
Kプロジェクトの続き
【Kプロジェクトについて】
・Kプロジェクト始動
・Kプロジェクトのプロローグ
・KプロジェクトのK
・Kプロジェクト 養気院の姉妹店
・Kプロジェクト 学生のチカラ
Kプロジェクトが覆したいのは「鍼灸師は食べていけない職業である」という空気です。Kプロジェクトを始動したのは、本気なら「鍼灸師は食べていける職業」だと信じているからです。
開業してから10年。そろそろ「食べていける」と断言してもよいと思います。とはいえ、意地悪な人は「田舎の鍼灸院を繁盛させたくらいで…」と言うでしょうね。確かに、私の成功など、社会からみても鍼灸業界からみても小さな成功です。そういうことは重々承知です。
その上で本題です。
食べていけない構造は社会にもあります。あん摩マッサージ指圧師の免許は、保険制度を利用するのでなければ、意味をなしません(=ある意味がない)。鍼灸(はり師、きゅう師)は、保険制度を利用できる幅が狭く鍼灸の利点を活かすには、あまりにも窮屈です。
保険診療に仲間には入れてもらえず、自由診療に追いやられている状況です。しかし、こうした事情は患者さんにはわかりませんし、そうしたことを語れば、言い訳になるだけです。
確かに言い訳なのです。実際、私は自由診療の鍼灸を受けたことがきっかけでこの道に入りました。自由診療(患者さんの負担100%)でも、きちんと魅力的な医療を行っている鍼灸院は山ほどあるのです。
とはいえ簡単でもありません。鍼灸のみで経営を成立させている鍼灸院の努力はスゴイものです。そういう姿をみると、自分が怠け者であることがよくわかります。そんな怠け者の私だからこそ、気がついたこともあるのです。
■生真面目より怠け者
怠け者は、努力はできるだけ少ない方がよいと考えています。よい解釈をすれば、効率のよい努力が好きです。いつ役立つかわからない知識より、その日から使える知識を好みます。10年かかって習得する技術より1年で習得可能な技術を選びます。
怠け者ほど選択眼が鋭いという法則。そんな法則があるのかないのか。少なくとも、世の中には「要領がよい」と言われる人がたくさんいますよね。「ズルイ」と言われる人は、ショートカットが上手なのかもしれません。
長い年月をかけて、東洋医学の本質に迫るような勉強は王道です。1年程度の勉強でわかることなどたかが知れています。1年より10年です。では10年やったら本物かといえば、30年やっている人からみれば、偽物です。
結局、何年やったら本物の東洋医学になるのか、誰にもわからないのです。何年、何十年やっていようが、食っていけている鍼灸師は最初から食っているのです。食ってこられたから、10年、20年という経験を積むことができたのです。
10年、20年の経験があるから食べていけるのではありません。こんなことをいうと、どれだけの同業者に叱られるかわかりませんが、キャリアの長い鍼灸師を分析するときは、経験の長さより要領の良さに注目すべきです。
■基礎には2種類ある
Kプロジェクトの活動方針の一つに、大胆なショートカットがあります。「それって本当に勉強する必要があるの?」と、誰もが常識だと疑わないことを、一旦疑ってみます。
たとえば、ツボの勉強。すべて覚える必要があるのでしょうか。覚えたツボを全て臨床で活かせている鍼灸師はいないはずです。知っているツボの数の多さと臨床力が比例するのであれば、学生の方が圧倒的に有利なはずです。実際はそうではありません。
「基礎」という言葉。これが多くの誤解を生んでいると思うのです。基礎には2つあると考えています。
一つは土俵をつくるための基礎。土俵は>行動範囲になります。
体のことを全て知っていないと治療ができないかと言えば、そんなことはありません。鍼灸師であろうと医師であろうと、誰一人、体の全てを知りません。知っている範囲の中で、行っているのです。知識からはみ出ないことで安全を確保しているのです。
鍼灸師は薬を処方しませんから、薬の知識がなくても安全に業務ができるのです。薬剤師は鍼をしませんから、心臓の深さを知らなくても安全に業務ができるのです。医療者というのは、みんな知っている範囲で行動しているのです。
もう一つの基礎は、技術的な基礎です。
これは、技術を役立つための作法やルールです。たとえば、患者さんの正面に立ち真顔で近づいて行ったら警戒されてしまいます。大方の患者さんは心を閉ざすでしょう。問診の質問項目が理にかなったものでも、必要な情報が得られなくなります。
要領のよい鍼灸師は、土俵を広げるため基礎づくりはそこそこで終了し、技術的な基礎を作ることに早い段階でシフトしています。そして土俵を広げる段階になって、土俵づくりの基礎を固めるのです。
要領の良い人は「行動範囲の設定」がしっかりしています。Kプロジェクトはそれに従います。行動範囲を狭く設定して、早い段階で技術的な基礎を積み上げていきます。そうすることで、10年かかることを1年。1年かかることを1ヶ月で実現できます。
■理想を語る前に
鍼灸というのは、病名や症状名を越えてアプローチできる利点があります。しかし、全科を診ようとすれば、土俵づくりで大変な労力を必要とします。その段階で挫折者が出てしまいます。
「どんな症状でも治せるようになりたい」と思っている鍼灸学生は少なくないと思います。否定するつもりはありませんが、一つだけ言わせてください。「最初からそれは無理ですよ」と。
挑戦することは自由でも、患者さんが満足するかどうかは別です。結果の出せない鍼灸師に自由な明日はありません。
来年度中には始めたい活法塾では、行動範囲をきっちり設置し、技術的な基礎づくりに特化した教育を行う予定です。もう一つのK、東京の姉妹店ですが、1号店は3疾患(3つの症状)に絞り込みます。鍼灸をしたい鍼灸師がチカラを発揮できる鍼灸院にします(詳細は次回以降に)。
姉妹店の鍼灸師の募集を今月(7月)中に開始します。
この話に興味のある方は、お見逃しなく。
つづく・・・


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