「スポーツをすると、ふくはらぎの内側が痛くなる」という症例です。
患者さんは、初診の【20代女性】
症状が始まったのは3年前。整形外科で湿布薬と鎮痛剤を処方されたようですが、一時的に痛みが軽くなるだけで治ることがなかったようです。問診で詳しい話を聞いてみると、どうやら階段で痛みが強くなるようです。
こういう時、登りか下りかが大事です。
答えは「下り」
階段における、ふくらはぎの動きを考えてみましょう。登る時のふくらはぎは、あまり収縮していません。試しに、あえて収縮させながら上の段に足を乗せてみてください。足首が伸びるため、重心を膝より前にもっていけません。登れませんよね。
下る時は、つま先が下の段に着いたあと、ふくらはぎの力で体重を支えます。階段の下りでふくらはぎが痛くなるというのは、患者さんの訴えと矛盾しません。もし、矛盾する場合は、何かを取り違えている可能性があります。今回のように論理的な矛盾がなければ、すぐに良くなるであろうと考えて素直に施術します。
ふくらはぎを触診すると、訴えの通り右の内側が極端にこわばっています(緊張しています)。疲労レベルではありません。まるで、グッと力を入れているかのような緊張感です。こうさせてしまう原因が体に潜んでいるのです。
患者さんに断って臀部(お尻)の緊張を確認しました。すると、右側の方が強く緊張していたのです。ふくらはぎの内側とお尻の下の方の筋肉は連動しています。
秩辺(ちっぺん)というツボがあります。ふくらはぎの内側が連動しています。予想通り、右の秩辺に鍼をした瞬間に右側ふくらはぎがフッと緩みました。活法(古武術整体)でも、全く同じことができます。というより、活法を手本としたツボ選びです。

実は、この患者さんの施術には、もう少し続きがあります。右腰が押されるとビクンと反応するという症状があったのです。行きつけのマッサージで、いつもビクンとなるそうです。せっかくですから改善させてしまいましょう。正確な位置は腰椎の2番のあたりです。
秩辺(お尻)→(A)→築賓(ふくらはぎ)→(B)→夾脊(腰椎2番)
こちらも連動性の視点から分析します。さっそく答えを書きます。この原因はふくらはぎの内側にあります。秩辺のツボでふくらはぎは緩んでいますから理論的には、右腰のビクンは治っていてもおかしくないのですが…。
治っていないのは、連動性の回復が連鎖していないからです。連動性が回復するには、きっかけとなる信号が必要です。(B)の経路を刺激する必要があるのです。そこで築賓(ちくひん)を使うことにしました。
築賓は、患者さんが「こわばる」と訴えていた局所の部分です。緩んだ中に一点、カタイ所が残っていました。そこが築賓の本体です。
築賓に鍼をした後の様子は、動画をご覧下さい。
患者さんの許可を得て撮影し、公開に許可を頂いております。
結局、この患者さんの場合、3年間の悩みが、秩辺と築賓の2つのツボで解決できました。患者さんはビックリ。通院を覚悟していた様子でしたが必要ありませんでした。このように1回で終わりにできるのは理想的なパターンです。
連動を考えて鍼を使うと、実に面白いです。活法では当たり前のように活用している連動構造。しかし、鍼灸の世界では連動があまり利用されていないと感じています。
連動性に個人差はありません。体は同じ仕組みで動くように設計されています。人間を機械のように考えることは、東洋医学のタブーかもしれませんが、連動構造は緻密に計算された機械のようです。
連動構造に例外がないため、誰がやっても(ツボが正確ならば)、同じ結果になります。ツボにポンと刺激が入れば直ちに変化します。名人技は必要ありません。ツボを正確に探すだけです。
この連動構造を逆算して使えば、正確なツボの位置を知る練習にもなります。たとえば、夾脊(腰椎2番)の圧痛をあらかじめチェックしておき、その圧痛が減らせるポイントが築賓、というように。ツボチェッカーになるのです。便利だと思います。
連動構造は、体に張り巡らされています。
経絡とは別系です。
連動構造と経絡を重ね合わせると、見えてくる世界もあります。
この話が始まると長くなりますから、今はやめておきます。
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・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
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