■鍼灸で動作を改善させる!
鍼灸で動きの調整をする場合を考えます。
まずは、単純に考えてみればよいと思います。
体が動くとき、どこかが伸びればどこかが縮みます。
ですから、動きが悪い時は、伸びにくいか、縮みにくいか、どちらかです。
肩痛にしても腰痛にしても、「痛いから動かない」と思っている方が多いのですが、「動かせないから痛い」と考えることもできます。私の知る限り、「痛みを緩和させることで動かせるようにしていく」と考える鍼灸師の方が多いです。私もそう考えていた一人です。
活法(古武術整体)に出会い、「動くようになれば痛みが消える」ことを知りました。鍼灸でも動きに着目し、「伸び」と「縮み」を正常化させるように試みてきました。伸びにくいものは伸びるように、縮みにくいものは縮みやすく施術すると、痛みが軽減することを確認できています。
この考え方で治療する場合、施術ポイント(鍼や灸をするところ)は、痛む所とは限りません。むしろ、痛みの局所を使うことは珍しいです。「痛む所は、悪い所ではなく、動きが悪いために負担が集まる所」と考えて施術しています。
痛む所は悪者ではありません。
痛む所は可哀想なところです。
痛みが出るのは、伸び縮みに問題があって動かないところを、代わりに頑張って動かしているからです。治療は「もう頑張らなくていいよ」と助けることです。
痛みが増す動きを確認した後、その動きの中での伸び縮みに注目します。そして、伸びやすくするのか、縮めやすくするのか、のどちらかを行います。
どちらが有効であるかは、ケースによって違います。大雑把な言い方になりますが、痛みが浅い部分なら、伸びやすくする方が有効、痛みが深い部分なら、縮みやすくする方が有効であることが多いです。

■五十肩の症例
五十肩の症例で、縮みを調整するパターンを説明します。
【患者さん情報】
男性
40代
半年前から左肩が痛い(いわゆる五十肩)
病院に通院しているが症状が全く変わらない
この患者さんが、痛みで困る状況を具体的に2つ示してくれました。
1.運転席でシートベルトを装着するために左手でベルトを取ろうと手を伸ばすと痛い
2.右の脇の下に左手を持っていくと痛い(風呂場で右の脇の下が洗えない)
どちらも、痛みは肩の前面(三角筋の前の方)に出るようです。
1と2は、少し角度が違いますが、胸の筋肉(大胸筋)を縮めるような動きですよね。1の動きでは肩甲骨が開くように動きますが、2の動きでは肩甲骨の位置はあまり変わりません。
私がこの動きでもっとも重要だと思うのは鎖骨です。鎖骨そのものは骨ですから縮みませんが、鎖骨を縮めるような動きだからです。
鎖骨ラインの縮みを助けるために、鎖骨の中央のすぐ下にある気戸(きこ)というツボを使ってみました。すると、すぐに肩の前面(三角筋の前の方)にある痛みが大幅に緩解しました。
ちなみに、痛みは同じところにあっても、肘を挙げて肘を後方に引くような動きの場合は、兪府(ゆふ)というツボの方が便利です。

■非常識な治療システム
この方法を経絡で説明することはできません。難しいことはしていません。経絡よりずっとシンプルな考え方で治療点を探しています。
私の位置から見ると、経絡理論(一般的なツボ理論)は応用的で高度なものです。「経絡が基本」であることは鍼灸師の常識ですが、私は反して「経絡は応用」だと考えるようになりました。
「筋肉や関節レベルの問題(症状)=内臓との関わりが薄い」に限るならば、人間のことは、もっともっとシンプルに考えてもよいと思っています。難しい理論をわざわざ使う必要はありません。
鍼灸師がいくら難しく考えても、世間は、
「鍼灸は痛いところにするもの」
と単純なイメージを抱いているかもしれません。実際に、痛みの局所に鍼灸を施すのも方法の一つです。ただ、いつでも局所では幅の狭い治療しかできません。私が考えているシンプルさとは違うものです。
私が施術において目標としていることは、「調和のとれた動き」です。理想的な調整ができると、痛みが消えるだけでなく、動きがスムーズになります。再発の予防となりますし、スポーツにおいてはパフォーマンス向上が期待できます。
全体の動きが調和するためには、各部の筋肉が正常に収縮(と弛緩)をするだけではダメです。関連する筋肉すべてが連係している必要があります。
私が想定している連係システムは、直立姿勢を保とうとする働きが中心となるものです。重心を安定させる目的で筋肉が連係して活動します。こういう仕組みは、経絡とは別にある系統だと考えています。
学校や勉強会で習った鍼灸は、臥位(寝ころんだ状態)で身体を観察するものでした。しかし、筋肉の連係を観察するには、立った姿勢や座った姿勢の方が有利です。たとえば、「立ちっぱなしで腰が痛くなる」という患者さんの腰を寝かせてみると問題点を見つけにくいことがあります。
(患者さんが)痛がる姿勢で観る ←無理はさせません
というのが、私の基本です。
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・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
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コメント
いつも記事を拝見させていただいています。
私は今年の4月から鍼灸の専門学校に入学する予定の高校3年生です。
質問なのですが、入学する前に自分で先取りして勉強できることなどあればぜひ教えて下さい。
>Jackassさん
合格おめでとうございます!
