マーケティング論_01「タブーへの挑戦」
マーケティング論_02「囲い込むのは誰のため?」
マーケティング論_03「コンサルタントが知らないこと」
マーケティング論_04「コンサルタントだけがわかること」
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話としては、前々回の続きになります。
東洋医学を患者さんに説明しようと思ったら、患者さんの意識が説明しようとする鍼灸師の口に向いていなければならない、さあどうすればいいのか、というところまで話が進んでいました。
単純に考えた方が答えが出そうです。誰かの口に視線を向けるのは、その人に興味をもった時ですよね。興味がない人の話を聞こうとは思いませんよね。興味をもって質問したら、相手の口元に視線を送りながら答えを待つと思うのです。
ですから、質問されるというのは、興味を持っていただけていることの目安になります。こう考えていくと、「質問される」までの運びが重要だと見えてきます。ただ、その前に一つ重要なことがあります。
施術を受ける前の質問と、施術を受ける後の質問は、種類が違います。施術前の質問は、鍼灸や東洋医学などの治療法に関心があるわけではなく、ただ単に心配だからだと思います。患者さんは、数ある治療院や鍼灸院の中から選んで来院したとしても、施術内容と鍼灸師の実力は未知数なのですから。
患者さんの心配事に耳を傾けることから、医療者としての仕事が始まります。重要なのは、少しでも不安を安を少しで減らして施術に入ることです。
施術を受け、体に変化を感じ、そこで初めて患者さんは「治るかもしれない」と思うわけです。この段階まで来て、鍼灸のバックボーンに興味が出てくるのではないでしょうか。
施術前の質問は、心配事
施術後の質問は、関心事
鍼や灸をすれば、身体に変化が起こります。作用反作用の法則の如く、何かをすれば何かが応じてくれます。ただ、その変化に気がつけるかどうかは、患者さんの意識がどこにあるかで決まります。意識していないところの変化はわからないものです。
人の心理として、意識は目線の先に行きます。マジシャンがタネを隠すときに、この視線誘導を巧みに使います(高校生のクリ助の趣味はマジックでした)。つまり、術者の視線である程度は誘導できます。視線の誘導がない時は、患者さんの意識は術者の指に向かいます。
患者さんの症状は、なんとなくなものが多いのです(ツライ時は、誰でも自己分析が難しくなります)。部位、姿勢、症状の出る場面など、施術者が問いかけることでシャープになっていきます。認識にマーキングすると私は呼んでいます。
このマーキングが変化を感じ取るために絶対に必要です。変化というのは、ある時間を境にその前後を比較するものです。だから、施術前があいまいであったら、施術後も評価もあいまいになります。
「それって、ただの問診だろ?」
という声が聞こえてきそうです。確かに端からみたら問診ですが、患者さんの感覚にフォーカスするかいないかは、大きな違いになるはずです。ここだけの話、名人が密かに使っているテクニックです。
腰痛の患者さんが、施術後に痛みが残っていたとしても部位や姿勢が変わっていたら変化が起こっています。その変化を患者さんが感じ取れるかどうかは、施術前にマーキングしておいた場合に限られます。マーキングせずに患者さんが施術直後違いを感じるのは、症状に劇的変化が起こった場合のみです。
数年前まで、私は症状に向き合っていたと思います。治るか治らないか、という関心をもって施術に挑んでいたのです。ここ数年は、変化するかしないか、という関心で施術をしています。患者さんが治るかどうかに関心がない、という意味ではありません。治るために必要な変化が起これば勝手に治ると信じられるようになったのです。
患者さんの体で起こった「変化」が、「治る」につながると予測するためには学問が必要です。「治る」ために、どんな変化が必要なのか、それを知るために学問をします。
患者さんの視点で考えると、体に変化を感じてからバックボーンの医学に興味が湧くと思うのです。私がそうでした。高校生の時、半信半疑で鍼灸を受け、突然視力がアップするという体験をして、「東洋医学って何なんだ?すごいものを体験してしまった!!」となったのです。
鍼灸師は、鍼をする前に「あの馬の絵をよーく見ておいて」と念を押されました。鍼が終わって「さぁ、もう一度みて」と言われ、再び見てみると「おおぅ!!!」ということに。
私の鍼灸に対する感動は大げさだとしても、体に変化を感じた患者さんは、「何で?」と思うのではないでしょうか。この段階でようやく患者さんに「聞く耳」ができると思っています。患者さんに認めていただけるわけです。こうなると、養生指導にも耳を傾けていただけます。この耳を私は「効く耳」と呼んでいます。
こういうプロセスの抜きに、患者さんが耳を傾けたくなる鍼灸師もたくさんいます。そういうのをカリスマというのかもしれません。カリスマって真似ができるものでしょうか。
私たちの職業は、よく人間性が問われると言われます。でも、正直な気持ちを書けば、人間性を磨くと言っても、何を磨けばよいのか皆目見当がつきません。
次回は、鍼灸師が避けては通れない「人間性の問題」について。


コメント
はじめまして。
以前より、興味深く先生の記事を読ませて頂いております。
特にこの記事は素晴らしいです。日常の臨床でされていることをこんなにうまく言葉で表現されるものかと感心致しました。
「認識にマーキングする」ことはとても重要だと思いますし、効果を分かって頂く上でとても大切な技術の1つだと思います。
「効く耳」っておもしろいですね。私も患者さんの心理に応じて話す内容は変えます。「効く耳」になってからでないと患者様に伝わらないお話もあります。
まず患者様に注目して頂いて、何より治療者に興味を持って頂くことが先決ということですね。
メールをさせて頂くのは初めてですが、定期的にブログを観させて頂いております。「あまり知られていない腰痛の原因」(2/17)など治療のお話もとてもおもしろかったです。
また閲覧させて頂きます。
今後共、よろしくお願い致します。
>hiroshiさん
いつもありがとうございます!
感想ありがとうございます。hiroshiさんもブログされているんですね!
改めて「あまり知られていない腰痛の原因」も読み直してみました。臨床のよい記録になっているなぁ、自分自身に記事に感想を持ちました(笑)
引き続き、思うこと書いていきますので、また思うところがございましたらお気軽にコメントください。