鍼灸と薬

処方薬を常用している患者さんも、鍼灸院にやってきます。

血圧が高いから…
コレステロールが高いから…

という理由で薬を常用しながら鍼灸を受ける方がたくさんいますので、鍼灸師も薬の知識がある程度は必要です。

ちなみに私のところでは、初めての方から予約が入った時には、常用している薬を持参するようにお願いしています。飲んでいる薬について訊ねると、その方の病歴や現在の体調が効率よくわかります。

たとえば、薬のことに全く触れずに、「血圧はどうですか?」と訊いて、「正常です」と返事が返されたとき、2つのパターンが考えられます。

パターン1:薬を飲まなくても正常範囲の血圧
パターン2:薬を飲んでいるから正常範囲の血圧

パターン2の患者さんの場合、高血圧の原因が体に潜んでいるわけです。薬を常用して症状を抑えている場合でも、患者さんによっては「治った」と表現する可能性があります。

処方薬だけではなくて、市販薬も使っている方がいますから、そういう影響を考慮しながら、患者さんの体の本質を見抜く必要があります。薬の数が多い方ですと、これだけでも大変な時があります。

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鍼灸と薬を同時に始めた患者さんの例

坐骨神経痛で来院されたAさん(70代女性)のお話です。
お体を診ると、お腹に水が溜まっている様子。

「おしっこは出ていますか?」

と訊ねると、

「よく出ますよ」

という答えが返ってきました。でも、よくよく訊いてみると、利尿剤を使っていることが分かりました。尿が出ていても、体には余分な水が溜まっている状態なのです。それが、咳や痰の原因になることもあります。

Aさんに訊ねた結果、以下の薬を飲んでいるとのことでした。
(薬を持参されなかったので詳細は不明)

1.利尿剤
2.睡眠薬
3.貧血の薬(鉄剤?)
4.咳止め薬×2種類
5.痰を消す薬(去痰薬)
6.胃の薬

4と5を飲み始めたのは、初診で鍼灸を受けた翌日。同じ日、坐骨神経の痛みが緩解しているのに気が付き、知り合いの方が「インフルエンザの薬を飲んだら坐骨神経痛が治った」という話を思い出したとのこと。(インフルエンザの薬は坐骨神経痛の薬ではありません。インフルエンザの薬<タミフル?>、咳止め薬、去痰薬は別の薬です。インフルエンザの薬を飲んだ後、坐骨神経痛が治った理由は「・・・?」です。)

Aさんは、4と5の薬で痛みが緩和したと思ったようです。私としては鍼灸をした翌日の緩解なので「鍼灸の効果」と解釈してほしいところでしたが、「インフルエンザの薬で坐骨神経痛が治った」エピソードが頭の中を占めているご様子でした。

Aさんの症状が改善したことはよかったのですが、私の方はスッキリしなかったケースです(笑)

来院直前の痛み止め

来院直前に痛み止めを飲まれてから来院される方もいます。
関節痛、頭痛、月経痛(生理痛)などで。

薬と鍼灸のダブル効果を狙っているのでしょうか・・・

薬によって「痛みの感覚を麻痺させること」と鍼灸によって「痛みがでない体にすること」は根本的に違います。相容れない関係なので、鍼灸の効きが下がってしまうこともあります。

「痛くてどうしようもなかった」ということであれば仕方ありませんが、「念のため飲んでおいた」という方に対しては、飲まないようにお願いしています。

薬の影響をどう捉えるか…悩んでいる鍼灸師は私だけではないと思います。病院で処方されている薬に対して、鍼灸師が指示をすることはできませんから、難しい局面も多々あります。

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コメント

  1. ジャッカル より:

    難しい問題ですね。
    鍼灸と薬の併用と言う話に限らず、単純に鍼灸だけを
    受けていても、鍼灸の効果判定と言うのは難しいと思う
    んですが。
    たいてい主観的な症状で(視覚で容易に判定できない)
    来院されるんでしょうし。
    痛みなんてのは治療してなくても体調や天候で変わりますしね~。
    薬を服用している分だけ、鍼灸の効果判定がしにくく
    なるということは患者さんも理解して頂きたいところですね。

  2. クリ助 より:

    確かに、単独でも鍼灸の効果判定は難しいので工夫が必要になりますね。
    客観的に判定できるテクニックをたくさん持っていると便利ですね。
    でも、鍼灸院は患者さんの主観が優先される世界です。病院のように検査の数値が主になりません。そう考えると、効果判定が数値化できなくても「患者さんが楽になればよい」という価値観も共存できますね。
    おっしゃる通り、痛みは環境でも変化するので、鍼灸を受けた後の過ごし方で改善しなかったり悪化したりする可能性もありますよね。鍼灸を「痛み止め」と勘違いされている患者さんの場合、その場で痛みが治まらず、翌日に楽になった場合、鍼灸の効果として認めないこともあります。「鍼灸は効かなかったが、次の日にはよくなった」と思われると、ちょっと辛い・・・。

  3. Chab より:

    薬に侵されている人、多いですよね。
    身近にそういう者がおりますが、見ていると恐ろしくなります。
    月に1万円以上の診療費+薬代を払い、加えて、ちょっと風邪引いた、体が痛いからといって市販薬をバンバン飲み、いつになっても根本から元気にならないと愚痴を言い、薬害告発の本を読んだと思ったら、難しい薬は怖いねと言う・・・。
    西洋医学嫌いな私も、即効で病気を治したい時は医者と薬に頼ることになります。
    でも、飲んで治った後の方が心配ですね。
    反動で余計に調子が悪くなるような気がして・・・。

  4. クリ助 より:

    薬害も社会問題ですよね。
    でも、実際には病院で出される薬を信仰されている方も多い気がします。副作用をしっかり説明してもらえないことが多いので、患者さんを責めるつもりはありません。かといって医師の責任とも思いません。システムそのものが、変わってくれると嬉しいです。←自分が患者になった時のことを考えても。
    同じ症状を訴えても、病院や担当医師によって処方される薬は違う可能性がありますし、処方が一つになるとは限りません。また、処方される薬は、医師とMR(製薬会社の医薬情報担当者)の関係に左右されている実態も、本当は言及したいところですが・・・

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