
あの時の四総穴歌を思い出して下さい。
肚腹三里に留め、腰背委中に求む
頭項列缺に尋ね、面口合谷に収む
2番目に「腰背委中に求む」とあります。
そのくらい、委中は鍼灸師にとって有名。
オールスターに選ばれているツボなのです。
腰背に効くからと言って、どんな腰痛にも委中が効くわけではありません。ツボは万能ではありませんから。ツボの得意不得意を押さえた上で使うと、鍼灸治療は面白いほど効きます。
・・・
ある若い男性の腰痛を例に説明します。
(写真は説明用にクリ助をモデルに撮影)。

前屈で痛みが出るのですが、曲げ始めの浅い角度で痛みが出て、さらに深く曲げると痛みが消える、という腰痛です。
同じことを椅子に腰掛けた状態で行うと痛みがでません。
立位と腰掛けの姿勢で何が違うのか、というところがポイントです。
委中は膝の裏側のど真ん中にあるツボです。このツボに負荷がかかるのは立位です。腰掛け姿勢では、委中にストレスがかかっていません。
ポイントは、膝裏のストレスをそう考えるにあります。
この患者さん、腰に手を当てて前屈した方がより強い痛みになるそうです。腰に手を当てると上半身の動きが小さくなります。前屈する際に、背中が丸まりにくくなります。やってみてください。


これで、前屈という漠然とした動作が「脚を支えに腰から折れ曲がる」に限定されました。ビジュアル的には、腰からくの字の折れる形です。この時、力学的にどこに負担がかかるのか、というところが治療の際に重要です。
「曲げ始めの浅い角度で痛みが出て、さらに深く曲げると痛みが消える」
という患者さんの証言に何が隠れているのか…???
やってみると答えが出ます。
腰に手を当てて前屈すると膝を後に引くような動きが出ます。「?」と思ったら、膝に位置を変えずに前屈してみてください。うまく出来ないのがわかるはずです。やろうとすると、重心がどんどんつま先に移動していきます。
曲げ始めはバランスが狂わないように膝を後方に引くことで、重心の位置を調整していると言えます。つまり、この動作で重要なのが膝なのです。特に膝裏がスンナリ伸びることが重要なのです。

上体の屈曲をさらに行うと、膝裏にかかっていたテンションが大腿(ふともも)の裏側に移動していきます。
・・・
前屈で痛む腰痛に関して言えば、
曲げ始めで痛む…委中をチェック
深く曲げると痛む…大腿の裏側をチェック
となります。
【委中と腰痛メカニズム】
(前屈時)膝裏の緊張が高すぎると前屈時に膝を後方に引くことができず、母指で重心を支え、仙腸関節を過度に緊張させて上体が前方に崩れるのを抑える動きが出る。この時の過度な仙腸関節周辺筋肉の過緊張が痛みをもたらす。膝裏の緊張を緩和すると、立位での前屈方向への初動がスムーズになる。
—————————————————————-
・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
—————————————————————-


コメント