■鍼灸の可能性が広がる
前回、『離れたツボ、その効果』で「不動則痛、動則不痛」もあると書きました。
これは、鍼灸の世界では聞くことがなく、私は活法でこの法則を知りました。
単純に、この法則を使うだけで鍼灸の効果が上がります。
鍼灸の可能性が間違いなく広がります。
「鍼灸ってこんなにすごかったんだ!」と開業5年目に感激してしまいました。
もちろん、もともと鍼灸はスゴイもので、その魅力を何年もこのブログで書いてきました。その立場からしても、まだまだ鍼灸のポテンシャルに気が付いていなかったわけです。
反省。
鍼灸の魅力はまだまだ伝えきれていません。
■脳のリミッター
「不通則痛、通則不痛」(通らないと痛い、通れば痛くない)
を原則に施術をしていた頃、動作を邪魔しているのは痛みばかりと思いこんでいました。
確かに痛みは動作を邪魔しますが、それだけではなかったのです。
何度も同じ痛みを経験していると、自然と痛い姿勢を避けます。その姿勢を回避するように脳のプログラムは変更されます。脳が自動的に可動域を制限します。リミッターが働いている状態です。
ただ、これだけなら問題ないです。
しかし、時間が経つとリミッターが働き不自由になっているところをフォローするために代替運動が発生します。問題はこの代替運動です。あくまでも代替運動なので長い間行われると、本来の動きから外れ不自然な動きが身についてしまいます。不自然な動きとは体に負担のかかる動きです。
不自然な動きで体に余分な負担がかかり痛みが出る場合も多々あるのです。
こうなってくると発痛部位に対して処置を行うだけでは根本的な解決にはなりません。不自然な動きを改善させることが大事です。私の経験では、慢性化していると、痛いところをいじっても動作パターンは変わりません。
■一瞬で肩こりがラクに
肩こりも例外ではありません。
むしろ典型例です。
多くの肩こりは動作パターンの異変から起こります。肩甲骨の動きが悪かったり、胸椎や頚椎の動きが悪かったりします。ただ、肩こり周辺の関節に注目するだけでは足りず、腰、膝などの離れたところも見なければいけません。連動しているからです。歩くときに上半身が振れることや、下半身を固定するとボールが投げにくくなることを思い浮かべると、上半身と下半身も互いにバランスを取り合っていることがよくわかると思います。
肩こりは、動作の正常化を図れば簡単にとれるものがほとんどです。どんなにヒドイ肩こりでも。むしろヒドイ肩こりの人ほどその効果に驚きます。動作パターンが回復するのは一瞬です。鍼をした瞬間に変わります。
同じことをマッサージで行おうと思っても無理かも知れません(私の腕では)。
■ツボの連動性回復効果
私の鍼が優秀なのではなく、ツボがスゴイってことなのです。
ツボには、どうも動作の連動性を回復させる働きがあるようです。動作の調和を図るために重要なポイントであると考えられます。
解剖学的につながっていない所でも、脳の中ではテンション(筋緊張)を調整したりしているのでしょう。筋緊張を計る代表点みたいなところかもしれません。Aが収縮して硬くなれば、Bも収縮させて硬くする、といった調整を脳は必ず行っています。そのAとBの関係を見抜くことができれば、遠隔からの施術で解決できます。
不思議なのは、Aゆるむ→Bゆるむ、ということがあっても、Bゆるむ→Aゆるむ、とはならないこともあります。双方向の関係もありますが、一方向だけの時もあります。
ただし、どのツボでもこのような連動性回復システムがあるかどうかわかりません。おそらく、動作に関連が深いツボとそうでないツボがあります。
動作調整で重要なツボと、内臓調整で重要なツボは重なるところもありますが、別の系統であるかもしれません。
専門的な言葉になりますが、正経十二経のツボでは説明しきれない関係が多々あります。
逆からいうと、正経十二経だけで動作調整することは難しい、と言えます。
