
ツボには日本式と中国式があります(+韓国)。
鍼灸の発祥は中国と言われていますが、日本(特に江戸時代)でも独自の発展をしたため、ツボは国によって違うことがあります。
代表的なものに、環跳(かんちょう)というツボがあります。
「日本式と中国式、どっちが効くの?」
という質問にはナーバスにならざるを得ませんが、動作分析に基づけば答えが導けます。最近では、「古武術をヒントに動作分析してから行う鍼」のことを「古武術鍼法」と名付けました。「筋肉の連動性」に着目した方法です。
ある症例を思い出しながら、環跳の日本式と中国式を比較してみます。
・・・
患者さんは「1ヶ月前から左の膝が痛む」という70代の女性。
状況を尋ねると、
「立ち上がる時に、外側の奥の方が痛む」
ということでした。指は膝の外を指しているのですが、本当に痛い所は、指が届かない深い奥の方にあります。
「だったら深い鍼をしたら治りそう」
と考えてしまうと、せっかくのヒントがもったいないです。「立ち上がる時に」を大切にしたいです。立ち上がる動作に狂いが生じていると考えました。
碓井流活法では、立ちあがる時の痛みは中殿筋の調整で対応します。今回の症状は膝ですが、中殿筋は、膝と腰の連携に中間で関わっています。聞いてみたら、膝痛の前に腰も痛めていたことがわかりました。
中殿筋に問題があって腰や膝に負担がかかっている状態です。ただ、中殿筋には痛みがありません。問題点に痛みがあるとは限りません。そこが痛かろうとなかろうと、碓井流活法では「原因点」と呼んでいます。
この症例は、腸脛靱帯も関係あるようです。中殿筋と共に腸脛靱帯(太ももの外側)がパンパンに張っていたのです。中殿筋に腸脛靱帯の問題が加わることで膝に症状を出たのだと考えました。

中殿筋と腸脛靱帯。おしりの側面で立体的に重なっています。そこに環跳(かんちょう)とうツボがあります。この症例で使ったのは真横にあるツボです。日本式でもない中国式でもない「別説の環跳」などと言われているところです。
その結果、1ヶ月半前からの膝の痛みがあっけなく消えてしまいました。痛みの場所は膝。膝は痛みの発現点。原因点は、中殿筋と腸脛靱帯にありました。この部分から膝までの連動性が欠如したために膝に負担がかかっていたと考えられます。
【筋肉とツボ】
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・日本式環跳 大腿筋膜張筋 ←間→ 殿筋膜(腸脛靱帯)
・別説環跳 殿筋膜(腸脛靱帯) ←浅 深→ 中殿筋
・中国式環跳 殿筋膜(腸脛靱帯) ←浅 深→ 梨状筋
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古武術鍼法では、膝周辺の痛みにはこのように対処します。
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・日本式 脚を曲げたり縮めたりで痛む(しゃがむ時に痛む)
・別説 脚を伸ばしたり突っ張ったりで痛む(立ち上がる時に痛む)
・中国式 脚に体重をかけた時に痛む(立つと痛む)
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このように、痛みの部位だけではなく、動作パターンを考慮してツボを決めます。
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今日、大腿の後側(お尻のすぐ下)に痛みを訴える患者さんもやってきました。

一週間前から「椅子から立ち上がる時に痛む」そうです。
膝関節の痛みであれば、まさに別説環跳なのですが、今回の痛みは大腿後側。膝には痛みがありません。膝の外側にある「膝陽関」と言われるツボに鍼をしました。ここは、別説環跳の部分に効果があります。殿筋膜(腸脛靱帯)、中殿筋から膝にかけての連動性が改善し、その場で痛みが消えてしまいました。
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膝の痛み(発現点) ← 股関節付近のツボ(原因点)
股関節付近の痛み(発現点) ← 膝のツボ(原因点)
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痛い場所に鍼をしても痛みは軽くなったと思います。あえて、痛みの部位を避けて施術するのは、連動性の狂いを是正するためです。痛みのある所に鍼をしても、連動性が回復するとは限らないのです。
痛みの部位は痛みの発現点。原因点は別にあると考えます。筋肉が単独で動くことはないのですから、離れたところで連動する部位が必ずあります。「陽あれば陰あり」だからです。古武術鍼法は陰陽の調和を目指した方法です。
陰陽が調和(連動性が回復)すると、痛みがある理由がなくなります。
患者さんにはもたらしたいメリットは次の5つです。
1.すぐに痛みが軽減する
2.痛みがスッキリと取れやすい
3.よい状態が長く続きやすい
4.動き(体)が軽くなりやすい
5.姿勢がよくなる
古武術鍼法の研究は始まったばかりです。
ただいま募集中!
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日時:12月2日(日)10:30~17:00
会場:大橋会館(東京都目黒区)
参加費:12,000円(活法研究会会員 10,000円)
主催:活法研究会
詳細:鍼灸師のためのWebマル秘活用術
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コメント
おしりの下が日増しに痛くなり整体に行ったのですが改善せず、昨晩この記事にたどり着きました。
記事にあった膝の横のツボを揉むとおしりの下が楽になった気がしたので、お灸をすえたところすぐに90%痛みがとれ、今朝には全快していました!
おかげで楽になりました。
本当にありがとうございました。
詳しい解説ありがとうございました。私はずーっと別説環跳を環跳だと思っておりましたが、「巨りょう」というツボがあることがわかり、それが別説環跳と同じ場所を指しているように思えるのですが、いかがでしょう?わかりましたらお願いいたします。