古武術鍼法の解説と勉強会(3/3)

この記事は、専門家(鍼灸師)向けの情報です。(2/3の続き)

■ブログを休んでやっていたこと

前回の更新から1ヶ月も空きました。ブログを休んで取り組んでいたのはカポスの経営です。昼間は施術業務で埋まっているため、経営者としての仕事は夜に集中します。普段はブログを書く時間を設けているのですが、この1ヶ月はカポスに集中していました。

おかげさまでカポスは成長しています。7月から3人体制となりました。これに合わせて、ルールやシステムを再構成する必要がありましたし、技術力の再強化も行っておきたい時期でした。先月は思い切って群馬研修という初の試みを行いました。

私が普段いるのは群馬です。施術は私が一人だけ。妻のクリ子が受付などサポート(夕方まで)してくれる体勢です。静かな群馬の鍼灸院に3人もスタッフが増えたので、研修中の3日間は今までになく賑やかでした。スタッフルームはギュウギュウ。

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■従来の鍼灸が苦手とするもの

私とカポスの3人が使っているのは、活法(古武術整体)由来の「古武術鍼法」。ユニークな技術です。鍼灸の手法は数えきれませんが、この方法ほど「動きの調整」に長けているものを知りません。

一般的に、伝統的な鍼灸の目的は「流れの改善」に主眼が置かれています。「気」や「血」の流れを整えることで、免疫力や回復力をアップさせようとする考え方です。

こうした鍼灸に異を唱えるつもりはありませんが、ある領域において弱さが見えることがあります。それは筋肉調整です。プロ選手を見ている鍼灸師の鍼灸でさえ、筋肉の痛みや疲労を取ることが主であり、筋肉がベストな筋力を発揮するような技術を持っていません。

こんな生意気が言えるのは、活法(古武術整体)が出来るからです。活法の筋肉調整術の成果を常に目撃していると、こう思わざるを得ないのです。鍼灸は素晴らしい治療法であり調整術です。しかし、「流れの改善」もしくは「鎮痛」という切り口から使うばかりでは、「動きの調整」を戦略的に行うことが難しいのです。

■動きの改善が先か、痛みの軽減が先か

もちろん、鍼灸でも動きがよくなったり、可動域が改善することは普通にあります。ただ、それは痛みを取った結果として得られる副産物でしかありません。たとえば、坐骨神経痛の治療をする時。多くの場合、その痛みが取れたら動けるようになる、と考えます。しかし、活法では違います。動けるようにしながら、痛みを取っていくのです。「動き」を作る方が先なのです。

痛みを訴えている患者さんを目の前にしながら、「『動き』の方が先」と考えることは容易ではありません。普通は、「その痛み、どうしたら消えるだろうか」と考えてしまうからです。患者さんの辛そうな顔を見れば見るほど、意識は鎮痛に向かってしまうのです。活法では、どの動きに問題が起きているのか、という視点から痛みの原因を考えます。そして「動き」の調整を行うのです。

その結果、「痛み」もきちんと取れるのです。鎮痛目的の治療と決定的に違うのは、「動きやすい状態」になっていることです。必要なところに必要なだけ力が入る状態です。これは、患部に負担がかかりにくい状態です。さらに良いことは、動けるので、患者さん自らもっとも安定するポジションへの自分の体を導いていけることです。

■活法(整体)を鍼灸で使うには

手技である活法は、そのまま鍼灸にはなりません。整体は面からアプローチできますが、鍼灸は点からしかアプローチできません。

整体では、患者さんの体を動かしたり引っ張ったりすることもできます。しかし、鍼灸は、相手にいったん静止してもらってから、その体のツボに鍼や灸を行わなければなりません。痛みのある患部に鍼をした後に、体を動かす方法もありますが、それは、あくまで「鍼+運動」です。ツボで動きを改善させていることにはなりません。

ツボに鍼をするだけで、動きが改善させるにはアイデアが必要です。私が注目したのは張力です。ある点Aと、ある点Bが引っ張り合う力です。ただし、これは解剖学的な事柄ではありません。筋肉の起始と停止の話ではありません。

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人体は、常によいバランスであろうとします。無意識に直立していられるのもそのおかげです。たとえば、腰に力が入りすぎていると肩も力が入りすぎます。筋肉が繋がっているからではありません。筋肉が繋がっている、繋がっていないに関わらず、バランスと取り合おうとするポイントが存在するのです。

