<このシリーズでは、鍼灸師であるクリ助が妊産婦さんに何ができるかを考えていきます。お産の現場をできるだけリアルに伝えますので、よいお産について一緒に考えてください。>
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玄関で遭遇したのは私の母です。
無用扱いをされた母が、父と一緒に入ってきました。
速い!!
父のクルマの方が速かったかもしれません。
「速かったね!」
という言葉に得意げな表情で返す父でした。隣の母に、
「さっきは悪かったね。痛みが急に強くなってきたので…。」
と、軽く謝罪しながら理由を告げました。幸いにも全く怒っている様子がなく、クリ子の状態だけが気になっているようです。
分娩室のある2階まで案内すると、その手前にある待合室を案内しました。
「クリ子は分娩室に入っているから、ここで待っていて。」
と両親を置き去りにし、クルマの荷物を取りに行くため、再び玄関に戻りました。
2階と1階を昇降しているうちに、あることに気が付きました!
あれ、どうやって…!?
助産師さんの肩を借りたクリ子はこの階段を昇っているのです。
壮絶な光景が目に浮かびます。
ここで話をさかのぼらせてください。このクリニックに通院し始めた頃のことです。施設を案内してくれた助産師さんが「陣痛が進まない時、この階段を昇り降りしてもらうんですよ。」と言っていました。その話を聞いたときは、楽しそうに昇り降りしているクリ子の姿を想像していました。現実とかけ離れた想像だったわけです。
クルマに戻った私は鍼灸セットとアロマのエッセンシャルオイルセットを運び出します。鍼灸セットは開業して間もない頃、苦労を共にしていた出張用のケースです。アロマは30種類ほどの香りが収まっている木箱で、クリ子の仕事道具です。
2セットを抱え、すぐさま分娩室に戻りました。
ここで分娩室について説明しなければなりません。このクリニックでは基本的に分娩台は使いません。自宅をイメージしてデザインされた分娩室があり、そこでどんな姿勢で出産してもよいのです。それがフリースタイル出産です。施設を案内された当時、あれこれ試すクリ子を想像していましたが、これも勝手な想像でした。
今のクリ子にそんな余裕はありません!
分娩室に入ったときの様子を出産後に思い出して語ってくれたことがあります。事実をお伝えするために、一足先に紹介することにします。
クリ子の話によると、分娩室の布団に横たわったあと、向きが違うことを指摘されて、頭と足を逆にさせられたそうです。陣痛に耐えながらやっとの思いで入ってきた分娩室ですから、そのまま倒れるように横になれば頭が奥になります。そのままでもいいじゃないか!と思うのですが、指示された向きには意味があったのです。
考えてみるとわかるのですが、もし、頭を奥にして出産となると、入口から入ってきた人に、真っ先に股を見せることになります。まぁ、それもどうかと思いますので、強引にでも向きを変えさせた助産師さんが正しいのです。その時のクリ子には理解できなかったでしょうが…。
荷物を全て運び入れた後、助産師さんから子宮口が開いていることを告げられました。「何センチですか?」と質問する余裕はなく、そうですか、と返事をするのが精一杯でした。
どうやら、頭はまだ出ていないようです(^。^;)
ワクワクとドキドキが混じったような新鮮な感覚がやってきました。そして、妙に冷静になっている自分に気が付きました。それは覚悟が決まった瞬間だったのでしょう。
ついに、鍼灸師クリ助が動き始めました。
つづく→鍼灸師とお産(10)


コメント
お父様の得意そうなお顔、思わず想像してしまいました。(^^ゞ
そうなんです。診療所だと、分娩する部屋が2階って多いんですよね。
総合病院はエレベーターで該当階まで行けますが・・・。
陣痛の人は歩くなんて到底無理だし、
破水した人は出来るだけ動かないようにすべきなんですけどね。
まったく、分娩する部屋に入るまでも一苦労ですわ。
いよいよ、鍼灸師クリ助さんの出番ですね!
しかし、助産師さんが子宮口の開き具合を確認するって、非常に原始的ですよね。
一度客観的に見てみたいものです。
自分のときはそれどころじゃないですから。
>Chabさん
父のクルマより速いものを発見しました。それはChabさんのコメントです。更新したと思ったらすぐにコメントが入りビックリです。
陣痛でなければ、なんてことはない階段でも陣痛の時は大変でしょうね。経験したことのない痛みですが、クリ子に付き添っていたので少し想像できます。
やっぱりアノ人だったのね~~~~
>当時、あれこれ試すクリ子を想像していましたが、これも勝手な想像でした。
今のクリ子にそんな余裕はありません!
