日本の鍼灸が世界から評価される日(1)

少し前、驚きのニュースが飛び込んできた

伝統の「中医学」の悪口言ったら刑事罰 習政権方針に批判続出

これは日本の鍼灸業界にチャンスが到来したと言ってよいでしょう。結論を先にいうと中国の鍼治療や湯液(漢方薬)は、中国医学に縛られてしまうことになるからです。実際に刑事罰が施行されるかどうかわかりませんが、中医学の批判がしにくい空気が生まれました。

中医学が完全無欠の理論であるならば、中医学のブランドを高めて占有するという世界戦略は正解と言えるでしょう。しかし、現実は、中医学の限界も巷では有名な話です。だからといって、中医学の否定ではありません。完全無欠な理論などどこにもないのです。理論とは批判を受け入れながら少しずつ進歩していくものです。

悪口で刑事罰となれば、中医学に対する非難も批判もできません。ただの非難は悪口ですが批判は違います。評価や議論のために必要なことです。批判なくして発展はありません。

中国共産党が中医学に対する非難を罰則化すれば、発展に必要な批判もしづらくなります。そうなれば、中医学は現状維持すらできなくなり衰退の一途をたどります。中医鍼灸も世界から取り残されていくでしょう。ただし、それは世界の鍼灸から中国から脱却し独自に研究していくことが前提です。中国はもはや鍼灸の先進国ではないと認識することが必要なのです。

悪口を言われたくない中医学とは何か

中医学とは何かを整理してみたいと思います。中医学には現代中医学と伝統中医学があります。

先に現代中医学の方から説明すると、1956年に南京中医資進修学校から出版された『中医学概論』が始まりです。本年は2020年ですから64年前のことです。現代中医学が誕生した背景には、科学的ではないとの批判がありました。西洋医学の波が押し寄せ、中国の伝統的な医学も科学化が必要になったのです。

誤解しないでください。科学化を目指したというコンセプトと実際に科学的であるかどうは別です。はっきり言えば、中医学は科学的とは言えません。科学的でないから価値がないという意味でもありません。科学的ではないという批判は日本の鍼灸にもあります。

次に伝統中医学です。これは中国医学と言い換えることができます。中国で編纂された医書を根拠とする伝統的医学のことです。特定の医学を指しているわけではなく歴史の中で存在していた学派の総称と言えます。

薬の理論に合わせて作られた鍼の理論

中医学の軸は薬(いわゆる漢方薬)です。その理論に鍼を合わせてつじつまを合わせているのです。簡単に言うと、薬に薬効があるように、ツボの薬効を定めているのです。専門的には「穴性(けっせい)」と言います。「穴(けつ)」はツボのことです。

中医学を学ぶと当たり前のように出てくる穴性ですが、その正しさは証明できません。とりあえずのものでしかないのです。長年かけて穴性の正しさや妥当性を証明していくしかありません。
説明したとおり、中医学の鍼治療はツボの効果を薬に見立てて行われているのです。薬と鍼が同じ理論の上で行えるので合理的ですが、現実との間に生まれるズレが問題になっています。「中医学は理論は美しいが現場では使いにくい」という声が昔からあります。

つづく…経絡(けいらく)は正しいのか

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