マーケティング論_01「タブーへの挑戦」

今回は業界のタブーに挑戦。
テーマはマーケティング、賛否両論覚悟です。

鍼灸は医療。一応、国からそういう位置づけをされています。しかし、現実には医療チームの中で仕事をできる鍼灸師は1%もおらず、多くは医療の孤島で仕事をします。そういう意味で、他の民間療法と全く同じ土俵です。

国が患者さんを紹介してくれるわけでもありませんから、開業鍼灸師は自分で患者さんを集めなければなりません。これが大きなハードルになることがあります。鍼灸学校で得るのは医学知識と鍼灸実技。原則として患者さんの集め方を鍼灸学校が教える必要はありません。そもそも、患者さんに施術をすることを仕事にしたいから鍼灸師になる人が多いわけですから、患者さん集めは職業意識になかったりします。

そういう意味では、「お金儲けがしたくて鍼灸師になる」という方が社会から見たら健全なのかもしれません。お、タブーの領域に片足が入りました。医療人としての健全性と、社会人ととしての健全性は、別に考えた方がよいと思う場面が多いのです。

「寝る間を惜しんで技術研究をしている。」というのは、医療人として評価が高いと思います。しかし、研究ばかりで患者さんがやってこない、という状況であれば社会人としての健全性はどうでしょうか…。収入源を他に持たない限り、いわゆる人並みの消費活動はできません。収入のほとんどない鍼灸師を健全な社会人と呼べるのでしょうか。

極端なことを言いますよ、タブー覚悟ですから。技術がなくても経営が上手であれば収入を得ることができます。社会人としての健全性は保てるわけです。結果として鍼灸院が流行っているから「あそこは腕がよいらしい」と噂が立つのだと思います。

実際に施術を受けたことがない者にとって、腕が良いか悪いかを判断するための材料は、社会人としての健全性になるのではないでしょうか。医療チームや医療施設などの組織に属さず、ダイレクトに社会と接する開業鍼灸師にとって、これは見逃せないことです。

施術の一歩手前まで、社会人として健全性を問われていると私は考えます。医療人としての健全性やスキルはウェブサイトではわかりません(想像できるだけです)。事前にスキルを正確につかめないからこそ、マーケティングが入り込む余地があるわけです。

一日中鍼灸院にいると、集客(患者)サポートをする業者さんから電話が来ます。多い日で1日3件くらい。1秒でも早く(丁寧に)電話を切りたい私は、「これ以上患者さんがやって来たら手が足りなくなってしまうので…。」と返します。

この返答はパーフェクトかもしれません。例外なく業者さんはすぐに電話を切ってくれます。基本的に、そういった業者さんは、私たちが「もっと患者さんを集めたい」と考えていることを前提にしています。だから、その前提を壊してしまえば、業者さんは全く入り込めないのです。

これは、単に電話対応のテクニックとしてやっているのではなく、本音として「これ以上患者さんがやって来たら手が足りない」と思っています。手が足りないのならスタッフを増やせば…と考えてもよいわけですが、なかなかそうは思えないのです。他にも鍼灸院があるわけですから。

もっともらしい理由のようですが、この考えには大きな欠点があります。自己批判としてつっこむなら、社会人としての健全性において問題があります。安定した経営で家族を養っていくにはベターと言えるでしょうか。

たとえば、一人で鍼灸院をやっている鍼灸師、スタッフが3人いる鍼灸院の院長、3院を経営する鍼灸師がいたとして、銀行が優先的にお金を貸すのは誰でしょうか。優先的に借りられる人が、社会的に信用があるということになると思います。

要は、事業規模は信用の物差しとして便利なものとして使われる点を強調したいのです。鍼灸院経営を盛り上げようとして、自分の能力をアピールしたくなるものです。その気持ちのまま、「私は志の高い鍼灸師で患者さんには親切丁寧に接しています」と書いたところで、社会から信用されるでしょうか。私はされないと思います。社会から評価されるためには、見えるものを育てていくかが重要だと思います。

医療人としての肩書きを免許取得と同時に背負うわけですが、その瞬間から「ビジネスの話は裏でしましょう」と暗黙のルールがオンになるのです。私があえて、タブーを犯してでも書こうと思ったのは、ある想いを抱いているからです。

その話は次回「囲い込むのは誰のため?」。

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コメント

  1. 藤原 航太 より:

    初めてコメントさせて頂きます。
    実は4~5年程前よりブログは拝見させて頂いておりますが(笑)
    「稼いでいる人間」=「社会的信頼度」とは一概に言えないとは思いますが、世間一般では、このような考え方をしている方も多いのは事実ですし、私もその一人です。
    相応の金額(治療費)を継続的に支払える能力のある患者さんは、その辺りの事を良く分かっているはずです。
    医療とは言え商売ですからね。
    クリ助さんの意見には賛成です。

  2. クリ助 より:

    >藤原航太さん
    長いお付き合いなんですね(4~5年)。賛同意見ありがとうございます。ブログ、拝見しました♪

  3. 藤原 航太 より:

    コメント有難う御座います。
    今後も拝見させて頂きます。
    酸いも甘いも詰まったブログは、非常に勉強になってます。

  4. クリ助 より:

    >藤原航太さん
    ありがとうございます。ただ、狭い経験の中での一考察ですから、参考にしすぎないでくださいね。

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