筋肉は、弛緩と収縮しかありません。ある程度の収縮をすることで、適度な緊張を保っています。ある程度の緊張は必要です。筋肉の性質上、筋肉が収縮すれば引っ張る力、つまり張力が発生します。この張力が適度であれば動きやすく、過度であれば動きが悪くなります。ちなみに、不足であれば動けません。

この張力の過不足を調整するのが古武術鍼法の目的です。基本的なルールは、A点を張力を適正化したいのなら、そのA点とペアとなって張力を発揮しているB点に鍼を行います。A点とB点は、たまたま同一の経絡上にあることもありますが、経絡とは無関係に存在しています。

■経絡を遵守する治療が正統か

経絡を基準に考えてしまうと、見つかるはずのA点とB点が見つかりません。張力を整えようとする時、経絡という視点は邪魔になります。しかし、鍼灸学の基礎は経絡と言われていますし、学校でも経絡ばかりを勉強することになっています。「経絡を遵守する者が正統な鍼灸家」というイメージがあります。

私が、鍼灸師になって目指していたのは、まさに「正統な鍼灸家」でした。伝統を重んじる真面目な鍼灸師が理想だったのです。しかし、今では経絡は一つのデザインでしかないと考えるようになっています。「体をそういうふうに見ると便利だよ」という一つの提案でしかないと考えています。

経絡の否定ではありません。経絡を真理として受け取るのではなく、一つのデザインとして受け取るべきだという主張をしたいのです。経絡は人工的なものです。ただ、デザインされた経絡に真理の一部が含まれていると考えるのはよいと思います。

■筋肉の張力と内臓の関係

張力と内臓には密接な関係があります。特徴的なのは背部兪穴です。脊柱を挟む脊柱起立筋には、内臓の調子がダイレクトに出ます。背中の張力がアンバランスになると、姿勢に影響したり、四肢に影響します。四肢の活動を支えているのが、体幹部だからです。

素直に考えると、背部兪穴は「経絡」がデザインされる前に実用化されていたでしょう。縦につなげたのは、デザインの都合上です。

冷静に考えると、縦線を結ぶことには弊害があるのです。その序列に目を奪われてしまうからです。そもそも内臓と背部兪穴は、一対一の関係です。デザインが企画される前の、純粋な観察から発見された関係です。

背部兪穴に鍼をして、変化が起こるのは内臓です。上のツボでも下のツボでもありません。電車の路線のように、駅(背部兪穴)から駅(背部兪穴)に反応が移動していくわけではありません。

内臓と内臓が関連しているように、背部兪穴と背部兪穴も関係があります。その関係は、並びの序列とは直接関係がありません。調べていくととても興味深い事実に出会うことになります。

内臓の調子が良いことは、安定した体幹があることです。動きの基盤ができるということです。腰痛一つを例にとっても、じっとしていても痛む腰と、動かして痛む腰では治療点は異なるのです。前者は安定した体幹を取り戻すために背部兪穴が重要になってきます。後者は上肢や下肢との連動が重要になってきます。

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■腹背編のテーマ

今年の末から来年にかけて、古武術鍼法の腹背編を行います。脊柱編、四肢編と並んで第三の柱となる勉強会です。内臓調整と体幹の安定がテーマとなります。背部兪穴だけではなく、腹部にも注目して、体幹部を安定させる手法を紹介し、実用できるようにトレーニングします。

たとえば、こんな症状に役立つ勉強会です。

・肩こり
・腰痛
・腹部の痛み
・下痢・便秘
・背部の痛み
・動悸・息切れ
・月経痛・月経困難症(PMS)
・胃痛
・過敏性腸症候群
・肋間神経痛

A、B、Cは同じ内容で、一般枠の定員はそれぞれ5名です(会員枠は既に満席)。
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2015年
 A日程 東京会場 11月29日(日)~30日(月)
 B日程 東京会場 12月6日(日)~7日(月)
2016年
 C日程 東京会場 1月10日(日)~11日(月)
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以前に勉強会に参加してくださった方から頂いた推薦はコチラです。
次回の更新では、勉強会後のアンケートを紹介します。

(つづく…)

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