鍼灸師にできる妊婦ケア(腰痛2)

妊娠期に限りませんが、腰痛の原因として歪みが取り上げられることが多いです。妊娠期は確かに骨盤が歪みやすい時期です。妊娠するとリラキシンというホルモンが分泌され、骨盤や他の靱帯を緩めます。靱帯は骨と骨を連結しているものですから、関節に緩みが生じます。

この緩み(ゆるみ)が歪みの原因とよく言われているわけですが、ここで起こる歪みは、赤ちゃんを子宮で育て産むために必要な変化とも言えます。ですから、本来許容できる歪みと言えるのではないでしょうか。

腰痛を発生させるのは、緩みと歪みにあるわけではないと考えます。もし、リラキシンによる緩みと歪みが腰痛の原因と言うなら、妊娠中の女性はすべて腰痛になります。そんなことはありませんよね。

骨格構造と運動構造

妊娠期特有の腰痛は、骨格構造の変化に運動構造の対応が追いつかず、その結果肉体に負荷がかかって起こると考えています。骨格構造と意識(無意識も含む)がピタリと一致すればするほど、体は軽いと感じるものです。スポーツ選手が調子がよいときに「体が勝手に動く」と言いますが、“ピタリ一致”の状態と言えるでしょう。

運動構造は意識(無意識を含む)の中にあると考えられます。肉体の状態を常に監視し、それに応じた指令を出しているわけです。ところが、肉体に急激な変化が起こってしまうとそれに対応するまでのタイムラグが発生します。この間に肉体に無理がかかりやすいのです。とっさの時は古い運動構造が肉体を操ってしまいます。

あっ!

と思った時には、肉体にダメージが伝わっています。
一回だけならすぐに肉体の修復が済みますが、これを何度か繰り返してしまうと肉体はすぐに回復しなくなります。動くたびに痛い、というのはこの段階です。

痛みを我慢していると、痛みから“逃げようとして”運動構造にも変化が起こります。運動構造の歪みと言えます。骨格構造の歪み(生理的形態変化)に加えて運動構造が歪んでしまうので、サッと戻れないのです。「妊娠中に痛いのは仕方ありません。」と言われてしまうのはそのためです。

痛みから逃げる

でも、私たち鍼灸師まで「仕方ない」と考えたらケアは始まりませんから、対策を考えなければなりません。歪んだ運動の構造を修復すると共に、妊娠期の骨格構造に合わせることができるなら、腰痛は治りそうです。

ここで活法の理論が役立つのです。(つづく)
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