肘や膝にも大事なツボがたくさんあります。
今回は膝の外側にある「陽関(ようかん)」というツボが主役です。腰にも同じ名前があるので、膝陽関と言ったり、足陽関と言ったりします。このツボ、昨年の9月に妊婦さんの症例を書いたことがあります。この陽関で背中の痛みを取ることに成功した話です。
この陽関、吐き気にも有効です。妊婦さんに悪阻にもよく使っていますが、妊婦さんでない患者さんにもよく使います。今回、紹介する症例は20代の男性。「緊張すると吐き気が出る」という症状があります。

お腹を触診してみると、上脘(じょうかん)というツボの周辺がかたくなっています。指でそーっと押してみました、そうしたら、のどの辺りに「ウッ」と来たそうです。この男性、肩にある肩中兪(けんちゅうゆ)というツボもこっています。右の方が特にこっています。
陽関というツボを中心に、4点が連動していることがわかります。
・膝の外側(陽関)
・背中(胸椎8番-9番)
・お腹(上脘)
・肩(肩中兪)
一口に「連動」と言っても、瞬時に動くものと、そうでないものがあるようです。陽関に鍼をすると、背中とお腹はすぐに変化しますが、肩中兪というツボがすぐに緩むことがありません。腰陽関に鍼をして、10分程度は待つようにしています。
この事実から一つのことを想像できます。肩中兪のコリは「動きの不調和」に由来するものではなく、「内臓の調子」に由来しているのではないかと。経験的に、動きの不具合で生じている問題点は瞬時に変化します。
陽関→(内臓)→肩中兪
陽関によって消化器の調子が整った結果、肩中兪が緩みます。とはいえ、肩中兪の周りには、動作レベルの不調和で生じているコリが折り重なるようにあるため、肩こりがすべて内臓由来とは言えません。動作レベルの不調和と内臓レベルの不調和が絡んでいることが多いと思います。

肩こりは言葉でいうと簡単ですが、実に複雑です。多くの人に肩こりに悩む理由は、原因が複数あって折り重なっているからだと私は考えています。複雑なものを単純化させるための工夫として、私は、肩こりのエリアを細分化しています。
肩こりをA点、B点、C点、D点、E点、…と区分けすれば、それぞれの点と対となる点(ツボ)から対処できます。本当は区分けという言い方は正しくありません。立体的に重なっているところがあるからです。

「鍼灸師は肩こりくらい治せて当たり前」なんて思われているかもしれませんが、肩こりをきちんと治すためには、肩こりを分析しなければなりません。肩こり部分に鍼をすれば治るほど単純なものではありません。
「いくら揉んでもらってもダメだったのでもう鍼しかない」と最後の砦として私の鍼灸院にやってくる患者さんも多いです。「揉んでも取れないコリに鍼を刺してもらいたい」というイメージをお持ちなら(よい意味で)裏切ることになります。「つらいコリの部分に鍼を刺していく」ということはやっていません。その代わり、肩こりの原因を徹底的に探して対処します。
コリに直接鍼をする場合でも、効果はあります。鍼をしたところは血流が改善して痛みが軽くなるからです。ただ、肩に因果関係が収まっていなければ、なかなか治りません。収まっているケースは、たとえば使いすぎによる局所的な筋疲労です。こういう場合は、痛みやコリ感の部分に鍼をする意味があります。

患者さんの症状が、一つのツボで重なっていることがあります。こういう時は、症状別にアプローチするのではなく、重なり部分を狙うことですべての症状が同時に調整されてしまいます。効率のよい治療とは、重なり部分を利用することだと私は考えています。
効率的な治療とは、自然治癒力を最大限に引き出すことであり、自然治癒力を引き出すためには、余計なことをしないことが大切です。本当によい施術ができた時は、患者さんの負担が少ないだけでなく、施術者である私もラクなのです。
いつでもラクをしたいものですd(-_^)
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・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
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