疑わしき成功者の教え

疑わしき成功者の教え

■ハリは効かないと言う人

鍼灸師になっても鍼灸をやめてしまう人。
そうした方に共通していることがあるように思います。

それは「変化を捉えられない」ということ。鍼灸師自身が患者さんの変化に気がつけなければ、患者さんはもっとわかりません。ツボにハリを施せば、必ず身体に変化が起こります。鍼灸学校の学生であっても、開業して10年の私であっても同じです。

上手だからハリが効く、というのは誤りです。
下手でもハリは効きます。

こう言い換えたら、私の言いたいことが伝わるのではないでしょうか。

上手に投げるとボールは飛んでいく、というのは誤りです。
下手でも投げればボールは飛んでいきます。

野球がゲームとして成り立つためには、思ったところにボールを投げる必要があります。そうでなければ、ボールをキャッチすることも打つこともできません。

鍼灸も医療として成り立つためには、狙った所に効かせる必要があります。そうでなければ、患者さんの悩みは解決しません。

ハリが効くとか効かないとか議論の必要はありません。効くに決まっているからです。ツボであろうとなかろうと、鋭利なものが皮膚に近づけば、それだけで身体は反応します。生きているのですから。

「ハリは効かない」であるとか「ハリの効果がわからない」という言葉は、期待する反応が起こらないか、起こっていても気がつかないかのどちらかです。

■ひねくれ者の言い分

本当に残念なことですが、鍼灸師になって鍼灸師として残る人は1%もいません。本当に本当に残念でなりません。もし、99%と1%の決定的な違いを知ることができれば1%に入ることができます。

初老の成功者は言います(成功の定義はとりあえず放棄)。

人間性が大事、経営が大事、一生勉強ですよ」と。

ありがたがるどころか、違和感を抱いてしまう私はひねくれ者です。そんな私にちょっとだけ付き合ってみてください。「人間性」「経営」「勉強」、実はどれも終わりがなく基準がありません。どこまで人間性を磨けばよいのか、どこまで経営を学べばよいのか、一生勉強なんて言われても、“今”に困ります。大事なのは今でしょ。

 A.成功者の性格は本当によいのか・・・
 B.成功者は経営を本当に勉強したのか・・・
 C.一生の勉強が終わっていないのに・・・

<Aについて>
性格がよいか悪いかなんて主観ですからコメントが難しいです。一つだけ言いたいのは、成功者は性格に癖が目立ちます(私の主観で)。 少なくとも、「いい人」であることと、「患者さんに必要とされる人」はイコールではないように思います。

<Bについて>
疑わしいです。開業鍼灸師には、市場を調査してから開業するようなタイプと、やりたいことをやりたい所で突進するタイプがいます。マーケティングの視点では成功するのは前者ですが、後者のタイプから大きなエネルギーを感じることも多いです。

<Cについて>
患者さんに人気のある初老の鍼灸師。過去を探ってみると若い時から患者さんが多いという事実が判明することが多いです。勉強したから人気が出たのではなく、人気があったから勉強を続けられた、というのが真実。

■変化をつかまえる方法

私は思います、AでもBでもCでもないと。

まず、鍼灸師としてやるべきは、変化をキャッチすることです。これさえできれば、気持ちよく患者さんとキャッチボールができます。

ただし、鍼灸で起こる変化には、変化がすぐにわかる即効と、変化が遅れてやってくる遅効があります。即効を制するタイプが得意なのは、痛みへの対応でしょう。いっぽう、遅効を制するタイプで頭に浮かぶのは、不妊治療です(最近は「未妊治療」と表現されることが多い)。

このように、変化の指標を「症状」にする場合が多いのですが、ここに「動きの変化」という指標を入れることで、即効であっても遅効であっても、鍼灸によって起こった変化をいつでも知ることができます。

動きに注目すると、あることに気がつきます。人間はバランスを保とうとしているために、あるところが動けば、バランス補正のために別のあるところが動くのです。「筋肉は単独では活動できない」ことを知れば、嫌でも視野が広がります。

どことどこの筋肉がバランスを取り合っているのかまで分かってしまえば、もう簡単です。あるツボにハリをしたのなら、その相手をチェックすればよいのです。ある所に痛みがあるなら、その相手を調べてみればよいのです。

