技術論_09「真髄に迫る(低予算で学ぶ2)」

マーケティング論_01「タブーへの挑戦」
マーケティング論_02「囲い込むのは誰のため?」
マーケティング論_03「コンサルタントが知らないこと」
マーケティング論_04「コンサルタントだけがわかること」
技術論_01「心配事が関心事に変わる時」
技術論_02「人間性という名の技術」
技術論_03「患者さんを選ぶ」
技術論_04「技術を選ぶ」
技術論_05「マシな技術ですみません」
技術論_06「捨てられた技術にヒントあり」
技術論_07「開業鍼灸師の経済学」
技術論_08「低予算で学ぶ」

本では絶対に学べないことがあります。極端なことを言えば、鍼や灸は「手から手へ伝える技術だから、文字では伝わらない」と考えることもできます。ですから、本質を伝えようとするほど具体的に表現できなくなります。

(おそらく)先哲の配慮によって、鍼灸の古典(漢字だらけの古い医学書)は抽象的で、たとえ話が多いのです。「文字だけじゃ無理だんべ(群馬弁)」とわかっていながら書いたのかもしれません。古典は読む人の力量が試されます。

古典を読みなさい」と指導されることが多い鍼灸師。

古典を読んでいなければ鍼灸師ではない、と言い放つ鍼灸師もいるくらいです。それくらい古典は重要です。その重要性を否定する意味ではなく、あえて口ごたえすると「古典なんて読まなくてもいいんじゃないの」というが私の意見。あ、敵が増えた・・・。

古典は難解です。結末が記されていないミステリーです。結末は、自分の臨床で確認するしかないところがあります。

それが醍醐味であると言えるのですが「そんな余裕はない!」というのが現代鍼灸師の実状ではないでしょうか。

国家試験に合格して免許を取った。でも、鍼灸ができる就職先がない(整体院のチェーン店なら募集しているだけど…)。開業しても誰かが患者さんを紹介してくれるわけでもなく、多くの民間療法と区別されることなく、市場競争に巻き込まれる・・・。

正直、古典ミステリーを味わう余裕がある鍼灸師はごくわずかです。楽しむどころではない状況に置かれている鍼灸師の方が多いのではないでしょうか。実は私もそう。

 古典は余裕ができてから読めばいいじゃん。

と私は考え、「古典を楽しむのは鍼灸師人生の後半にしよう」と割り切っています。抽象的なものを読んで迷路に迷うよりは、真髄はつかめなくても具体的なスキルを身につけておこうとう考えです。

 真髄に迫ることを放棄する。

効果に対して「なぜ?なぜ?なぜ?」と深く突っ込まないようにするという意味です。向上心が高い鍼灸師ほど禁欲しなければなりません。

パソコンの仕組みがわからなくてもキーボードが叩ければブログは更新できます(=Aのキーを叩けば「あ」と画面に出ることがわかっていれば使えます)。エンジンの仕組み知らなくても、クルマは走らせることができます(=アクセルを踏めばエンジンがうなることを知っていれば加速できます)。

PCの原理を知らない作家もPCで小説を、エンジンの仕組みを知らない佐川急便のドライバーもトラックでは荷物を運びます。同じように、鍼灸師も東洋医学の真髄を知らなくても患者さんを施術することができるのです。「何をしたら何が起こるのか」が頭に入っていれば、いろいろな症状に対応できます。

書いていて思うのですが、こういう話はとても危険で誤解を招くと思います。「人体の仕組みも知らないのに医療をするのは無責任だ」と言う人がいるでしょう。

でも、そもそも人体の本当の仕組みは誰も知りません。ごく一部を知って、わかったつもりで医療行為をしているのです、医療者全員が。

わかっている中で「これくらいは常識にしておこうよ」っていうところを学校で教えてくれます。国家試験に合格すれば、国が決めた常識をクリアしている人ということになります。この私も一応常識人なのです(笑)

古典は海です。
準備せずに航海に出たら難破します。

古典を学ぶことにはリスクがあります。そのリスクとは時間を失うことです。一行を理解するのに一年かけていたらどうなるか・・・。学者であるなら仕事になりますが、臨床家はその一行でお金を稼げるとは限りません。

