鍼灸で一番大切なこと

鍼灸で一番大切なこと

クリスマスですが、鍼灸で一番大切な事は何か考えてみることにしました。一番を決めるのはたいへんですが、あえて絞り込んでみました。

そして出てきた結論は「謙虚さ」です。ブログやセミナーでは生意気なことも言っているクリ助です。でも、患者さんの身体に対しては、すごーく謙虚な方だと思います。どんなにたくさん勉強して知識を蓄えても、患者さんの身体に謙虚でないと本末転倒です。

鍼灸は学問に支えられています。背景にはしっかりとした理論的背景があります。痛いところに鍼をプスっとして怪我や病気を治していくものではありません。痛みや症状の原因にアプローチできなければ、鍼ではありません。

患者さんと接する際には、患者さんの身体と理論を照らし合わせていくわけです。思った通りに患者さんが変化する場合もあれば、そうでない時もあります。この記事で話題にしたいのは、矛盾と遭遇した時に何を疑うかです。

疑うべきは3つあります。患者さん、理論、そして自分の技術です。鍼灸が上手になる人の特徴は、まず自分の技術を疑う人だと思います。次に理論を疑い、最後に患者さんを疑うのです。

時には患者さんを疑うことが必要です。すべてを話さない場合、もしくは忘れている場合もあるからです。鍼をした翌日に「体が痛い」と訴える患者さん。「鍼にも揉み返しってあるんですか?」と。話をよく聞いてみると「鍼する前にマッサージを受けました」と返ってきたことがあります。

問診時に聞き出せなかった私の責任もありますが、話すほどのことでもない、と患者さんが思っている場合は聞き漏らしが起こりやすくなります。「鍼をした翌日に悪化した」と言われた際に、自分の技術や理論を疑うのは大切なことですが、患者さんの行動を疑うことも忘れてはならないのです。

いずれにしても、患者さんの体で起きていることを素直に受け止め、それを中心に状況を分析する謙虚さが必要です。「そんなはずはない」と思ったり、言ってしまったら終わってしまいます。結果には必ず原因があり、因果関係を客観的に見る目が私たち医療者には求められていると思います。

必要があれば権威も肩書きも疑います。私がここで言う「謙虚」とは「偉い人に服従」することではなく、患者さんに起きている現象と原理を素直に受け止めることです。幸い、自由に診療できる立場でいるため謙虚でいることが簡単です。

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セミナーで技術を教えたり、スタッフに技術指導をする時間が増えてきたので、(患者さんに対する)謙虚さを奪わないように注意したいと思います。私の言うことを“絶対”にしてはならないのです。

答えはすべて患者さんが持っている」と言ったのは、私の師匠です。知識と経験が乏しくても、患者さんの細胞が発する声に耳を傾けることができたとき、正解にたどり着けることがあります。鍼灸師のセンスとは、患者さんに耳を傾ける能力で決まるのかもしれません。

メリークリスマス。

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鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
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コメント

  1. sano より:

    今回も意味深い記事ありがとうございます。
    私は治療がうまくいかない時に「謙虚であること」の重要さと「自身を持つこと」の両立が時として難しいと感じることがあります。
    自信の無さが伝われば、患者さんの体は反応してくれなくなりますし、謙虚でなければ患者さんの体の声を見逃してしまいます。
    治療がうまくいかない時、冷静に客観的にその事実を受け入れ、その事実を持ってしても自信を失わない自分の強さが必要なのか、自信を失ってしまう自分の弱さを受け止められる受容力が必要なのか・・・。
    模索中です。

  2. クリ助 より:

    >sanoさん
    「謙虚であること」と「自信を持つこと」の両立は、実に簡単であることに私は気が付きました。「わかること・できること」と「わからないこと・できないこと」に線引きをするだけ。
    「わかること・できること」の範囲内で堂々と、「わからない・できないこと」の領域だと思えば、できそうな人にバトンを渡せばよいと考えています。
    どんなに一生懸命勉強しても、人体のメカニズムを完全に知り尽くすことは無理ですし、むしろわかっていることなんてほんの一部です。社会的に高い地位にある医師であっても、知っていること・できることはほんの一部ですよね。
    だから、勉強した範囲や見える範囲において堂々と、それ以外はわからないと言ってよいと割り切るようにしています。そんなふうに万能を目指すことをあきらた瞬間から自信が出てきました(笑)

  3. sano より:

    レスありがとうございます。
    いいクリスマスプレゼントを頂いたような心境です。
    「線引をする。」やってみたいと思います。^^

  4. ぐっち より:

    謙虚な態度だからこそ、時に患者さんを疑う事も必要だと言う事…主観を排して責任を追及する態度が「謙虚」なのでしょうか。
    ちなみに、私は今年度で鍼灸の専門学校を卒業します。大卒で専門学校に進学した事、在学中に医療系・慰安系のアルバイトをせずに鍼の練習ばかりしていた事、就活に苦労している事、お酒が飲めない事(笑)…まことに勝手ながら、クリ助さんに親近感を感じております。
    Kプロジェクトの成功を心より祈っています。

  5. クリ助 より:

    >ぐっちさん
    「主観を排して責任を追及する態度」、よい表現ですね!
    あとは国試ですね。応援しています。
    そして4月になればライバルですね!

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