鍼治療はもうすぐ科学になる(4) 科学的とはどういう意味か

)のつづき

科学的とはどういう意味か

鍼治療の科学化を語るには、科学とは何かを定義しておく必要があります。詳しく知りたい方には、おすすめの本があります。

読んで頂いてからでは話が進みませんから、ここから3つの要点を拾い出して、鍼治療の科学化を考えるきっかけにして頂こうと思います。

・科学とは再現できるもの

科学的な鍼治療とは、違う人が同じ結果を出せる方法であることです。名人しかできない方法は、科学にはなりません。誰もできないことを目指すのではなく、誰でもできる方法を探すことが科学的鍼灸です。

・個人ではなく、みんなで築き上げていく、その方法

もっとも大事なことは、個人でがんばっても科学的にはならないことです。一匹狼がカッコイイと思っても、科学的な姿勢からいちばん遠ざかります。

だから、私は一人でがんばることをやめました。私が2倍、3倍とがんばることよりも、周りの人たちに1.1倍になって頂く方が重要だからです。

・科学的であるためには、あらゆるものを疑い、常に「本当にそうなのか?」と自問するこが大切である。

鍼治療は信仰するものではありません。時々、「私は鍼とか信じるタイプです」という人がいますが、「鍼治療は宗教ではありませんから!」と言い返したくなります(実際には言いません)。

宗教というのは信じることで救われます。しかし、科学は疑うことで発展します。科学的な鍼治療を目指すには、これまでのやり方について「本当にそれでよいのか?」と疑問を投げかけなければなりません。

ただ、実際には簡単なことではありません。鍼灸学の基本である経絡を疑うことは、大前提を壊すことになるからです。しかし、そこを乗り越えなければ信仰から抜け出すことはできません。

なぜ経絡を信じてしまうのか

経絡はぜんぶで14本あるとされているエネルギールートです。このルート上にあるのがツボであると、2000年以上前の医書に記されています。それが、今でも鍼治療の基本理論になっています。

ここで一つの事実を確認しておきましょう。

それは、経絡の存在は科学的に証明されていないことです。にも関わらず、多くの鍼灸家は「ある」として鍼や灸をしているのです。

見つかっていない経絡をなぜ信じるのか

鍼灸師が経絡が信じるのは、その方がラクだからです。「昔の人が発見した。昔の人ってスゴイよね」と言っていれば、自分で考える必要もなく、責任を負う必要もありません。私もかつてはその一人でした。

誰だって面倒なことはしたくありません。ゼロから理論を組み立てるのは簡単なことではありません。日頃の臨床でそれなりの結果が出ていれば、経絡が科学的であろうとなかろうと、これまで通りのところに落ち着きます。

もちろん、科学的に証明を試みた人はたくさんいました。でも、経絡は見つかりませんでした。それでも、それに代わるものがなかったため、実用的であるという理由で支持されてきたのです。

そうしているうちに2000年が経ってしまいました。

しかし、存在がはっきりしていないものを拠り所にし続けていては、「鍼治療はまやかし」だと言われても反論できません。私たちが示さなければならないのは科学的姿勢です。

最初の一歩は、経絡を疑ってみることです。そうすると、止まっていた思考が動き出します。

つづく…伝統と科学は共存できるのか

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