Time is money.
時間のかけすぎはコストのかけすぎです。

古典は否定しません。古典あっての鍼灸ですし、古典を読まないまま鍼灸師をやめるのは寂し気がします。でも、読まなければ始まらないものではありません。もし、古典の入口に立ちたいのなら、どこかの流派で学ぶことだと思います。古典を紐解いたのが流派だからです。現代語で学べます。現代人から学べます。

ここで、もう一度テーマの確認。それは、低予算で学ぶ方法。

低予算で学ぶにはショートカットすることだと思います。「古典を読まなければ一流の鍼灸師になれない」と言われたとしても、明日に一流になれると思っていない私は聞き流せます。私の根性は曲がっているかもしれませんが、時代に合わせて曲がらなければポキッと折れてしまいそうです。

大先輩の鍼灸師の時代と私の時代(約10年前)では事情が違います。私の時代と現在の学生でも違うはずです。どんどん社会が「待ってくれない」状況になっているように思います。

この時代、「急がば回れ」を信じるべきか本当に迷います。

ショートカットすれば、カットした部分に大切なものを置き忘れています。あとで埋め合わせれば一流になれると思うのです。鍼灸師で居続ければその機会は訪れると信じたいです。

低予算で学ぶ真髄は割り切りにあると思います。

(つづく…広告費ゼロが生みだした財産

人気ブログランキングに投票
人気ブログランキングに投票

コメント

  1. ぐっち より:

    正直、クリ助さんのブログを見て、「やっぱり厳しい現実もあるんだな」と思ってビビる時もあります。
    でも今の世の中(いつでも!?)、楽な場所はどこにもないような気がします。どうせやるなら、嫌々シンドイことやるより、好きなシンドイことやる方がいいかな、と思います。
    お金をかけない勉強法、参考になります。ブログを書いている鍼灸院の先生も多く、それを見ることも勉強の一つかなと思います。正直、興味で見てる部分が大きいですが(笑)
    ジュンク堂などの立ち読み公認の大型書店も利用させてもらって、どうしても欲しい本だけ買うようにしています。持ってる本が多かったら勉強してる気になってしまう時もあるので…(大学時代に経験済み)
    DVD化が楽しみです!

  2. クリ助 より:

    >ぐっちさん
    よいこと言いますね。「楽な場所はどこにもない」と私も考えています。私にとって楽だと思えるのは好きなことをしている時です。苦はどこにあるのかというと、ほとんど経済にあります。経済の克服、つまり収入の確保さえ見通しがつけば本当に楽な仕事なのです。
    ジュンク堂近くていいですね♪
    ここは群馬で田舎なので、大型の書店がありません。医学書が豊富な本屋さんがなかなかありません。アマゾンの書評やブログで紹介されている書籍を勘で買うことが多いです。もちろん、失敗も多数…。
    一つアドバイスがあります。
    絶版に巻き込まれないように気をつけてくださいね。東洋医学関連の本は絶版が突然やってきますよ。絶版された本は手に入れるのが大変です。

  3. ダークホース より:

    こんばんは。
    PCがどう作られているか知らなくても、車がどうして…の例え、とても面白いと感じました!
    何かを、言葉で伝える時、違う何かで例えるのが分かりやすいと思いました。。

  4. クリ助 より:

    >ダークホースさん
    たとえ話がうまくいってよかったです♪
    私自身がPCの仕組みを知らないくせにヘビーユーザーです。また、クルマの整備もできないくせに運転大好きなんです。

  5. どらきゃ より:

    古典難しいですよね・・・
    これを書くと通っている学校がばれそうですが、1年の東洋医学概論の授業で白文が資料に出てきました。
    当時はとまどい、焦り、恐れ(笑)
    今も読む事はできませんが、迷ったときの一つのヒントが隠されている物という認識でいます。
    解釈が間違っていても効果があるかもしれない。くらいの感覚で古典とつきあう事ができればいいと考えています。

  6. クリ助 より:

    >どらきゃさん
    古典は本当に難しいです。私は100回くらい挫折しています(笑)
    白文が出てくるとは、なかなか本格的ですね♪
    古典とはゆるく付き合っていく方がいいのかもしれませんね。解釈もゆるくていいと思います。

タイトルとURLをコピーしました