
■隠れて使う古武術
患者さんの前で、古武術について多くを語ることはありません。
私が鍼灸に古武術のエッセンスを取り入れていることをご存じない方が多数通っていらっしゃいます。患者さんにしてみれば、「良くなれば何でもいい」というところであって、必要がない限り強調することはりません。
でも、「イメージしていた鍼灸とはだいぶ違う」と気が付いている患者さんも少なくないので、たまには説明することも必要かと思っています。群馬ではぼんやりとやっていますが、品川の鍼灸院では、積極的に説明するようにしています。
群馬の鍼灸院と、品川の鍼灸院では「古武術」という言葉の露出度に差があります。群馬の方では、ブログから情報を得なければ、そんな鍼灸をやっていることに気が付かないと思います。品川の方では、所々で古武術的な解説を入れています。あえて違う姿勢でやっています。
個人的には、自分の鍼灸が患者さんにどう受け取られているのかを純粋に知りたいのです。それには、「古武術」という言葉は少なめにしておいた方がよいと考えています。いっぽう、品川の方では古武術エッセンスがどのように評価されているのかを客観的に見ています。
■古武術の素人がなぜ?
鍼灸というものは、いかなる学派、流派であっても、「なぜそんな症状が出てしまったのだろう?」と原因を考えます。目が疲れているのであれば、「なぜ目が疲れることになったのか…」と疲労が目に蓄積した理由を考えます。学派、流派によって、その答えの出し方が違います。肉体に表れる数々の変調に対し、拾う情報が違うからです。身体は一つであっても、身体は多面的な存在ですから見る角度を変われば違ったふうに見えるものです。
私が古武術に注目したのは、開業してから5年が経った時です。「ついに出会えた!」と運命的なものを感じました。ここを境にして、症状と動きの関係を観るようになりました。動き方には人それぞれ個性があり、症状を背負っている時は、それが顕著に出ます。内臓の問題でも同じです。「動き」は「姿勢」に表れます。「姿勢」は「動きの一部」だからです。
こうした視点が古武術から頂いたもので、一般的な鍼灸とはだいぶ違うものです。私は古武術の達人でも名人でもなく、古武術をきちんとやったこともない素人です。それなのに、古武術を語ってしまうのは古武術の裏技である「活法(かっぽう)」を習得しているからです。
「古武術整体」とも言われる活法は、相手をやっつける技の正反対で、相手を救う技です。私の目から見ると、活法は、相手の動きを誘導する技の宝庫です。
■動きと姿勢
「動きが変わる」ということは「姿勢が変わる」ということです。
「姿勢を変える」ためには「動きを変える」ことが必要です。
動きを良くしようと思ったら、動きを邪魔しているものを取り除くことが必要です。また、動く方向に助けることも必要です。こうした技法を普段からコソコソと使っているのです。臨床中に行うテストから、ツボと動きの関係がどんどん明らかになっています。ツボを刺激すると、間違いなく動きが変わります。ラクに動けるようになります。
楽に動ける体は、適度にほぐれた体です。柔らかくしなやかです。動きやすくなれば、内臓も精神も一緒に整います。このように、「動きを操る要所としてツボを使う」のが古武術鍼法です。ありそうでなかった方法です。
普段の臨床で、古武術っぽいと思われることはないので、黙っていれば、患者さんはわかりません。「一般的な鍼灸」だと思って受けている方が多いです。一部の患者さんは、熱心にこのブログを読んでくださっているので、バレバレです。
患者さんが思い描いている「一般的な鍼灸」には実態がありません。「普通」だと患者さんが思っている鍼灸を「一般的」と言ってみただけです。鍼灸院を1件しか知らなければ、そこのやり方が普通と思ってしまうものです。痛いところだけに鍼する鍼しか知らなければ、それが普通。痛いところに鍼をせず遠隔のツボを使う鍼しか知らなければそれが普通。時に、鍼を何十本も使うがのが普通。時に、数本だけ使うのが普通。
■カポスの意味
ちなみに、品川の鍼灸院の名は「カポス」です。「活法をする」から「カポス」としました。名前に「動きを変える、姿勢を変える」という意味を込めています。ウェブサイトはカボス色ですが、カボスとは関係ありません。
カポスは、動きや姿勢が、頭痛、肩こり、花粉症などの症状と密接に関わっていることを臨床で実証しています。今は2年目を歩いています。おかげさまで、利用してくださる方が少しずつ増えています。もちろん、まだ若い鍼灸院ですから課題もたくさんあります。確かな歩みで成長していきたいと思います。
私がいる群馬の養気院は、祖父の剣道場の「養気館」を引き継いだものです。竹刀を鍼に持ち替えて名を守っているというわけです。東洋医学っぽいので、この名も気に入っています。
しばらく、群馬と東京の行き来は続きます。移動はたいへんですが、たいへん面白い仕事を得て鍼灸師として充実した毎日です。
■連載
温故知新のVol.9が出ました。私の連載「鍼灸師のための経穴デザイン入門」は第7回となりました。今回の話は、「皮膚で動きを活かす、皮膚で動きを殺す」というテーマで書いています。鍼灸と古武術の関係に興味のある方に読んで頂きたい内容です。

■求人
カポスで働いてくれる女性鍼灸師を募集中です。興味のある方は募集要項をご請求ください。「鍼の技術を徹底的に磨きたい」と考えている鍼灸師には最適な職場です。もれなく活法も学ぶことができます。
■勉強会
鍼灸師のための活法セミナーを行っております。今、鍼灸業界の内外で注目されている技術であり考え方です。鍼灸師のための活法を研究しているのが、私が副代表を務める活法研究会です。ユニークな会です。活法1日体験会(下半身編)は3月1日です。


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