活法から学んだ「超自然体」という考え方

超自然体という考え方

■傲慢さに気がつかない

医療者は時に傲慢になることがあります。

その傲慢さに気がつかず、患者さんと接してしまうことがあるのです。私にも心当たりがあります。だから、自戒の念を込めて書きます。

私は医療の専門家ですが、患者さんの生き方にまで口を出す権限はありません。承知しているようでいても、知らないうちに自分の価値観を患者さんに押しつけていることがある、ということを活法の師匠から学びました。それから患者さんとのやりとりにアツレキが生じることがなくなったように思います。

■脅迫は許されない

患者さんが施術(治療)を受けたことをきっかけに、生き方を変えることはあるでしょう。しかし、こちら側から患者さんの生き方を変えようとは思いません。思わないようにしています。

たとえば、「腰の痛みをどうにかしてほしい」という患者さんの腰痛がすっかり消えた時、患者さんが予防のために通うことを望めば拒むことはありません。定期的なケアで通院されている方も、1~2割程度いらっしゃいます。

いっぽう、「また痛くなったらどうにかしてもらえれば、それでいい」と考える患者さんもいらっしゃいます。こうした方に通院を勧めることはありません。症状が出た原因と、施術によって改善した理由については説明し、施術を受けることのメリット、受けないことのリスクを遠回しに伝えます。

リスクについてはストレートに伝えすぎると、「通わないと悪くなりますよ」という脅迫にもなるので、そうしたことがないように気をつけています。

患者さんの不安を利用して通院を続けさせて売上げを伸ばすことは、医療者としては最低です(マーケティング的に正解だと言われても)。「相手の生き方を変えようと思わない」が意味するところは、自分が不安に思うことだとしても、患者さんが不安に思わないのであれば、それを受け入れることです。

「かもしれない」に対する備えは人それぞれです。用心深い人、気にしない人、どちらもいて当たり前です。

■基準は相手が持っている

「前屈した時に手が床に届いた方がよい」と相手の意向を無視して考えるのは、傲慢以外の何物でもないと思っています。逆に、前屈して床に手が届いても、患者さんが腰に違和感を訴えるのであれば、私はお付き合いするようにしています。スポーツ選手のように身体のパフォーマンスで生活している方であれば、普通に何でもできるように見えたとしても、プレー中に問題を感じているのであれば、「大丈夫」とは言えません。

患者さんの要望には、幅があります。その要望を自分にフィルターにかけてしまう行為は傲慢だと私は思います。誰だって、油断すると自分を基準にしてしまいがちです。医療に携わる者も例外ではありません。

■何をやっても大丈夫

活法から「超自然体」という考え方を学びました。一言で言えば、「何をやっても大丈夫」という状態を指します。生活は人それぞれです。それぞれの生活において大丈夫であるならば、それ以上は問題にしません。先ほども書いたように、前屈して手が床に届かなくても、生活において支障がなければよいのです。逆に床に届いていても、パフォーマンスの中で不自由さがあれば、問題にします。

もちろん、私たち医療者は万能ではありませんから、患者さんの訴えることの全てを解決できるわけではありません。スポーツ選手が得意な医療者、高齢者が得意な医療者、妊婦が得意な医療者、というふうに。当然ながら、もっている技術の差で得意な対象の範囲は決まります。

自由診療においては、自分の価値観を大事にしてよいと思います。むしろ、大事にした方がよいと思っています。全く理解できない価値観を受け入れるというのは、こちらも人間ですから難しいのです。鍼灸より帝王切開の方が安心と言う逆子で赤ちゃんを宿している妊婦さんの価値観を私は理解できないのです。鍼灸の実際のところを伝え、それでも「メスの方がよい」と言うなら、ご縁がないものと私はすぐに身を引きます。

「超自然体」というのは、相手の中にあるものです。ですから、自分の基準で相手を評価することはNGとなります。超自然体には「標準値」というものもありません。腕が真っ直ぐ天井まで伸びなくても、本人に不自由がなければ、それを追いかけることはしません。「上まで伸びた方がよいですよ」というのは、価値観の押しつけであり、限度を超えれば、患者さんの生き方を否定することにもなってしまいます。

活法研究会
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コメント

  1. gucci より:

    相手に意見をおしつけない、とても大切な考え方ですね!
    やっぱり活法は奥深いですね!その世界観が大好きです🎵
    僕は最近押し付けるのではなく相手に選択肢を提供するように心がけでいます!

  2. クリ助 より:

    >gucciさん
    そう、活法は技術だけではないんです!
    もちろん、テクニックとしての活法も魅力的なのですが、、、バックボーンとなる思想を育てないと正しく使えないことに、だんだん気がついて来ました。

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