「クチコミサイトは競争原理を利用している」のつづき

病院がつくる地域に根ざしたコミュニティ
鍼灸院になくて病院にあるもの、それは患者さんのコミュニティです。
病院はコミュニティ効果が大きいと私は思います。
待合室で雑談は情報交換の始まりです。自分の症状とその治療経過の話、医師の評判など飛び交います。聞かれていないのに、家族構成や家族の病気の話をしてしまったり…。
北海道帯広市の北斗病院の研究室に何度か出入りさせてもらっています。待ち合わせの時間より早めに着いたので、患者さんの待合室で時間をつぶしていたら、女性から話しかけられました。
年齢がすぐにわかりました。70代後半でした。向こうからしゃべってくれたからです。病院に通っている理由、家族構成、趣味、そして健康法まで10分程度でかなりの情報を得ることができました。他人である私に警戒心なく話しかけられる場なのです。
そんな待合室を作れる病院はすごいな、と思いました。
診察前から患者さんに心を開く準備があると問診で正確な情報を得られます。そうすると、治療成績が上がってポジティブな評判が巡ります。好循環が生じます。
流れる情報は正確ではないかもしれません。噂や憶測も混じっていると思います。情報は姿形を変えながら必要な人に届きます。コミュニティの中では情報は生き物ように振る舞います。
もちろん、ネガティブな情報が飛び回るのも速いので、コミュニティにつぶされてしまう病院もあると思います。北斗病院の雰囲気はとても良かったので、コミュニティのプラス効果がすごいのだろうと推測できます。
病院と鍼灸院は違いますから同じ土俵では考えられません。でも、本質を理解できたら、鍼灸院にもコミュニティ効果を生み出せるのではないかと目論んでいます。
鍼灸院がつくる地域を飛び越えたコミュニティ
病院が得意とするのは、地域依存型のコミュニティです。そのまま個人経営の鍼灸院には当てはめようとすると失敗します。実際に、私が開業当初チャレンジして失敗しています。
個人で経営する鍼灸院の患者さんがコミュニティをつくるのは、かなり難しいです。その理由を一言で言えば、1対1の関係になってしまうからです。病院がコミュニティを作れるのは、N(複数):N(複数)の関係があるからです。
病院内では医療従事者を中心としたコミュニティが形成されます。このコミュニティに対して、患者さんのコミュニティがあります。
鍼灸師はぞれぞれの地域でバラバラに働いていることが多いので、鍼灸院内でコミュニティを形成できません。
だから、鍼灸師が鍼灸師コミュニティをつくろうと思ったら、各地の鍼灸師と手を取り合う必要があります。離れた鍼灸師とつながるには、価値観や理念を共有する必要があります。
SNSを利用すれば、簡単に全国の鍼灸院とすぐにつながれます。ここで始めてN(複数)が作れます。そうすると、このNに対する患者さんのコミュニティが期待出来るようになります。
こうしたN:Nの関係が大事だと考えています。
そうすると、鍼灸院を利用する全国の患者さんの間にコミュニティも発生する可能性が生まれます。
最初のスタートは、鍼灸師同士の信頼関係です。切磋琢磨することで強い絆が生まれ、そからコミュニティが発生します。自然に生まれることはあっても、自然には育ちません。誰かが見守ることで成長します。競争原理からは始まりません。

つづく…「美容と不妊に参入しないと鍼灸師は稼げないのか?」
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