鍼灸師にできる妊婦ケア(内転筋)

ずいぶんと間が空いてしまいましたが、妊婦ケアの続きです。

内容に入る前に宣伝です。
今月の29日(木・祝)に東京で「活法フェスタ」があります。
その中で私が普段やっている妊婦ケアの一部を紹介する時間があります。

なぜ、紹介したいのか…

と言いますと、それは簡単だからです。

「鍼も灸も使わずにここまでできるの!?」

と思っていただけると思います。
鍼灸を否定するわけではなくて、鍼灸をさらに活かすための提案です。

当日の内容はまだ考え中ですが、

テーマは、たぶんこの中からチョイスすると思います。

 ・腰痛
 ・悪阻(つわり)
 ・お腹の張り
 ・恥骨痛
 ・逆子
 ・安産

それぞれ、鍼灸を使わずにできることがあります。

繰り返しになりますが、鍼灸の否定なんてするつもりはありません。鍼や灸がなくてもできることを知ることで「鍼灸ならではの部分」をもっと理解したいのです。

■妊婦さんの内転筋は要注意

腰痛のポイントとして、今回は内転筋を取り上げます。
内転筋とは、太ももの内側の筋肉です。

この筋肉の過緊張(硬くなりすぎ)が腰痛や恥骨痛の原因になっているケースをよく見ます。この内転筋は自覚症状がほとんどないところで、「ここが痛いです」と訴える人が少ないところです。妊婦さんに限った話ではなく。

(私だけかもしれませんが、)術者の立場からいうと「見逃しやすいポイント」なのです。内転筋が緩んだ結果、腰痛が緩和した、恥骨痛が緩和した、という例は数えきれません。

もう一つ強調したいのは、お腹の張りが取れることです。

子宮が収縮してカチカチになってしまうお腹。カチカチが続くとよくないので、張りすぎと判断されると、たいてい子宮収縮抑制剤(リトドリン塩酸塩)が処方されるようです。

どうせなら、薬を使わずに取れた方がよいわけで・・・

内転筋を緩めるだけで、子宮の過度な収縮が取れることがあります。他の方法と合わせると極めて高い確率です。取れると断言はできませんが、断言したくなるほどです。

この技術、鍼灸師よりも助産師がマスターした方がいいのでは、と思ってしまいます。助産の技術に取り入れられる日がやってくるかもしれません。そうでなければ、鍼灸師がやればいいのです。

98内転筋を緩めるには、導引という筋肉調整術を使います。妊婦さんには特殊な姿勢をとり、グッと力を入れてからスッと力を抜きます。マスターしてしまえば3分もあればできる技術です。

ちなみに、この内転筋で緩むのは特にお腹の下半分です。経験上の話で、このテクニックが子宮のどの部分に働いているのか、詳しくはわかりません。上半分はまた別の方法で解決します。

■鍼灸との違い

鍼を使っても内転筋を緩めることはできます。
一番単純なのは、直接そこに鍼をして緩めてしまうことです。

活法の導引(筋肉調整術)と同様に効果があります。しかし、決定的に違う点もあります。
それは運動パターンの変化です。

なぜ違いが出るのか…

内転筋は内転筋のみで働いているわけではありません。内転筋を中心に考えたとき、内転筋を補助する役割の筋肉がたくさんあります。その筋肉も同時に巻き込むことによって、「内転筋+関わる筋肉群」が同時に調整されます。しかも、妊婦特有の骨格に応じて(勝手に)調整されてしまうのです。

鍼灸でアプローチする場合、関連する筋肉を巻き込んでいくのは難しいのです。
鍼をする場合には、A→B→C…と関連する筋肉を次々に緩めていくという形になりがちで、同時に関わる筋肉すべてにアプローチすることは難しいのです。

鍼灸のみで食べている鍼灸師にとっては、「難しい」という意識はないかもしれません。「鍼灸には経絡(けいらく)や経筋(けいきん)という理論があるし、ちゃんと結果は出る」、こんな意見をいただくかもしれません。

しかし、活法を目の当たりにすると意見は変わるのではないでしょうか。私はそうでした。
その一例として「螺旋(らせん)」の話をしたいと思います。

鍼灸理論の基本である「経絡」は原則的に縦のラインです。
上下や遠近の関係を観るのに適しています。それに横のラインが補助として入ってきます。

静止している人体(たとえばベッドで寝ている患者さん)を観ているときは、まぁ、よいかもしれません。
しかし、活動中の人間を追いかける時、縦横のラインは崩れます。体を捻った時、平行にあった線が交差します。途中で左右が入れ替わってしまうこともあります。

そう考えると、縦のラインに存在する上下関係は、ごく限られた条件での話です。

■ 表を見て裏を知る

内転筋に話を戻します。活法の技術を見ていただけると一目瞭然です。ただ内転筋を緊張させるだけでなく、螺旋の動きが入っています。活法はこの螺旋の利用の仕方が実に巧みです。誰が最初に考えたのだろう…といつも不思議に思っています。

今風の言葉を使って説明すると、活法はインナーマッスルを調整しています。その結果、内転筋が緩みます。内転筋そのものに緊張を与えるというより、内転筋を使いたくなる(使わなければならない)姿勢に導くわけです。

そのことによって、内転筋のパワーを借りようとするインナーマッスルに刺激を与え、インナーマッスルとアウターマッスルの連携を強化するのです。連携がうまくいけば、余分な力は必要ないことになり、それまでの緊張が解けるわけです。

妊婦さんの不調は、骨盤内のインナーマッスルが大きく関わっています。私の経験では間違いありません。ただ、プロからみてもインナーマッスルは深くて隠れた小さな筋肉なので、その状態を見極めるのが難しいのです。活法を使うとそれが比較的簡単です。

アウターマッスルの状態を知って、インナーマッスルの状態を知る、これがとても東洋医学的です。活法は日本生まれの技術です。

先日紹介した梨状筋、そして今回の内転筋。この2つを調整するだけで、妊婦さんの腰がラクになってしまうことがよくあります。10分もかかりません。

時短。

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定員が45名に増えたので若干の空きがあります。
活法フェスタ2010「活法で広がる妊婦ケア」

コメント

  1. ジャッカル より:

    時短は活法の強みですよね。
    私なんか施設の職員を自分の昼休みに治療すること
    がありますが、10分程度で済むので助かります。
    通常の治療法では昼休み中に終わりません。

  2. クリ助 より:

    >ジャッカルさん
    時短は施術者にとって大きな経済的メリットをもたらしますね。忙しい患者さんにとっても喜ばれます。
    時短の他に、道具もいらず、場所も選ばない。エコですね~。

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