ある患者さんの言葉がいまだに忘れられません。
「タバコくさいですね」
初診で来院された患者さんが、ドアを開けてすぐに放たれました。
そのしかめられた顔も脳裏に焼き付いています。
院内は禁煙。
なぜ、タバコの臭いが・・・?
タバコではなく、それはお灸によるものでした。
お灸ってそんなにくさいの?
と、この記事だけ読んだ方はそう思ってしまうでしょう。
確かにある種の方にとってはとても不快なものです。
そうわかったのはその患者さんに出会ったからです。
よく思い出せば、もう一つのエピソードが蘇ってきます。
それは、就職活動をしていた時のことです。
鍼灸を導入している整形外科に面接に行ったときのことです。
鍼灸師の代表の方が対応してくださったのですが、「お灸はしないのですか?」という質問に対して返ってきた言葉は、
「お灸はマイナーな臭いだから嫌われる。だからやらない。」
でした。
それは、明らかにお灸に嫌悪感を示した顔だったのです。
私はその顔が気になって、その顔を受け入れることができず就職を辞退しました。
お灸で刺激を受けた嗅覚がどう反応し、脳がどう解釈するのか、色々であるのは仕方ありません。しかし、「お灸の臭いはマイナー」だと言った鍼灸師こそマイナーだ、とちょっと言いたい気持ちもあります。本人の前で言ったら怒られますので、絶対に言いませんが(笑)
臭いは記憶と深く結びついていると言われていますし、他人の嗅覚に口を出すのは慎重でなければならないと考えています。だから、お灸の臭いが嫌であれば、「お灸を使わない鍼灸院に行ってください」と心の中で思うのです。
タバコ臭いとおっしゃった患者さん、2回目の予約を入れることはありませんでした。
4年も前の話です。
今でも、お灸をした後は、
「これは何のにおいですか?」
と聞かれることがあるので、
「これはお灸です。線香のにおいも混じっていますが…、大丈夫ですか?」
と答えてしまいます。
最後の「大丈夫ですか?」という言葉を最後に添えてしまうのは無意識です。
4年前のあの言葉があって、心配する意識がその言葉を出すのだと思います。
「いい香りですね」
と、答えが返ってくるといつもホッとしています。
あれ以来、不快な態度を示されたことがないので私の心は穏やかです。
ただ一つ問題が…。
10年以上もお灸と一緒に生活していると、お灸の香りに気が付かないことがあります。
お灸をしている、まさにその時は「The灸」と嗅覚が刺激を受けるのですが、そうでもないとき、何人か前の患者さんにお灸をした後など、そこのお灸の香りが残っていることに気が付かないのです。薄く漂うお灸の香りは、私にとってニュートラルなのです。これが嗅覚鍼灸師バージョン!?
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昨日、久しぶりに更新をしたら訪問者が急増。
過去最高の481人。
たくさんの方々にご訪問を頂き、嬉しい気持ちになり、そしてちょっとしたプレッシャーを感じたのでした。
明日の休診日は、某雑誌から記事を依頼されているので原稿に向かう予定です。最近ブログを書いていなかったので、書くのが心配だったのですが、この更新がよいリハビリになったようです。結局、書き始めたら止まらないのです。


コメント
おお!クリさんの久々の更新!最近ブログランキングの方も寂しくなりましたが、体調が悪くなっていなかったので安心いたしました。
お灸の臭いでは同様のことがありました。当然来院されなくなりましたが、「お灸の香り」で癒される方の方が多く、一種のアロマ的になっています。家に戻る頃には、全身お灸の香りだらけになっていますが、指についたもぐさのヤニ同様、鍼灸師の勲章みたいなものではないでしょうか。
>てっかんさん
ご心配をおかけしました。元気に過ごしております。マイペースで更新していきますので、今後ともよろしくお願い致します。
てっかんさんのところでも同じことがっ!?お灸って今風に言えば確かにアロマですよね。鍼灸師の勲章、これからも指につけていこうと思います♪
都内で鍼灸整骨院をしています。たまたまブログを拝見したのですが、これは私が今悩んでいる事であるのでとても興味を持ちました。
私の近所にはマンションの一角で鍼灸治療院をやっている所がとてもモグサの臭いが強く住民からの苦情で自主的に退去するという事件があったのですが、確かに外に凄いモグサの臭いは蔓延するしちびっ子が近くを通ると臭い!!とか言ったりもしていたし 臭いと嫌な顔をして通る住民はとても多かったです。粗悪なモグサの臭いもしたし良質なモグサの臭いもしました。私はこの臭いには慣れているのですぐに灸の臭いかと思えますが
灸に理解の無い人からしたらそう思う方がとても多いってのも現状ですよね。私はもともと整骨院をしていて途中から鍼灸の免許を取りました。開業する前に勤めてた所では鍼灸どちらもやっていたのですが様々な意見が多数の患者様から申し出がありインフォームドコンセントの一環で臭いは大丈夫かの確認も施術の前にする事になった事もあります。
今鍼灸整骨院をしていてお灸がしたくても、いろんな事を考えると炭の臭いの少ないカマヤミニのような奴など灸頭鍼のラック灸など使ってます。
灸の素晴らしさは自分でも魅力に感じてますが炭でも気になる人は拒絶されます。
鍼灸の看板を出して糸状灸や米粒大の灸が出来ないのもとても悔しいと思う毎日です。 ちなみに僕はタバコの臭いが大嫌いでモグサの臭いも頭痛がして来るくらい体が受け付けないんですよね。これも情けない事ですが。長くなりましたがこんな鍼灸師もいるって事を知って欲しいですw 失礼します。
>杉山和一さん
貴重なご意見ありがとうございます。
臭いに関して、万人にOKを求めるのは難しいという現実がありますね。個々の生理的な個性がもあるでしょうし、記憶と臭いも密接だと言われていますしね。杉山さんが鍼灸師でありつつ、灸の臭いが苦手だということ、そしてそういう鍼灸師が他にもいるかもしれないということ、記憶に止めておきますね。
貴重なコメント、本当にありがとうございました。