これも美容鍼灸!? 顔面神経麻痺の鍼治療

私の鍼灸院では、美容鍼灸を行っていませんがお顔に起きたトラブルにも積極的に取り組んでいます。

「美容鍼灸って?」という方のために説明すると、「顔に鍼(ハリ)を刺して美容効果」を狙った鍼灸のことです。やり方は色々あります。これがブームで美容鍼灸を導入する鍼灸院が増えています。

私が経営する鍼灸院には「美容鍼灸」というメニューがありません。「美容鍼灸やっていますか?」という問い合わせは全てお断りしています。顔面部への鍼はあまり行っていないからです。

でも、顔面神経麻痺の改善例は数え切れないほどあります。

これから紹介する感想は、顔面神経麻痺の症例ですが顔面部にはほとんど鍼をしていません。完治の手前の部分で仕上げ的に少し顔に鍼をしただけです。

顔面の症状は、顔面部に鍼をしないと解決しない、と誤解されている方が多いので「そうでもないんだよ~」という意味で、一人の女性から頂いた感想があるので紹介します。顔面神経麻痺が短期間で完治した症例です。

朝起きたら、顔の筋肉がこわばって、何だろうこの感触は、と思いながら、その日は仕事が入っていたので出かけました。

昼食を食べようとしたら頬の筋肉が思うように動かない為に噛んだものが右側へ集まってしまい、人前では食事をすることができなくなってしまいました。

これはおかしい。私の体に何かがおきていると思い、急いで医者へ行きました。

1ヶ月近く治療しても顔は歪んで右目は開きっぱなしになって、まばたきを出来ず、眉や口は下がり、水を飲もうとするとこぼれてしまい、自分の意志ではどうすることも出来ませんでした。

そんな時、東京にいる娘が「インターネットで顔面神経麻痺を調べたよ。お母さんのその顔をなおすのは針きりないよ」と言われました。

私は藁にもすがる思いで養気院を夢中で訊ねました。

針治療という私のイメージは韓国ドラマの中でのこわい印象がありました。治療院に入って1番驚いたことは白とグリーンコントラストがとても現代的で明るいイメージでとても清潔感があって、ビックリしました。

針治療に対して、こわいイメージを持っていた私の考えは根本からくつがえされました。

針治療を受けて、回を重ねるたびに少しずつ、少しずつ顔の筋肉が動きはじめて、目がまばたき出来るようになり、下がった眉も少しずつ上がりはじめました。まるで薄い紙を1枚1枚はがすように直ってきました。

治療して初めの頃は少しずつ前の顔にもどるのが楽しみで予約時間よりも1時間も前に近くで待っていたこともありました。やっとここにたどりつきました。先生ありがとうございました。

先生の一人一人の患者を大切にしている思いと真剣な観察力のおかげです。先生に対して感謝の一言です。ありがとうございました。

顔面神経麻痺_鍼灸で改善した患者様の声

専門的な話になりますが、この症例は「顔面神経麻痺」の中でも「ベル麻痺」と言われるものです。こうした麻痺は一般的に原因不明と言われています。「原因不明」というのは、病院での論理です。私まで原因不明と考えしまうと手の施しようがありません。

どうすればよいのでしょうか。

お顔に鍼をすると血行を促進させることができるので、ある程度まで有効だと思います。しかし、こうした方法は、患部を刺激して回復を期待する「待ち」の治療です。原因にアプローチしているとは言えません。短期間で改善させようと思うなら、目指すは上流です。

顔面神経

顔面部のツボを使うことは、神経の走行で言うと下流に作用させる方法です。しかし、顔面神経麻痺(ベル麻痺)は下流の問題ではありません。もし、下流の異常であるならば、顔面部全体に原因が潜んでいることになってしまいます。でも、実際に異常が起きているのは神経のみで、その他は正常なのです。

神経の上流は耳の方にあります。顔面神経は耳の方から放射状に広がっていきます。根本(上流)に問題が起こると末梢(下流)が影響を受けてしまいます。

大切なのは、「“どこから”おかしいのか」を考えることです。水道管の元が壊れているのに蛇口をいじっても直りませんよね。

積極的な治療は、「なぜ神経に麻痺が起きたのか…」と因果関係を探すことから始まります。医師に原因不明と言われていても関係ありません。鍼灸は鍼灸の立場で原因を探します。そうすると、顔面神経麻痺の方に共通している癖が見つかります。

私が特に注目しているのは、鎖骨という骨です。顔面神経麻痺の人は、この鎖骨の動きが悪くなっていることが多いのです。鎖骨の上には胸鎖乳突筋、下には大胸筋があります。こうした筋肉の過緊張が顔面部に異常をもたらしてしまうことがあるのです。麻痺までしていなくても、こうした筋肉が硬くなっていると、表情が硬くなり、姿勢も猫背になってきます。気分も沈み、鬱々とした状態になります。

鎖骨と合谷の関係

顔面神経麻痺の治療では、「鎖骨の動きを改善させる」という視点がとても役立ちます。馬や犬には鎖骨がないのに、ネズミには鎖骨があります。あまり知られていませんが、鎖骨がある動物には親指がある、という因果関係があります。という事実から、鎖骨は母指が密接に関わっていることがわかります。(もっと詳しく≫鍼灸師のための経穴デザイン入門始めました

親指と人差し指の間には「合谷」というツボがあります。このツボは顔面神経麻痺にとてもよく効きます。それは、合谷が母指と鎖骨の動きを改善させ、顔面部に作用するからです。

つまり、「鎖骨が止まると表情筋も止まる」ということです。こうした考え方を端的に表現するために、殺動点と不動点という言葉を使っています。顔面神経麻痺の場合、(主な)殺動点が鎖骨で、不動点が表情筋です。

原理は単純ですが、臨床は少し複雑です。合谷への鍼だけで全てが解決するわけではありません。大きな成果を上げるには、鎖骨と連動している筋肉に目配りをして、多方面から調整していく必要があります。

私の鍼は、「痛いところや悪いところに刺す」というほど単純ではありませんが、極めてシンプルな理論で行っています。まず、マクロな視点から因果関係を探していきます。「鎖骨がある動物には親指がある」といった事実をシンプルに利用しているだけです。「原理原則」が分かったら、頭はできるだけ使わない方がよいのです。

顔面神経麻痺の鍼治療はカポス(東京都/品川駅)も得意としています。

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