入学前の勉強ですか。
鍼灸院に行ったことはありますか?かかりつけの鍼灸院があっても、いくつかの鍼灸院に行って施術を受けることを強くおすすめします。
このブログでも時々書いていることですが、鍼灸は鍼灸師の個性が強く出るものです。鍼灸師の数だけ鍼灸がある、と言っても過言ではありません。同じ流派だとしても味付けは違うものです。
逆に、流派が違っていても、鍼灸師や鍼灸院の雰囲気が似ている場合もあります。学校を入学したら専門家側に目線になってしまいます。入学する前でなければ、患者になりきることができませんから、今のうちですよ。
少なくとも3ヶ所。できれば5ヶ所くらいは体験されることをおすすめします。それぞれでお金がかかってしまいますが、長い目でみれば、けっして高くない授業料だと思います。
応援します!!!
いつも拝見させていただいています
毎日のぞいています(^3^)/
今回のツボを参考に
寝違いの患者さんを劇的に改善できました
ありがとうございます!
今まではどうしても患部中心だったのですが
痛いところではなく
本当の原因を考えて治療する効果に
驚きです
活法はすごく魅力的な理論ですね!
また、これからも
ありのままのブログ楽しみにしています
>大阪 鍼灸師さん
毎日ありがとうございます。更新不定期ですが今後ともぜひ。
寝違いに応用されたんですね!
参考になる記事が書けて嬉しく思います。
(活法をヒントにした)理論に基づいて動作を分析すると、
どのツボが効くのか見えてきます。本当に魅力的です。
しばらく「このツボ!」シリーズは続けますので、また参考に
してください。一緒に、施術室を劇的空間にしていきましょう!
ありがとうございます!
今度祖母の行きつけの店と母の行きつけの店に行ってみたいと思います!
いつも拝見させて頂いています。
臨床でも参考にさせて頂いてます。
有り難うございます!
ちょうど五十肩の患者さんをみていますので参考にさせて頂きたいと思います。
これからもブログ楽しみにしています。
>はり太郎さん
いつもありがとうございます。
ぜひ、この方法使ってみてください。
動きのパターンと痛みを見極めながら、使ってください。パターンが同じであれば同じような結果がになるはずです。
また、読みに来てくださいね。
参考になりそうなネタでお迎えします。
丁寧なご指導有り難うございます。
気戸も愉ふも肺の近くですが、深さは浅くても良いのでしょうか?それともできるだけ深いほうが良いのでしょうか。
1回で書いたら良かったのですが、続けて質問失礼します。
宜しくお願い致します。
>はり太郎さん
深さについて説明しますね。
気戸、兪府、それぞれ第一肋骨上に取ります。肋骨上なので深く刺せないところになります。
この取穴が一般的に正しいかどうかわかりませんが、鎖骨の直下、肋骨上の圧痛点(or硬結点)を使って成果が出ています。
結論として数ミリしか(肋骨にあたって)入りませんし、その深さで効果が期待できますよ。お試し下さい。
丁寧に有り難う御座います。
早速臨床で使わさせて頂きます!