そうすると、きっとペアで調子が崩れていることに気がつきます。「交通事故に遭って頚が痛い」という患者さんに対しては、頚の相手をよく診るのです。たいがいは肩甲骨に何かあります。

痛いから頚が動かせないと思っているのは患者さんだけではありません。我々鍼灸師もそう思います。でも、肩甲骨が動き出すのと同時に頚が動き出すのをみると、「動かなかったから痛かったんだ」と思えるようになります。

■遅効性の証拠

身体にはゆっくり起こる変化もあります。でも、それだけを待つことにすると、その間、効いているのか効いていないのか、患者さんだけでなく鍼灸師も不安になります。祈るばかりの日が続いてはストレスが溜まります。

症状に対して遅効だとしても、動きに関しては瞬間的に変化します。ですから、これを利用して、症状と関連する動きが結びつけておくのです。そうすれば、遅効を狙ったハリの予測がある程度まで可能です。

つまり、その場での「動きの変化」を観察しておけば、後に起こる「器質の変化」を(ある程度は)予測できるのです。

たとえば、この爪。

爪の変化

私の鍼灸院に通院を始めてから2ヶ月。根に近い方がキレイになっているのがわかると思います。当たり前ですが、ハリをした直後ではこのような変化はわかりません。爪の変化だけを指標にしたら、この患者さんは爪が伸びるまでハリの効果を知ることができません。

遅効は、このような写真でよくわかります。でも、この爪の変化を待てる患者さんがどれほどいるでしょうか。患者さんはすぐにわかる変化を求めています。安心したいからです。

ハリが効いていると確信がなければ、(効いているのに)施術を受け続けることはしません。もちろん、鍼灸師の言葉を信じて通院することはあるでしょう。

通院の必要性を説いて、リピート(再来院)を促すトークが経営学であるというなら、そうかもしれません。でも、トークに関係なく、即効を感じた患者さんは、私が何も言わなくても「次はいつ来ればよいですか?」と尋ねてきます。

なんだかんだ理屈をこねましたが、この記事は、よく撮れたこの爪を見せたかっただけです(笑)

■セミナー告知

私がハリの即効に注目できるようになったのも活法のおかげです。そんな活法の体験セミナーが一週間後です。まだ若干の空きがあります。最後は宣伝となりましたが、即効の重要性は何であれ強調したいことです。鍼灸をあきらめる鍼灸師がいなくなることを強く願っています。

8月25日(日) 上半身編
8月25日

9月1日(日) 下半身編
9月1日

■鍼灸師求人

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コメント

  1. KIKO より:

    私の足も、片方は30年以上前から爪が普通ではありません。原因はわかっているのですが、外用薬は根気が要り、いろいろ試しましたが完治に至っていません。(飲み薬も存在はしますが、高価なことと、内臓に負担があるらしいことと、その割りにそれが効くとは限らないのでということで、最後に相談してみた皮膚科医の方は勧めない、とのことでした。)ですが、最近、なぜか一番大きな親指の爪がきれいになりつつあるのです。 他の症状の為に受けている鍼灸治療が間接的に効いたりもしているのでしょうか??? 恥ずかし過ぎて鍼灸師さんにはその症状について話せずにおります。 半ばあきらめておりましたが、この画像を見せていただき、なんだか希望が持てるような気がしてきました。ありがとうございました。

  2. クリ助 より:

    >KIKOさん
    親指の爪でないところを治療している場合であっても、きれいになってくることを十分にある話です。なぜなら、鍼灸は循環を改善さえる効果が標準装備されているからです。
    恥ずかしいと思わず、相談してみた方がよいと思います。そっけない対応だとしても、恥ずかしい相談だと思うことはないはずですから。
    こちらこそ、コメントありがとうございました!

  3. KIKO より:

     クリ助先生、早々にご回答をくださいまして、ありがとうございました。 私にとって、2013年は鍼灸の恩恵を受けた初めての年でした。あきらめずに試行錯誤して下さる先生方のおかげで、30年以上困り続けた症状にも解消の糸口が見えました。 年末には、歯科で親知らずの移植術を施していただいたりと、何かと治療の年となりました。
     2014年は鍼灸学校に進むにあたり、そこで恥ずかしい思いをしないためにも足の爪もあきらめないでいく努力をする所存でおります。
     

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