「鍼灸はプラセボ効果」といつまで言えますか?

鍼灸はプラセボ効果

研究者のブルーオーシャン

鍼灸はプラセボ効果(プラシーボ効果)だと思っていませんか?

権威のあるどこぞの教授や学者が「プラセボ」と言えば、それが正解として流布されてしまいます。しかし、鍼灸を生業(なりわい)にしている者や、鍼灸で病気や怪我を克服した者には受け入れがたい話です。

しかしながら、鍼灸の治効機序は未だによくわからないままです。この分野はそっくり穴が空いています。前向きに考えれば、研究者にとって鍼灸の世界はブルーオーシャンです。誰も手を付けていない研究分野で、すぐに第一人者になれます。いつまで、鍼灸をブルーオーシャンのままにしておくつもりでしょうか。もったいないと思います。

研究対象になっていないのは鍼灸師の問題ではありません。鍼灸をとりまく環境に理由があります。鍼灸は医療システムから孤立しています。好き好んで孤立しているわけではなくて、病院の中には入りにくい制度や空気があるのです。

ビジネスの方面からも孤立しています。利権構造の中にある医薬品とは事情がだいぶ異なります。鍼灸の周りで大金が動くことはありません。よい意味でも悪い意味でも、しがらみもコネもない業界なのです。

プラセボ効果の誤用

鍼灸の治効機序がある程度まで解明されないと、「鍼灸はプラセボ効果である」と思い込んでいる人はいなくなりません。ここでプラセボ効果について整理してみましょう。

『誤用される「プラセボ効果」』の誤用と「プラセボ効果」のそもそも論の内容を参考にさせて頂きました。私なりにかみ砕いて説明します。

ここでのポイントは「プラセボ効果」と言われているものが2種類あるということです。しかも、一般に使われている方が間違っているのです。

プラセボ1

図をご覧下さい。「何もしない」「ニセ治療」「ホンモノ治療」と分けたとき、プラセボ効果は「ニセ治療」と「ホンモノ治療」の両方に含まれてきます。「ホンモノ治療」と「ニセ治療」の差が本当の効果です。

問題はここからです。

本来のプラセボ効果は緑色の部分だけを指すはずですが、「プラセボ効果」と言った場合に、多くの場合は、茶色の自然回復まで含んだ部分を指しているのです。本来のプラセボ効果は茶を差し引く必要があります。実際にやろうと思うと、自然回復の部分には多くの因子が含まれるので大変です。

プラセボ2

鍼灸とプラセボ効果

鍼灸にもプラセボ効果があります。「効くと思い込んでいる患者さんの方が良く効く」という傾向があります。鍼灸を信じている患者さんの方が、信じていない患者さんより早く治る、と言うことができます。

だからと言って、本当の効果を否定することにはなりません。鍼灸院で患者さんが治る力は、「自然回復」+「プラセボ効果」+「本当の効果」の3つの合計です。鍼灸師は全てに関わることができます。生活指導を徹底すれば自然回復力をアップできますし、権威をちらつかせたり話術を磨けば、プラセボ効果をアップさせることができます。鍼灸の学術を磨けば、本当の効果をボリュームアップできます。

患者さんは3つの総合力によって治っていきます。鍼灸師は総合力で評価されますから、3つの力の合計を意識しなければなりません。プラセボ効果を上手に利用することも患者さんのためになります。ただし、本当の効果を全く追究せず、自然回復に頼りながらプラセボ効果を利用するだけなら、鍼灸師である必要はありません。心理学を徹底的に研究すればよいのです。

作図では3つの力を同じ大きさに書いていますが、実際にはバラバラです。ケースバイケースです。患者さんにとっては総合力が「治る力」ですから、極論を言えば内訳は重要ではありません。誤解を恐れずに言えば、「本当の効果」がゼロであっても治れば患者さんの目的は達成されます。

鍼灸の真の力

話術に長けた鍼灸師は、患者さんに暗示にかけることもできます。私からみても、暗示が上手だと思う鍼灸師はたくさんいます。「本当の効果はどうなんだろう…?」と首をかしげたくなる時もあります。鍼灸師もそれぞれです。私が標準ではありません(むしろ異端)。

暗示を利用することも、広い心で捉えれば鍼灸の内かもしれませんが、治らなかった場合には、詐欺師との区別が難しくなります。私はスレスレの人生は嫌ですから、むしろ、患者さんを暗示にかけないように注意しています。暗示によるプラセボ効果を期待せず、本当の効果を引き出すことに100%の力を注ぎます。

暗示を避けるもう一つの理由は、その必要がないからです。鍼灸の効果(本当の効果)は驚くほど大きなものです。プラセボ効果が飲み込まれるほど、インパクトがあります。それを一度でも体験した人は「鍼灸はプラセボ効果」と二度と口にすることはないでしょう。

逆に言えば、本当の効果を体験しなければ「プラセボ効果」だと思ってしまうのは仕方ありません。鍼を刺すだけで体がどんどん良くなることを、イメージできる人間なんて滅多にいませんから。

プラセボとは言えなくなる鍼の効果

実際の臨床を撮影しました(患者さんの許可を得ています)。初診の患者さんで、この時、正真正銘の初対面です。打ち合わせなしの映像です。

指の曲がり具合がどう変化していくのか注目してください。プラセボ効果でここまで変わると思いますか?

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養気院(群馬県伊勢崎市)
カポス(東京都港区/品川駅) 
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コメント

  1. AXBYCZ より:

    鍼灸はプラシーボ効果ではなく有効ですが、思弁的な陰陽五行論や経験的な経絡・経穴論、さらに、手技であるために効果は不安定です。これでは科学と認められるレベルにならない。
    理論的には適用することに根拠のない二重盲検法や統計学によって否定する医師たちも、ニセ医学信奉者たちと同レベルのおバカさんですが、医師という権威と声高に主張したもの勝ちということでしょう。
    科学においては、ある現象が起きたとき、それを説明する法則・理論は最終的に1つだけが残ります。まったく異なる理論が複数並立することは絶対にありません。一見すると異なるように見えるが、原理的に共通するならば、統一され1つの理論になります。それが科学の歴史というものです。 
    治癒という事実があるならば、それが自然治癒であろうが、薬物や鍼灸によるものであろうが、そこに潜む原理は1つしかありません。それらを統一的に説明できる治療理論は、原因や症状の異なる多くの病気を1つの方法で治癒させることができるのです。

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