■ゴルゴ13に狙われた鍼灸業界の大物
あの『ゴルゴ13』に、鍼灸業界の利権闘争が描かれていることをご存じですか? 「ゴルゴ13」というコードネームを持つデューク東郷は、言わずと知れた世界ナンバーワンのスナイパー。そんな彼に鍼灸業界の大物が狙撃されてしまいます。

舞台は世界です。中国と韓国が鍼灸の国際規格、国際基準を作ろうと争っています。そこに、日本は入っていません。その理由は、日本の協会代表(もちろん架空)の言葉に集約されています。
「政府にまったく危機感がないですから」
必死に中国と韓国が利権を争っていても、のんきにしている日本政府。作者にもそう見えているのですね。話の中で「誰がゴルゴ13に仕事(殺人)を依頼したのか」と推測する場面があります。その時の台詞です。
「日本の協会に、それだけの資金はあるか?」
想像されている通り、ゴルゴ13を動かせるお金が日本の鍼灸界にあるとは思えません。世界で起きている利権闘争に参加すらしていない日本。鍼灸師が個人個人で必死にやっていても、単なる個人事業の一つでしかありません。世界に売れる技術、サービスがあるという認識はないのだろうと思います。
業界の上層部が世界の市場を独占しようと争う光景は羨ましく感じます。この話はフィクションですが、鍼灸師から見て、各国の立場や温度感の描き方が気持ち悪いほど正確です。

■国際規格は必要か
鍼灸の国際規格は必要なのでしょうか。鍼などの器具は統一されていた方がよいのでしょうか。現役鍼灸師の立場から言えば、国際規格は大迷惑です。おそらく、誰も望んではいないでしょう。
1.誰でもできる水準に設定しなければならない
規格を統一するということは、(その気になれば)誰でもその規格に従って業を行えることが条件です。技能が追い付かずに脱落する者がいたとしても、割合が過半数を超えたとしたら大混乱を招きます。
つまり、自ずと下のレベルに揃えることになります。何の世界でもそうですが、上の方のやり方は非常識だったり型破りだったりします。そういう独自の工夫を否定して、ルール破りのレッテルを貼ることは、発展を妨げるどころか後退します。
2.多様性こそ鍼灸の魅力
クルマに置き換えてみると理解しやすいです。もし、クルマの車体を統一したり、エンジンを統一したら、どうなるでしょうか。諸々のニーズに応えられなくなるのは間違いありません。自家用車だけ考えてみても、家族構成や用途で候補は異なります。セダンにするのかワゴンにするのか、SUVにするのか、などなど。
鍼も相手(患者)に合わせて使うものです。日本には日本人に合った鍼がいろいろ開発され、中国は中国人にあった鍼が、韓国には韓国人にあった鍼が・・・というように、それぞれの国や地域でバリエーションが存在します。
もし、中国の鍼が使いたければ、中国から取り寄せて使うという手があります。今のままで何も問題ありません。
3.そもそも誰のため?
『ゴルゴ13』に描かれていたように、規格統一は誰かの都合によって行われるものです。昔あったVHS(日本ビクター)とベータマックス(ソニー)のビデオ規格の争いのように、統一された方が便利な場合もあります。ただ、よく言われるのが「ベータマックスの方が性能的には上だったが政治的に負けた」という話です。
規格闘争において、良いモノが必ずしも勝利するとは限りません。政治的に強い者(国)が規格闘争の覇者になる場合が多方で起こっているわけです。都合の悪い人間が金の力(=ゴルゴ13の射撃)で消されて、規格が決まってしまう。本当にそんなことが起きたら大変です。
なんとなく次回につづく…
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