボに強いダメージを受け続けていたことになります。当時は、それが腰痛の原因になっているなんて全く想像できませんでした。
痛くてどうしようもないので、2年目のシーズンはスキーブーツを新しくしました。私の足に合わせてチューンしたものにしたのです。小指の付け根の痛みがマシになり、腰痛もその頃から軽減してきました。
ただ、そのブーツは問題を完全に解決できておらず、ブーツで悩むのが嫌になりスキーから離れてしまいました。結局、本格的にスキーに取り組んだのは大学生の4年だけ。その後、軽く流すだけのシーズンを2年過ごしスキーをやめました。
「もう二度とスキーはしない」と誓ったはずでしたが、ある人に火を付けられ再開を決意しました。そのためにはブーツ問題の解決が条件です。ついに、私の悩みを解決できるブーツ職人と出会えたのです。
「束骨にストレスのないブーツ」=「腰椎4番の動きを止めないブーツ」
最初から、こんなブーツに出会っていたら鍼灸に専念していられなかったかもしれません(笑)
今だからわかる、あの時の腰痛のメカニズム。不思議なもので、スキーの苦い経験と鍼灸師の経験が結びつきました。何事も無駄ではないってことですね。
ついでに、腰椎5番の謎も解けています。
ここにも興味深い事実がありますので、いずれ。
<関連情報>
・束骨を使った慢性腰痛の症例
—————————————————————-
・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
—————————————————————-


コメント
面白いですね!!
動的バランスと静的バランスの観点から
来ましたか。
>ジャッカルさん
コメントありがとうございます!
前みたいに時々感想くださいね(催促)。
Facebookの方から感想を頂くことが増えて、最近コメント欄が寂しい感じですから(笑)
引き続き、面白い記事に努めますね。