重大な見落とし(シックハウス症候群?)

■シンプルイズベスト

前回の症例(妊娠中の耳閉感)で書き残したことがあります。

シンプルに対処するメリットです。
 
 ・耳閉感
 ・胸が苦しい
 ・夜中に目が覚める
 ・不安と怖さでドキドキして寝付けない(時々)

こういった症状に、耳の治療、不眠症、動悸・・・をそれぞれ考えていくと手数が増えます。手数が増えることはよくありません。手間を惜しんでいるのではありません。手間が増えれば増えるほど、効果は分散し、効果の検証も難しくなります。

 <手数が増えすぎた時のデメリット>
  ・効果が下がる
  ・効果が見られなかった時に問題点を見つけられない

可能な限り、施術はシンプルな方がいい、というのが私の考えです。
そのためには、患者さんの回復を信じなければいけないわけです。

鍼灸で治しているようだけれども、実際には患者さんの回復力が治しているわけで、鍼灸でできるのは、回復力が正常に働くようにするお手伝いだけ。

鍼をして患者さんの症状がよくなると、どうしても鍼が治したような錯覚に陥ります。私もそうですし、患者さんも近い感覚をお持ちになると思います。

シンプルにするメリットは他にもあります。
良い状態が安定することです。

補助が少なくて回復したのなら、それは患者さん自身の力によるものが大きいと言えます。

周りが助けすぎると、自立できなくなってしまうのです。
(介護に似ているかもしれませんね。)

たくさん手を出す方が有り難いと感じる患者さんが多いのも事実です。それは、ただ単に「たくさんした方が早くよくなる」と考えているからで、患者さんが早く治ろうとして手数を求めるのは自然なことです。

患者さんがしてほしいと思うことに応えることと、患者さんのニーズに応えることは違う場合があります。

通院回数を少しでも減らし、患者さんの時間とお金がムダにならないようにするのも鍼灸師の仕事の一つです。「長く通ってもらった方が儲かるでしょ」なんて意地悪なことを言う人もいますが、そんなことはありません。早く治った患者さんほど、新しい患者さんを紹介してくださるので、早く良くなった方がやはりよいのです。

体も症状も千差万別。どんな症状でも1回というわけにはいきません。根気が必要なものもいっぱいあります。長くかかるものを少しでも短縮させる、そのためには知恵も必要です。東洋医学にはヒントがいっぱい隠されています。

■謎の復視

よい話ばかり書いてもなんですから、あることを見落として治療が長引いてしまった例も書きます。

復視の患者さん(男性)で、ヒドイ肩こりと頭痛が伴っていました。
復視というのは、物が二重に見える症状で、この患者さんは右半分が二重に見える状態になっていました。CTなど、様々な検査をしても原因がわからず発症から3週間後に私のところにやってきました。精神状態もよくありませんでした。

初回の施術から症状は回復して、徐々に二重に見える範囲が狭くなっていきました。ただ、スパッと症状が軽くなるというより、一進一退を繰り返しながら徐々にという回復でした。

施術が14回目に差しかかったとき、思いもよらないことを患者さんが口にしました。
「シックハウス症候群」ではないかと。

突然だったので、何のことかと思いました。

事前の問診で、症状が発生する1年前くらいからPC作業で目を酷使していた、と話を訊いていたのでてっきり眼精疲労が発展したものだと思いこんでいました。

患者さんの説明によると、症状が発生する1ヶ月前、家のリフォームを行い、その部屋で寝ていたということです。疲れた時はその部屋で休んでいたようですが、症状はよくなるどころかさらに悪くなっていたようです。横になると症状が悪化すると解釈していました。私もそのそのまま受け止めていました。

対策として、部屋を封鎖し他の部屋で寝るようにしたら症状がどんどん軽くなっていきました。

ただし、それらしい化学物質は検出されていません。

証明はできなくても、状況からして部屋に何らかの問題があったことは間違いないと思います。本当の原因がなんであれ行動が吉と出たのでよいのです。

その後、患者さんの体調がみるみる回復し、復視、肩こり頭痛、みんな治ってしまいました。最近では、疲れたときだけ鍼灸を利用しています。

鍼もそれなりに効いていたようですが、部屋を封鎖するという処方がもっとも効いたようです。環境が整わない限り症状はよくならないという例でもありますし、環境が同じでもそこそこ鍼が通用していたという例でもあります。思い出となっている症例です。

臨床はいつも謎解きです。

次から次へと新しい謎がやってきます。謎解きのパートナーは患者さんです。
だから、患者さんとの信頼関係が大事です。

時々、この仕事を「探偵みたいだなぁ」と思うことがあります。
複雑な体と環境をシンプルに読み解こうとする仕事です。

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コメント

  1. 私もです。 より:

    物が二重に見える。私もです。
    突然のコメント失礼します。
    この度、様々な2年2ヶ月原因不明で、腰痛、複視、不整脈、動悸、不安、落ち着かない、幼児は、鼻血、下痢のみ、落ち着きがない、呼吸困難、etcetc…引越しと言うキッカケで、同じ不動産屋さん、同じ床張り替えの業者さんで、気が付きました。引越し先の状態で生活し、出てしました。思いもよらない、シックハウスでだったんだって、涙しかでなかったです。
    まだ、子供も話せない子と、要約話すようなった子。私の目、今は実家に避難していますが、2年2ヶ月気が付かなかったのと、また、ひどく浴びたので、普通の生活ができません。
    突然のコメントで、申し訳ないです。腰椎も月に二回なる位でした、幼児を1人で育てているので、本当に大変です、先が不安です。

  2. クリ助 より:

    >私もです。さん
    コメントありがとうございます。読む限りにおいは私が診た患者さんの症状にそっくりです。不安というのもわかります。
    シックハウスの影響あると思った状況下でも鍼灸はよく効いていました(根治までたどり着かないにしても)。ですので、シックハウスの影響が及ばないところで生活されていらっしゃるので、あとは鍼灸によって回復する可能性が十分にあります。
    お住まいの近くで目の症状に精通している鍼灸院がないかお探しになってみてはいかがでしょうか。少なくとも受けてみる価値が十分にあります。
    鍼灸師の立場、自分の経験の中でのアドバイスとしては、まず鍼灸を受けてみることをおすすめします。
    もっと難しい復視(交通事故によるもの)の施術も経験しておりますが、そういう難しいものでも改善した例があります。

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