花粉症を治すツボ(太衝と丘墟)

<これまでの話>
花粉症の原因が「ストレス」では納得できない
花粉症の診断点
花粉症の治療点(前編)
花粉症の治療点(後編)
花粉症を治すツボ(承山)
花粉症を治すツボ(■■)
花粉症を治すツボ(胞肓)
花粉症を治すツボ(天柱と風池)

■ツボは病気を治さない

最近、話が難しいと思われているかもしれません。患者さんにとっては何の事やら…のはずです。背後に理論と戦略があることさえ伝われば満足です。同業者さんに対しては、私の方法をわかりやすい内容を書いているつもりです。話がまとまらないのは申し訳ないですが…。

東洋医学はバランスを整える医学です。大雑把に言わせていただけるなら、鍼灸は循環をよくしてバランスを整える治療です。循環がよくなればバランスも整うと考えることもできますし、バランスが整えば循環がよくなるとも言えます。ツボは「体を治すスイッチのようなもの」という認識を持たれている患者さんが多いのですが、循環を改善したり、バランスを整えるポイントと言った方が正確です。

「結局、一緒じゃないの?」

と突っ込まれたりするかもしれません。
でも、意味が全く違うのです。

「花粉症を治すツボ」なんて書いてきてしまいましたが、ツボが病気を治すいうわけではありません。循環やバランスが整った結果、回復力が元に戻るのです。循環を妨げている所はどこか、バランスはどこが悪いのかを、主訴(患者さんの訴え)に応じて探します。循環とバランスが好転した結果、症状が治ります。

治すのは患者さん自身です。

こういう表現が正しいと思います。ただ、ちょっと責任逃れのようにも聞こえます。患者さんにしてみれば、鍼灸師に「治して!」という想いで来院していると思います。いきなり「治すのはあなたです!」と人差し指をドーン!とやられても「ええっ!?」です。

鍼灸で症状が改善するのは、症状に関係している循環の滞りやバランスの乱れが解消されていくからです。鍼灸師は経験によって、「ここがこうなれば症状はこうなるだろう…」と予測を立てます。その予測が正確になれば、「明後日のお昼頃から症状が軽くなります」と予言だってできます。

予言を的中させるためには、ツボ刺激によって起こった“変化”を確実に捉えなければなりません。仮にツボを正確に刺激できても変化がわからなければ症状のその後はわからないわけです。

症状の改善を予測できれば、「鍼灸師が治した」というストーリーが成り立ちます。患者さんもある意味そういう頼もしさのようなものを求めていると思うのです。

■前後と上下、そして左右

頭の前には顔があり、そこには目と鼻があります。頭の後ろには天柱や風池というツボがあります。こう考えると天柱や風池は症状を後ろ側からアプローチする方法です。前後の不調和に対応していると言えるのです。問題が単純に前後だけなら、天柱と風池は劇的な成果をあげるでしょう。しかし、実際は一時的な効果にとどまることが多いのです(クリ助の経験によると)。

上下前後

症状がすぐにぶりかえすのは、花粉症の抱えている問題が頭部の前後の問題だけではないからです。ここに上下を意識した調整が必要になります。前回の書いたように天柱というツボを緩めるために、わざわざ仙骨にある中リョウを使うのは、上下の問題にアプローチできるからです。

前後に上下の調整が加わることで、状態はより安定しやすくなります。さらに上下の調整は、体の前面、後面、側面の3つに分けることができます。昨日の天柱と中リョウは後面です。

前面の例も一つあげておきます。

前面の調整として私がよく使うのは太衝というツボです。足の親指と人差し指の根本の間にあります。このツボは目、鼻、のどによく効きます。この太衝は肝臓と関わりの深いツボで、東洋医学でいうところの肝臓はエネルギーを押し下げる働きを持ちます。

太衝丘墟ツボ印あり

花粉症は頭部に熱がこもった状態であるため、この熱の処理が治療の要になります。この熱を引き下すパワーを与えてくれるのが太衝です。のどを緩める効果もあるので、道を開きながら下に引くという効率のよいことができます。

側面は左右の問題です。症状としては耳の痒みなどが関係してきます。足首にある丘墟も有効です。胸鎖乳突筋という頚の筋肉がすぐに緩むので効果が確認しやすいツボです。

斜め後ろにある風池も左右の問題に対処しやすいところです。さらに左右を積極的に整えようとするならば片側のツボだけ使うという手があります。ただし、上下前後のバランスを考えずに片方の風池だけを使うと、限局したエリアで左右逆転となり周りと調和できません。その結果、寝違いなどの原因になってしまいます。このようなメカニズムに気が付かなかった頃は、患者さんが寝違えてしまうことがありました。今から考えると申し訳ないことです。

ちなみにこの風池、やや深め(もちろん安全な範囲)に鍼をすると鼻の奥の通りをよくする効果があります。蓄膿症のような場合、風池は鼻通りをよくするのに有効です。このように鼻といっても効く部位(位置や深さ)というのがあります。

まだまだありますが…妊婦ケアに話題を変えます。(予定変更→つづき
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コメント

  1. mac より:

    こんにちはー。
    すごいですねえ、このシリーズを感心して読んでました。
    自分とは使うツボや効かせるポイントが似ているようで違うところがとても参考になりました。
    私も自分のブログでこのくらい語れるようにならなきゃいけませんね。刺激を受けました。

  2. 夜間学生 より:

    このシリーズはよだれが出るような思いで拝見しています(笑 内科疾患と外科疾患を別に考えていた頭でっかちな考え方が今スーっと軽くなり、1つにまとまってきた感じしまう。これからも楽しみにブログ見てます

  3. クリ助 より:

    >macさん
    参考になるものでよっかたです。正直、コメントもないのでこのシリーズはつまらないかなーと不安を抱えていました(笑)鍼灸の効果が世間に広まれば、花粉症に悩む人が激減するでしょうね。

  4. クリ助 より:

    >夜間学生さん
    よだれ、なんて書いていただけると花粉症シリーズ続けたくなってしまいますね~。あとちょっと書いてみます。こっそり秘密のポイントを書くのでお友達にこのブログ教えないでくださいね(笑)

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