「もしも苦手な人がやってきたら」のつづき
■打ち合わせが楽しくない業者さんは要注意
業者さんに対する基準は明確です。偉そうなことを書くつもりはありません。ただ、自分の失敗談をもとに、どうしたら業者さんと上手く付き合えるのかという私の結論です。
業者さんと話していて「自分の仕事(業種)にこの人は興味がない」と感じることがあります。経営者なら誰にでも心当たりがあると思います。経営者って自分の仕事や会社に誇りを持っている人が多いと思うので、こういうところは敏感です。

内装やデザインを依頼する際、業者さんがその施設を使う患者さんをイメージしながら仕事をしているか、していないかで仕上がりが違ってきます。極論を言えば、施工主が気に入らなくても、患者さんが「いいね!」と思えば、そっちの方がよいのです。
私の好みなんて、仕事の成功に関係ありません。そこで必要とされる施設やデザインを探し出す目であったり、違和感を察知する鼻が重要です。最初からそういうセンサーが働くわけではありませんから、業者さんが頼りです。
起業したばかりの者は、自分の専門以外は素人同然。その素人に「どうしますか?」と聞くばかりでよいものが出来るわけがありません。「どういう機能が必要なのか」を徹底して話す必要があります。
その時に、興味のない業者さんは、「・・・で、結局のところ、何をすればよいのですか?」という展開になります。
興味のある業者さんは、そこから、「・・・ということは、○○なんかあった方がいいのでは?」という展開になります。
違いが出て当然です。だから、業者さんを選ぶ時には、自分の仕事について少し話すようにしています。その時に興味を示してくれる業者さんを選びます。その方がこちらも断然楽しく打ち合わせできます。
よい業者さんとの打ち合わせは楽しいのです!
■1分で描いたラフ画に10万円かかった話
開業してから数年が経ち、鍼灸院が軌道に乗りはじめていた時です。看板の付け替えをあるデザイナーさんに相談したことがありました。
「20代~30代の女性が来るような鍼灸院にしたい」と言ったところ、突然「建物をピンクに塗った方がいい」と提案されました。「女性はコンクリート色の建物には入りたがらない」という理由でした。
でも、私はその提案を無視しました。建物に込めた想いや設計コンセプトを全く聞いてもらっていなかったからです。もし、しゃべる機会を頂いていたら「コンクリートの素地がかもしだす素朴な質感と安心感のある重厚感、そしてレンガ積みのオシャレ感」がどれほど気に入っているかを話したでしょう。
この業者さんには依頼しないことにしました。しかし、そこからトラブルになってしまったのです。断りの連絡を入れたら、コピー用紙に1分程度で描いたラフ画に対して10万円の請求をされたのです。
確かに、わざわざ現場に来て頂いているし、ある程度の費用は仕方ないと思いますが、使わないフリーハンドの絵に対してそんなに請求されるとは思ってもいませでした。話が大きくなるのが嫌だったので言われた通りの10万円を支払って、この業者さんとは縁を切ることにしました。
他の業者さんに一からデザインして頂くことにしました。相談中に、業者さんが紙に絵を描き始めたので、「これってお金かかりますか?」と尋ねると、驚いた様子で「いえいえ、かかりませんよ~」と。心配性のお客さんだなぁ、と思われたかもしれません。
「高くなってもいいので、切れないLEDを使ってほしい」とお願いし、せっかくなので、「ロゴマークの真ん中は『元気』を意味しているので光らせたい」と頼んでみると、快くLEDを仕込んでくれました。

■プライドが高すぎるウェブ業者さんでストレスが溜まった話
鍼灸院にとってウェブサイトは必須です。同業者の開業鍼灸師と話をしていても、ウェブ業者さん選びで悩んでいる人が多いです。
私にも悩んでいた時期があります。失敗を2回もしています。1件目は、技術力がとても高く、スタイリッシュな仕事をしているのですが、プライドが高すぎるせいなのか修正になかなか応じてもらえなっかったのです。色の修正を依頼するたびに「パソコンの画面に癖があるので…」と回答され、毎回、「うちにあるパソコン3台すべて見ても・・・な感じです」というやりとりが必要でした。

毎回のようにそのやりとりが必要なので、ちょっと高いけれど、写真家に愛用者が多いナナオ(現在は社名が変わってEIZO)モニターを購入し、「ナナオでも・・・な感じです」と言って初めて動いてくれたのです(笑)
ナナオで目の疲れは軽減したものの、その業者さんとのやりとりで疲れ果て、契約を終わりにしていまいました。そして、新しい業者さんにお願いしたのです。
■鍼灸師の依頼より医師の依頼を優先したいと告げてきたウェブ業者さんの話
2件目は、デザイン力がとても高く、惚れ惚れするようなキレイなサイトを作っている会社でした。サイトを一つ制作してもらった後、2件目の打ち合わせをしていました。
ちょうどその頃、東日本で震災があり、群馬も計画停電の影響を受け、それまでのように生活も仕事もできませんでした。鍼灸院は停電に合わせて診療をするなど臨機応変に動かなければならず、電気が通じている間に、診療、電話、業者さんとのやりとり、全てをこなさなければなりませんでした。
ウェブ業者さんにも急ぎの依頼をするのですが、「大変ですね」の一言も、急ぐ様子もなく、寂しく感じました。心に何かが残る対応と態度でした。
心にその何かを残したまま、震災後もしばらくお世話になっていました。ある時、電話で相談をしていると、驚くべき言葉が耳に入ってきたのです。
「お金のない鍼灸師のサイトを作るより、お金のある医師のサイトを作った方が儲かる」、続けて、「あなたの言う『利益』と私の言う『利益』の意味はだいぶ違うんですよ」と。よく聞くと、医院のサイト作りは、料金高く設定しても何も言わず、細かい注文もなく、仕事がしやすいそうなのです。その点、鍼灸院はコスト意識が高く注文が細かいので儲からないという話だそうです。