動作調整には動作調整に適したシステムを使う必要があります。
そのシステムが何なのか・・・鍼灸関連の文献で探したけれど見つかりません。
今できるのは、活法にヒントを求めてそのシステムを探ることです。
武術という畑で育った活法は動作調整の宝庫です。
鍼灸とは違う畑なので気が付いている鍼灸師が少ないのです。
■肩と腓骨

動作の連動性を回復する方法を肩こりを例にして説明します。
繰り返しになりますが、頑固でどんなに揉んでも柔らかくならない方も、連動性が回復するとあっさり緩みます。患者さんも気が付くほど(驚くほど)大きな違いがその場で出ます。
「すぐに効果出るんですね!」
と驚かれる方が多いのですが、連動性の回復は一瞬で起こります。
本当にツボってスゴイのです。
ヒドイ肩こりには、膝関節の調整を加えることがよくあります。
ただ、膝をグルグル回すだけ。もちろんコツはありますが、そんなに難しくない技術です。
膝、もっと細かく言えば腓骨という骨の動きがよくなると肩甲骨に付着している僧帽筋の一部が緩んで肩甲骨が下がるようになります。腓骨の動きが悪くなるといかり肩になる傾向があるようです。
■うなじにはツボがない
うなじのコリに悩む方も多いです。
このうなじ、正経十二経のツボはありません。後頭部に近いところにあるだけです。不思議なことです。これほどうなじのコリで悩む人が多いのに、そこにはツボがないのですから。うなじは使わなくても治ると解釈できます(うなじにツボがないことには諸説あります)。
そこで、連動性に着目すると胸椎の影響を受けていることに気が付きます。胸椎、つまり背中のツボを使うことでうなじのコリが和らぐのです。胸椎の何番と頚椎の何番に深い関係がある、というように細かく決まっています。
胸椎では対応しきれないコリもあります。その場合は仙骨のツボを使うことで対処できます。これも仙椎の何番と胸椎の何番というふうに決まっています。
それでも取れないコリもあります。図表にはありませんが腕との関連です。手や腕に蓄積した疲労によって頚にコリが出現することも多いです。そんな時は腕のツボを使うとうなじがラクになります。
肩こりは、肩だけで何とかしようとすると非常に難しい症状です。途方に暮れてしまいます。しかし、連動性に着目すると簡単なことが多いのです。
■運用が難しい経絡
内臓との関連を解説する本は山ほどあります。
胃が悪いと肩がこる、という話です。
そういう場合、正経十二経との相性は抜群です。
ニーズとしてベスト3に入るであろう肩こり!
正経十二経で考えると内臓が絡んできて難しい話になります。難しいことをしている割に効果が低い、ということになりかねません。
経絡って本当に役立つのだろうか・・・と経絡に疑問を抱く学生が多いのも納得できます。皮肉なことに学校で最初にならうのは正経十二経です。
役に立つことは間違いありませんが、個人的な感想を書けば運用面が難しいです。少なくとも連鎖性を回復させる方がずっと簡単です。ただ、「その理論を示せ」と言われてもどこにもないので紹介できません。少しずつ詳細を暴いていくしかありません。
複雑な話を書いているようですが、実は学校の勉強よりも簡単な理論です。
動くようになれば痛くなくなる、という考え方をする鍼灸師がこれから増えることでしょう。
活法が鍼灸を面白くするのは間違いありません。
つづき…遠隔に鍼をするもう一つの理由


コメント
いつも「ツボ日記」を拝見し勉強させて頂いて下ります。今回の内容も「なるほど」と思う事ばかりで思わず投稿させて頂きました。来月のセミナーでもお世話になります。
> kofudo 夫さん
お役に立ててよかったです。ブログでは体の変化をリアルに伝えられないのがもどかしいです。ここでは理屈ばかりになってしまいますが、また機会がありましたら連動性理論の実演でもしようと思います。リクエストしてくださいね。来月のセミナーでお会いするのを楽しみにしています!!