
■活法(かっぽう)のもう一つの意味
KプロジェクトのKは「活法(かっぽう)」のKです。
活法とは、私が副代表をやらせて頂いている「活法研究会」の活法であり、柔術(古武術)の裏技として伝承されてきた整体術のことです。
この整体術は活法の一部であり、活法の意味はもっと広く「活かす法」全般を指します。あまり広すぎてもいけないので、「人を活かす法」と考えておくとちょうどよいのです。
ということですから、活法研究会は「整体術を通じて人を活かすことを研究する会」と言い換えることができます。「鍼灸師になぜか整体を教えている会」と言われていると思いますが(笑)
「鍼灸師の能力を社会に活かす」という思想が根底にあります。なぜ鍼灸師を特別扱いしているかといえば、私が鍼灸に陶酔してしまった鍼灸師だからです。ただそれだけです。活法で世の中が平和になれば何だってよいのですが、身近なところからやるべきでしょう、という単純な発想です。
■鍼灸学生が対面する厳しい現実
ストレートに言って、鍼灸師に社会的ポジションは用意されていません。就職をしようと思っても鍼灸ができる職場に出会うのは大変です。鍼灸をやらないのであれば、いくらでもあります。「鍼灸の免許を取って鍼灸をしない」という姿勢であるならば、何の問題もありません。
問題なのは、「鍼灸がやりたくて鍼灸師になったのに鍼灸を使う場がない」という現実です。この問題は、私自身も就職活動をした際にぶつかりました。もう10年以上前の話ですが、10年経った今も状況は変わっていません(むしろ悪化?)。
私は、田舎で小さな鍼灸院でやっているだけのごく平凡な鍼灸師でしかありません。でも、この平凡な環境を手に入れるために水面下の努力がありました。平凡な鍼灸師になるだけでも難しい社会であるように思います。
鍼灸は、医療でありながらも特殊扱いをされます。国民健康保険の適用範囲や条件が厳しいため、自由診療を余儀なくされます。余計に儲けようなんて思わなくても、患者さんの負担は大きくなります。
国の医療システムを変える活動という切り口もあるかと思いますが、技術屋の私としては、現状の中で技術を役立てる方法を考えます。
■鍼灸師の3年間を活かす
鍼灸師は鍼灸師になるために最低でも3年が必要です。つまり、すべての鍼灸師には3年のキャリアがあるのです。
「ちょっと待って。キャリア計算は免許を取ってからの実務でしょ?」というツッコミを予想しながら書いています。真面目に考えるならば、学生時代の3年間はキャリアに計算するべきではありません。
ただし現実世界では1~2を無視することはできません。
1.免許の必要のない整体師は肩書きを付けた瞬間に1年目がスタート
2.鍼灸学校の学生の多くは、施療系のアルバイトをして実務経験を積んでいる
ですから、鍼灸師の経験というのは、プラス3年で考える方が現状に見合っています。こうした考え方をズルイと見るか柔軟と見るかは意見が割れるでしょう。
いずれにしても、鍼灸師は最低でも3年は、基本的な解剖学や生理学を学び、東洋医学をかじっているのです。それに、実技練習もあります。本来なら十分なアドバンテージであるはずですが、実際には足かせになっていることが多いのです。なぜなら、勉強する内容と実践で要求されるスキルに大きな開きがあるからです。そして、勉強したことに縛られるからです。
何とも表現しにくいズレを、多くの鍼灸師が感じていることでしょう。
学校が悪いのでも、学校の教師が悪いわけでもありません。
学校での勉強を無駄だと言うつもりもありません。しかし、国家が用意した教育システムに乗っていない整体が、鍼灸師と肩を並べる、時にはそれ以上に活躍している現実は否定しようがありません。
「免許取得のための教育」に乗っている鍼灸師を、「超実践型教育」という急行列車に乗った整体師が追い越していくのです。まず、この現実を受け入れなければなりません。
Kプロジェクトでは、鍼灸師が学校で身につけた潜在的スキルを引き出すことを考えていきます。そうしたことからも「医療ベース」で考えるべきなのです。「慰安ベース」では鍼灸師の潜在能力を活かしきれません。
■鍼灸師が活躍できる分野
腰痛と肩こりを軸にするのであれば、徹底的に極めていく必要があるでしょう。鍼灸に向けられる特別な期待(=鍼灸でなければ治らない)に応えられる準備が必要です。
このように、整体師も得意とする分野に挑んで差を見せつけるのがパターンの1つ目。活法研究会のセミナーは、このパターンで勝負していくために必要なスキルを磨くところです。こちらをレッドオーシャンとしておきます。競争が激しいので海が赤く染まっています。
もう一つのパターンは、整体師が不得意とする分野で準備をする方法です。最近の整体師は得意分野を広げてきているので、全くの新地を手に入れるのは難しいかもしれませんが、緩い場所は必ずあります。
たとえば「逆子」であるとか(Kプロジェクトで逆子を推していくわけではありません)。こちらをブルーオーシャンと呼びます。競争が激しくないので海は青いのです。
鍼灸師のブルーオーシャン戦略で典型的なのは、不妊治療や美容鍼灸でしょう。全体でみればブルーでも、鍼灸師業界では煮詰まった赤になりつつあります。本当のブルーオーシャンなんてどこにもありませんが、青の残るところを探すことは賢い選択になると思います。
私が取り組んでいる古武術鍼法の目的の一つは、青い海を開拓することにあります。鍼灸師しか足を踏み入れることができない海が見つかれば最高です。私たちのとって最高なだけでなく、患者さんにとっても最高なのです。「治らないと思っていた症状が鍼灸で治る」わけですから。
Kプロジェクトが最初に挑戦するのはブルーオーシャン(不妊治療と美容鍼灸は除く)です。まずは2名の鍼灸師に加わって頂くきます。まだ詳細は書けませんので、準備ができしだい、このブログで募集します。
つづき…(Kプロジェクト 養気院の姉妹店)


コメント
>平凡な鍼灸師になるだけでも難しい社会であるように思います。
これを強く感じます。「一人前の鍼灸師になるには10年かかる」なんて言われていますが、それは「公道を安全に走るのに10年かかる」と言う意味に近く、「プロのレーシングドライバーになれる」わけでは無い気がします。
もちろんどの職業に就いても一人前になるのに時間がかかるには仕方ありません。しかし、公道を安全に走るのに10年もかかる職種(鍼灸師)を社会的に健全と言えるのか?ちょっと遠回りしすぎなのでは…と思います。
Kプロジェクト、今後の進展に期待します。
>ぐっちさん
「公道を安全に走るのに10年かかる」という喩え、わかりやすいですねー。
世の中の仕組みは簡単に変えられないので、近道できる意識づくりを行いたいです。