そのままの意味でしか受け取ることができず、その翌日に縁を切りました。他の業者さんに委託し直すことには、さらに出費が伴いますが、不快な想いをそれ以上したくないので、その感情を優先しました。
よい業者さんとの打ち合わせは楽しいのです。
そのルールを守って最悪を避けられました。それから数ヶ月後、この会社が倒産したという噂が耳に入ってきました。その会社の元社員さんからの情報でした。
現在は3件目の業者さんです。関係は良好です。
■社名を訂正しない内装屋さんが入金した途端に仕事をしなくなった話
品川にカポスを開院する時、内装屋さんで時間とお金をロスし、スタッフにも迷惑をかけてしまったことがあります。
品川駅近くで物件が決まったのは良かったのですが、内装屋さんがなかなか決まりませんでした。ギリギリになってある業者さんと出会いました。
品川駅内の喫茶店でデザイナーと打ち合わせをしていた時の話です。
平面図を見るとそこに書いてあった文字に違和感を覚えました。「活法ラボ」と書くべき所が「活性ラボ」となっていたのです。実は、この間違いはよくあります。字が似ているので仕方ありません。
「あ、社名が間違っているみたいです。うちは『かっぽう』なんで~」と指摘すると、「大丈夫です。最終の図面までには直しますから~」という返答。
名前を間違って「大丈夫」とは、どういう意味でしょうか?
その場で改めてほしいと思ったのですが、あっさりスルーされてしまったのです。一言でよいので「あ、すみません。すぐに直します」と言ってもらえればよかったのです。その後のメールのやりとりも「活性ラボ」のまま。
1日でも早く内装に着手したかったので、「それくらいのことを気にしているようでは、大人ではない。もっと大きな器で!」と自分に言い聞かせ、打ち合わせを続けることにしました。
しかし、雲行きがしだいに怪しくなってきたのです。手付金を支払った途端、仕事のペースが容量制限を受けたスマホのように遅くなったのです。
使う建材(壁紙)も自分でカタログを取り寄せて探さなければならなくなり、決め事が施主任せになってきたのです。素人の私にはわらかないことだらけ。群馬でお世話になっている業者さんと相談して、それをデザイナーに提出するという意味不明な状態に。
この状況を、社長にメールして相談すると、「すべて○○さんに任せてあるので私には関係ありません」という態度で、助けてくれる気配がありません。
その会社のウェブサイトには志の高い話が書かれており、こんなに素晴らしい業者があったのかと、涙が出そうになるほど感動して依頼をしたのです。にも関わらず、その社長に冷たくされ・・・まるで片思いの失恋状態。
冷静に見ると、施工事例が疑わしく思えるようになり、すぐさま縁を切りました。手付金の数十万円は諦めることにしました。時は待ってくれません。すぐさま次の内装屋さんを探し、工事を開始しました。結局、1ヶ月半遅れで施設は完成しました。

開院直前まで工事になってしまったのでこの環境で実技練習(真冬)
私にも反省すべき点があります。ネットの言葉に騙されてしまったこと、名前を修正しないデザイナーに抱いた違和感をごまかしてしまったことです。名前の間違いに気が付いたのは手付金を支払う前でした。その時に「この人おかしいぞ」と判断できていれば間に合ったのです。すぐにでも内装工事に着手したいという焦りが冷静な判断を邪魔したのです。
■失敗の数は行動の数と思って
身内からは「失敗ばかりしている人」と評されています(笑) でも、気にしません。動けば必ずリスクが伴います。動かなければ失敗はしないかもしませんが、動く習慣がなければ、周辺環境の変化がリスクになってしまいます。
同じリスクなら、動く方を選びたいと思います。これからも失敗は続くと思いますが、めげない、あきらめない、うらまない、でやっていこうと思います!
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コメント
失敗と言うか貴重なデータ取りですよね。
こういう失敗談は他の人にとって大変有用なデータになると思います。
逆に、自分が受注の際は依頼主を疲れさせないこと、相手の不安を取り除くことがいかに大切かが分かる記事でした。
>jackalさん
そうですね!
結局は、相手の立場をしっかり想像して対応できる人が仕事ができる人なのでしょうね。この記事はまさに私自身が気を付けたいことばかりです。