ここで爆笑!確かに本人にしたらそんな余裕ないなあ~~。
いや~~でも陣痛が進まない時に階段のぼってはやく生まれるようにするとはなあ~~
でも実際つらい思いで階段登っても時間短い方がラクですもんね。私の友人は48時間のまず食わずの出産でそのあと5キロはやせたっていってたからな~~~。
>夢湖さん
夢湖さんの想像で正解だったようですね☆
補足しますと、階段を昇ったり降りたりすると骨盤周辺の血流がよくなったり筋肉が柔らかくなったりするので、陣痛が進むのです。でも、それはなかなか進まない人の話で、クリ子のようなケースでは階段は氷壁でしかありません。
友人さん、48時間というと丸2日ですね!!!
飲まず食わずで大丈夫だったのでしょうか…!
あとで書く予定ですが、妊娠中そして、出産直前も適度な運動があった方がお産が軽くなるのです。クリ子が出産直前まで鍼灸院で働いていた理由はそこにあります(詳細は後ほど)。
昨日は、お答えいただきありがとうございます。
参考にさせていただきます。
お産風景、もう十数年前になりますけど、
こんな急なのは・・・驚いたでしょうね。
続き楽しみに読ませて頂ます。
コメント書けないときでも、応援クリックだけはさせていただきますね。
適度な運動ですか・・・・・や・・・・やばい・・・
出産の予定はないものの、普段からデスクワークで一切運動しない私には「その時」になっても何もしない気が・・・・・。
友人は赤ちゃんの体重除いても5キロは痩せたらしいです。相当大変だったらしいです。飲まず喰わずで眠りもせずで時々陣痛がくる48時間なんて想像を絶する世界ですが本人はマッタリとした口調で「うん~~大変だったよお~~」なんて感じでした。
>サトさん
本当にビックリしましたね。本で勉強していたことが返って裏目に出たような感じです。お産の流れって人それぞれですから、平均的な情報にとらわれない方がよいですね。自分の経験からよくわかりました。
>夢湖さん
通っていたクリニックの先生は毎回のように、「お産は体力ですから…」と言っていました。確かにクリ子のお産をみてそうだと思いました。妊娠直前になってから運動したのでは遅いので、常日頃、適度に体を動かしておくことが必要のようですよ。
陶芸って、私のイメージでは体力を使っているような気がしますが…。でも、歩いたりすることが少ないのでしょうか。
クリ子さんに1つ質問があります。
私も(何もお産へ問題のないうちは)
フリースタイルで産める助産院でのお産を望んでいました。
実際は胎児にリスクの多いお産となってしまったので
医師の管理のもと分娩台で半仰臥位(しゃがみと仰臥位の間)でした。
私もクリ子さんも初めてのお産だったというのもあって今回読みながら思ったのですが、フリースタイルの際、自分が向くお産の姿勢ってすぐ決まるのでしょうか?
私は今回は医師と助産師さんの指示のままだったので・・・
でも数度いきみ楽に子供が生まれたので今回は今回で
この姿勢でもよかったと思ったのですが。
(自分の場合ですが)もしフリースタイルだったら、陣痛に精一杯で
この格好させてくださいと決められたのだろうかと
ふと疑問に思ってしまったので・・・。すいません。
>フリースタイルの際、自分が向くお産の姿勢ってすぐ決まるのでしょうか?(なちゅらさん)
むぅ~。クリ子の場合は、突然やってきた陣痛だったので姿勢を試す余裕はなく、単に消去法でした。横向きにしかなれなかったのが実際のところです。
横向きになって、姿勢を変えようとしないクリ子に、何度も、その姿勢でいいの?って訊きましたが、これでいいの、と毎回同じ答えでした。
フリースタイルということで、自由に選ぶ姿を想像していたのですが、実際には楽な姿勢に“考えることなく”なってしまうようです。理性ではなく、本能の働きなのだと思います。
この場合の“フリー”とは本能を解放し、それに従うことのように思いました。試行錯誤の末にあるものとは違うようです。あくまでも私の見解ですが…。
クリ助さん、ありがとうございました^^
フリー=本能の解放ですね~。
陣痛中、私はベットに横になれなかったので
座っているかベットの周りを歩きまわっていたので
きっと本能にのっとったら、したい姿勢が
クリ子さんとまた違っていたのかもしれませんね。
またお産を経験したいです^^
なちゅらさんは歩き回っていたんですか…!
そうですか~。たぶん、クリ子とは違うタイプかもしれません。クリ子は全く動き回ることができず、うずくまってばかりでした。
やっぱり、妊婦さんによってイロイロなんですね。