どんな鍼灸師になりたいのか…。

■マッサージを10年続けても…

学生のうちは「経験さえ積めば上手くなっていく」と勝手に思い込んでいました。今になれば、見当違いなことを考えていたものです。さっそく、そもそもの話として、考えておきたいことがあります。

「経験」とは何を指すのか?
「経験できる場所」はどこにあるのか?

ということをきちんと解決しておかないと、「経験積み」というラベルだけの労働を繰り返すことになってしまいます。立派な人がこんな話をよくしてくれます。「どんな仕事をしていても、きちんと問題意識をもって取り組めば全てが経験になる」と。嘘だと思います。私は信じていません。

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環境がスキルアップに重要であることは間違いありません。15年以上、鍼灸に携わってきた者として断言できます。スキー場に行かずにスキーが上手くなるわけがないように、鍼灸をせずして鍼灸が上手くなるわけがありません。

マッサージを10年続けても鍼灸は上手になりません。鍼灸ができる環境にある者が、マッサージをすることで得られる気付きはあると思います。ですが、(鍼灸をせず)マッサージを続けていたら、勝手に鍼灸が上手くなったなんてことが起こるはずがありません。

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触れ方一つ取っても、鍼灸とマッサージでは違います。「同じ」という人もいるかもしれませんが、それは共通点を指して言っているだけのことで、それぞれで重要なポイントが違います。さらに突っ込んでいえば、鍼灸にしてもマッサージにしても「○○式」がありますから、流派が違えば触れ方は変わります。診ているところ、重視しているところが違います。

■常識は職場がつくる

私が所有している免許は「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」の3つです。いわゆる「鍼灸マッサージ師」になります。整体術も習得しているので、「鍼灸マッサージ整体師」です(整体にはそもそも免許がありません)。

このブログで何度も話題にしている、医療と慰安の区別。本当はそこに美容も加えたいのですが、整理が追い付いていないので保留としています。「鍼灸マッサージ整体師」的な状況が、自分が何者であるかをわからなくしているのです。そこに「柔道整復師」を加えると、「治療家業界」というカテゴリとなります。このようにして、私たちはまとめられてしまいます。そもそも治療家とはなんですか?誰のことですか?「治療家」は便利な言葉でありながら、危険な言葉です。

鍼灸の免許を取ったなら、
どんな鍼灸師になりたいのか?

自分の中に答えがなければ、必要な経験を積むことはできません。慰安の現場で医療を学ぶのはとても困難ですし、逆も言えます。相手が求めていることをしっかり区別できていれば良いのですが、最初から分かっている者はほとんどいないと思います。

初めて経験する職場の常識が業界の常識になってしまうことがほとんどです。実際として、職場の常識と慣習を受け入れ続けることが「経験を積む」ということになります。そこで「なんか違う」と感じる時は、「何を目指しているのか?」と自分に問う必要があります。求人する立場となった今、恐れているのは、入ってきた人に「なんか違う」と思われてしまうことです。だから、普段から考えていることは表に出すようにしています。

■修業時代

鍼灸に限らず、独立開業を前提としている業種では、勤務している時期を「修行」と呼ぶ慣習があるように思います。私もよく訊かれます。「どこで修行していたんですか?」と。

「修行時代」という言葉もあるように、「修行」している時期は半人前扱いです。こう考えると、勤務している時期は半人前で、独立すると一人前、という流れになってしまいます。でも、それは違いますし、少なくとも私は違うようにしていきたいと思っています。

「技術に自信があるから独立する」

世間はそう思っているのかも知れません。確かにそういう人もいます。でも、本質的には技術力と独立開業は、別の次元です。独立とは新しくビジネスを立ち上げることであり、技術力がその一旦を担うとはいえ、別の話です。

鍼灸業界は、超小規模ビジネスの集合体です。開業が珍しくありません。だから、外からも内からも、「独立してナンボ」だと思われています。外からそう思われるのは仕方ないにしても、内にいる者は、冷静に考えなければなりません。

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独立開業は、車の発進と同じで巡行の何倍もエネルギーを必要とします。金銭的にも、体力的にも、精神的にも。その結果、技術を追究する余裕が消えてしまうこともあります。そして、どのみち独立開業は孤独です。

それなのに、なぜ独立しようとするのでしょうか。
その話は、次回

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